第116話 日常を再び
解決の報を聞いた翌日、俺はいつも通りに出社する。
望月さんは今日も一番に出社しているらしい。
「社長、今お時間よろしいでしょうか?」
「ああ、大丈夫だよ」
仕事の手を止めてこちらを見る。
「どうかしたのか?」
「先日、お話したアイドル志望の子を狙った件です」
「ああ、何か動きがあったか?」
「ええ、解決させて来ました」
「は……?」
望月さんが驚きの表情を浮かべた。
「あの、解決させました」
「本当か?」
「社長に嘘はつきませんよ」
驚くのも無理は無いかもしれない。
何せ、社長から話を聞いてからまだ一週間も経っていない。
「なんというか、流石だな。どうやったんだ?」
「やはり、半グレの連中が絡んでいたので夏目さんにお願いしました」
「なるほどな。あの方に頼んだのならこのスピードも頷けるか」
「社長もご存じでしたか」
「まあ、実際に会った事は無いがな」
夏目の親父さんと繋がれるような人種は限られている。
「全く、君の人脈には毎回驚かされるな……」
「ありがたい話です。とりあえず、この件はこれでしばらく安心かと」
「そうだな。助かったよ。四宮くんに任せて正解だったな」
「ありがとうございます。では、私は本来の仕事に戻りますね」
「ああ、よろしく頼むぞ」
俺は社長室を後にする。
そして、通常業務へと戻る。
Whiteの名古屋遠征が決まり、打ち合わせを重ねて日程も決定した。
今日はその件と今後の事を話そうと思い、Whiteのメンバーを事務所に呼んでいた。
「そろそろだな」
時計を見ると約束の時間になっていた。
「おはようございます」
莉奈たちが事務所にやって来た。
「おはよう。早速始めようか」
俺たちは会議室へと移動する。
「今日は今後の動きについて話そうと思ってね」
用意した資料をテーブルに並べる。
「まず、名古屋遠征だけど、来月の13日から15日を予定している」
「おぉ、ちゃんと決まったんですね!」
莉奈が目を輝かせながら言った。
「前乗りしたいから12日には名古屋に行きたいかな。その日は観光してもいいし」
「本当ですか!?」
「うん、12日は特に予定ないし、ホテルも新幹線も取ってあるから問題無いよ」
「「「やったー!!」」」
三人とも喜びの表情を浮かべる。
「名古屋遠征に加えて今月末に握手会とイベントも企画しているから、そっちもよろしく頼む」
「はい! 頑張ります!」
莉奈が笑顔で言った。
「今日はこれでオフだよね?」
「はい、そうです!」
今日はレッスンも無いので、この予定だけのはずである。
「これだけのためにごめんね」
「いえいえ、大丈夫ですよ。私たちもこれから行きたい所があるので」
美穂が言った。
「そうなんだ。どこ行くの?」
「スイーツの食べ放題です!!」
美穂が嬉しそうに表情を緩ませる。
「それ、俺も行っていい?」
俺は三人に向かって言った。
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