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【Web版】人脈チートで成り上がる地下アイドルプロデュース〜ビラ配りしていた売れない地下アイドルの人生変えてみた〜【コミカライズ】  作者: 津ヶ谷


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第104話 捨てちゃいけないもの

 今でこそ、俺はアイドルプロデューサーとして成功している分類に入るのかもしれない。

しかし、ここにくるまでは俺もいろんな事を経験してきた。


 高校を卒業し、俺は大学に進学した。

当時は教師を目指していた。

そのために大学まで進学したのである。


 しかし、大学3年になろうとした時、俺は大学を辞めた。

別に、勉強にはついて行けたし勉強が嫌になったというわけでもない。


 単純に、教師になりたいという夢が潰えたのである。


『今時大学くらい卒業しておかないと』

『大学辞めるなんてもったいない!』


 両親はもちろん、色んな人に止められた。

しかし、俺はそれを押し切って大学を辞めた。


 大学を辞めて特に当てがあったわけではない。

しばらくはバイトでもして食い繋げばいいと楽観的に考えていた。

 

 そんな時、前の事務所の先代に拾ってもらった。

事務所が変わって、Whiteに携わるようになってからも俺の毎日は充実している。


 今の事務所に入る時、望月社長に聞かれた事があった。


「四宮くんはあの子たちに人生賭けてもいいと思っているのか?」


 その問いに俺はすぐに答える事ができた。


「もちろんです」


 大学を辞めると決めた時、俺のことを『逃げた』と言って嘲笑うような奴もいた。

特に、同期で同じ教員を目指していた奴からはそんな後ろ指をさされたこともある。


『大学も卒業できないようなやつは何をやっても続かない』


 そんな風に思われていたのだろう。


 それでも、俺は捨てちゃいけないものがあると思う。

挫折して、地面に膝が付きそうになっても捨てては行けない信念。


『人脈』『縁』『繋がり』


 俺はこれを捨てることは絶対にできなかった。


 昨今、“人脈“というのは“コネ“という言葉で悪い印象が付いてしまっているかもしれない。

しかし、正しい付き合い方をすればすごくありがたいものであり、素敵なものだと思う。


 “人脈“というのはとてもカッコいい武器だ。


 大学を辞めたあの日、俺は全てを捨てようとしていた。

そこに、光を差し込んでくれたのは一人の地下アイドルの女の子だった。


 あれは寒い冬の日だった。


「お願いします」


 必死にビラを配っている女の子がいた。

何もなかった俺にはそれがすごく輝いて見えた。


 何人もの人が彼女の前を通り過ぎていく。

しかし、彼女はそれでも配り続けた。


 その子がきっかけで俺はアイドル業界に興味を持つようになる。

そして、今は縁があり、プロデューサーとしてアイドルに関わる仕事ができている。


 今、あの子がどこに居るかは分からない。

でもきっと、まだこの業界にいるはずである。


 あの目は、簡単に夢を諦めるような目ではない。

おそらく、グループが変わったのだろう。


 今の立場があるからこそ、俺は彼女に言いたい。


『ありがとう』と。


「よし、いくか」


 そんな昔話を思い出しながら、俺は今日も仕事に向かった。


 俺の仕事は彼女たちの背中を押してあげること。

目標に向かって一緒に努力することなのである。


 この仕事は、俺にとって天職なのだ。

 

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