第107話 誕生日
「「「四宮さん、誕生日おめでとうございます!!!!」」」
「おめでとう、お兄ちゃん」
そこにはWhiteのメンバーと妹の瑠奈が居た。
部屋は、誕生日仕様に飾り付けられている。
「あ、ありがとう。てか、いつの間に準備してたの?」
テーブルの上には誕生日ケーキや豪華な料理が乗っていた。
「瑠奈さんから聞いてみんなで準備したんです!」
莉奈が満面の笑みを浮かべて言った。
「てか、瑠奈とも仲良くなっていたのね」
以前、偶然出会った時に連絡先を交換していたのは覚えているが、まさかここまで仲良くなっているとは思っていなかった。
「いつも、四宮さんには驚かされてばかりだから、たまには私たちも驚かせようと思ったんだよね」
「ですです」
美穂の言葉に莉奈が同意する。
「みんな、ありがとう」
俺は軽く感動していた。
「お兄ちゃん、何泣きそうになってんのよ。ほら、手洗ってスーツ脱いだら」
「おう、そうするわ」
瑠奈に促されて俺は洗面所で手を洗い、スーツのジャケットを脱いだ。
「はいはい、お兄ちゃんはここに座る」
俺の正面には誕生日ケーキが置かれている。
そこにはローソクが立てられ、チョコで出来たプレートには『誕生日おめでとう』の文字が書かれていた。
火がつけられたローソクを俺は吹き消した。
「改めて、おめでとうございます!」
「いつもありがとうございます!」
「おめでとうございます!」
Whiteのメンバーはそれぞれお祝いの言葉をかけてくれる。
「本当に嬉しいよ」
正直、ここ数日は忙しくて自分の誕生日を忘れてしまっていた。
いつも、瑠奈はお祝いしてくれるのだが、今年はWhiteのメンバーを含めてすごく豪華なものになった。
俺も歳なのかはわからないが、涙が出そうになる。
自分が育ててきたアイドルにお祝いしてもらえるのはシンプルに嬉しいものである。
「さ、食べようか」
俺はテーブルの上に並んでいる豪華な料理を眺めて言った。
「うん、莉奈さんたちも手伝ってくれたんだよ」
「そうなのか。そりゃすごいな」
「四宮さんの為に頑張りました!」
瑠奈の手作りだとは思っていたが、莉奈たちも料理に協力しているという。
「いただきます」
そう言って、俺は料理に手をつけ始める。
「うん、美味い!!」
やはり、我が妹の料理が一番だとつくづく思う。
「ありがとう」
そこから、俺たちは料理を楽しんだ。
小一時間ほどであらかた料理は食べ終わってしまった。
「これ、私からのプレゼントです」
莉奈が綺麗に包まれた箱を手渡してくれる。
「ありがとう。開けてもいいか?」
「はい、もちろんです」
俺はその箱を綺麗に開ける。
「おお、ネクタイ! 嬉しいよ!」
箱に綺麗に青色のネクタイが入っていた。
「四宮さん、いつもスーツだから関係するものがいいかなって」
確かに、仕事の時はずっとスーツ姿である。
夏場の暑い時以外はネクタイをしているので、これは嬉しい。
そして、美穂からはネクタイピン。
友梨からは香水をプレゼントしてもらった。
どちらも実用的なものなので日常的に使っていくことができるだろう。
「はい、私からはこれ」
瑠奈からもそこそこの大きさの箱に入ったプレゼントをもらった。
「靴か、ありがとう」
「うん。お兄ちゃんずっと同じ靴履いてるから」
「よく見てるな」
「まあ、妹ですから」
なぜか誇らしげに言う。
今日は、人生で一番嬉しい誕生日となった。
そして、決意する。
彼女たちの笑顔をこれからも守っていきたいと。
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