第106話 最終選考通過者
翌日、俺は事務所に出勤する。
昨日のうちに出来なかった最終選考に通す志望者を決定させるのを、今日のうちには終わらせておきたかった。
今日は休日の為、社員はいつもより少ない気がする。
そんな中でも社長室の電気は付いているので、社長は出勤しているようだ。
本当に、いつ休んでいるのか分からない人だと思う。
「よし、やるか」
俺はデスクに座ると、パソコンを立ち上げた。
最終選考に通す志望者を本気で悩みながらも決定して行く。
俺のこの判断でこの子たちの人生が大きく変わってしまうかもしれない。
アイドルになるということは、それだけ覚悟が必要なことなのだ。
踊って歌うことだけがアイドルではない。
自分の個性をどう活かして行くのかということが求められる。
それを踏まえて、俺は最終選考に通す志望者を決定した。
「社長、今よろしいでしょうか?」
「ああ、大丈夫だ」
社長はパソコンの画面から目を離した。
「アイドルオーディションの最終選考ですが、この子たちを通そうと思っています」
俺は社長に資料を手渡した。
最終選考を通すと決めたのは全部で6人だった。
社長は俺が渡した資料をペラペラとめくって行く。
「四宮くんが通すと決めたんだ。素質があるんだろ?」
「はい、彼女たちはアイドルに活かせる個性を持っていると判断しました」
「分かった。彼女たちをアイドルオーディションの合格者として発表する」
「ありがとうございます」
これで、審査員長としての俺の仕事は終了したわけである。
「責任を持って彼女たちに合格通知を送る。ご苦労だったな」
「いえ、彼女たちの活躍を期待しますよ」
自分がこの子たちならと見込んだんだ。
ぜひとも頑張ってもらいたい。
おそらく、俺が彼女たちを直接プロデュースすることは無いだろう。
今はWhiteのことで俺はいっぱいだ。
Whiteは着実に成長してくれている。
だからこそ、俺は見てみたいのだ。
彼女たちが今後、どんな事をやってくれるのか。
「では、私はこれで失礼します」
そう言うと、俺は社長室を後にした。
そして、俺は通常業務へと移る。
Whiteへの出演依頼が殺到しているので、そちらのスケージュール調整や営業電話などをしていく。
「さて、そろそろ帰るか」
窓の外を見ると、日が暮れ始めている。
カバンの中に必要書類やパソコンをしまうと、帰路に就いた。
いつも通り、電車に揺られて自宅の最寄り駅に到着する。
「ただいまー」
自宅の玄関を開けて靴を脱ぐ。
「あれ?」
いつもなら瑠奈のおかえりが聞こえてくるのだが、今日は聞こえない。
それに、リビングの電気も真っ暗になっていた。
「出かけてるのかな。今日は休みって言ってたけど」
そんな事を思いながら、俺はリビングへと入った。
その瞬間、パッと電気が付けられた。
原稿が落ち着いたので投稿再開致します。
短編を投稿しました!
『余命半年の天使〜最期の花火は君と〜』
https://book1.adouzi.eu.org/n2630hf/
是非読んで頂ければ幸いです。
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