第117話 スイパラへ
「それ、俺も一緒に行っていい?」
「え、四宮さんも来るんですか?」
「だめかな?」
俺は莉奈に言う。
「いやいや、全然大丈夫ですよ。むしろ嬉しいっていうか……」
「私もいいと思うよ」
「私もー」
美穂と友梨も反対はしなかった。
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
「お仕事はいいんですか」
「うん。今日の仕事は終わったからね。ちょっと待ってて」
俺はデスクに戻るとジャケットを羽織り、鞄を手に持つ。
再び、莉奈たちがいる会議室へと戻った。
「お待たせー。じゃあ、行きましょう」
「はい!」
三人も上着を羽織ると、立ち上がった。
「お疲れ様です。お先に失礼します」
同僚に軽く挨拶する。
「お疲れ様です。先輩、今日は早いですね」
「ああ、彼女たちとデートだからな」
俺は冗談ぽくWhiteへ視線を向けて言った。
「四宮先輩が言うとマジっぽいから気をつけてくださいよ。まあ、楽しんで来てくださいね」
「ああ、ありがとう」
そう言うと、事務所のエレベーターへと向かった。
事務所から出ると、駅の方に向かって歩いて行く。
「どこの食べ放題に行くんだ?」
「池袋ですよ」
「前は秋葉原にもあったんだけどねぇ」
「無くなっちゃったんだよね!」
「そうなのか」
池袋ならここか電車で15分ほどで行くことができるだろう。
「でも、四宮さんもスイパラとか興味あったんですね!」
莉奈が俺の半歩前を歩き、嬉しそうな表情を浮かべていた。
「まあね。最近、女の子たちがよく行ってるの聞くし、どんなもんかと思ってたんだよ」
「なるほど……」
「それに、ああいう所って男一人じゃ入りにくいでしょ?」
「そうですね。女の子が多いですし、あとはカップルとかですかね」
「やっぱりそうなんだ」
それを聞いて男だけじゃ行けないなと感じていた。
「だから、瑠奈を連れてこうかとも思ってたんだけど」
「妹さんですよね?」
「そうそう。あいつ、スイーツとか好きだし」
「本当、仲良しですよね!」
「まあな」
莉奈が少し頬を膨らませて言った。
そんな姿も可愛いのだからずるいと思う。
駅に到着し、交通系ICカードで改札の中に入る。
池袋方面の電車をホームで待っていると、数分で電車が目の前に止まる。
そして、電車に揺られること15分ほど。
池袋駅に到着したことを知らせるアナウンスと共に、電車の扉が開く。
「こっちです!」
莉奈が俺のスーツの袖を掴んで引っ張る。
「はいよ」
莉奈についていき、池袋駅の東口から地上へ出る。
夕方の時間ということもあり、人が忙しなく歩き続ける。
「ここです!!」
数分歩いて、莉奈はスイパラの看板を指差して嬉しそうに言った。
「おお、楽しみだな」
「はい!」
俺は莉奈たちとともにエレベーターに乗った。
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