TS転生エルフのずっと引きこもり日記5
身体の力が抜けるつれて視界が開けてきて辺りのようすが見えてきた。
あんなに上れない思ってた廃坑の南側の壁は崩れ落ちて瓦礫の山だった。
ヒラヒラと舞うのは蝶の羽根の残骸…。
飛行挺は壁面に寄りかかりひどい状況だ。
もうもうと立ち込める砂ぼこりの向こうに自称『破壊の魔女』が荒い息でたっていた。
そして…倒れ伏す髭男とアイオン陛下と部下…一番近くにいた中年男はちょっと赤いものが見えたからなんかぶつかったのかもしれない。
私を抱き締めているラルーナ陛下は…きちんと立ってるし怪我はないみたいです。
つまり、防御魔法の近くにいたいないで倒れたり大丈夫立ったりするのか…。
「あら、無事、なんで、すのね。」
自称『破壊の魔女』が息切れしながらも艶やかな笑いを浮かべた。
「パルラがまもってくれた。」
ラルーナ陛下が静かにいった。
「私も、あなた様だけ、は避けたつもりですわ、大事な玉体ですもの。」
徐々に息を整えながら自称『破壊の魔女』が言った。
「お前の思惑通りにいくつもりはない。」
ラルーナ陛下が冷ややかに言った。
「もちろん、そうですわよね…私が決めましたの。」
自称『破壊の魔女』が力を練り始めた。
空気が振動する。
どうしよう…もう一度防護魔法を…。
「パルラ、必ず守る。」
ラルーナ陛下の黒銀の瞳が目の前にあった。
「ラルーナ陛下…。」
私は…うん、この人を守るために…。
ラルーナ陛下が私を離して前に立って剣を抜いてかまえた。
私も集中する、力で網を編んでいく。
「さあ、私の前にひれ伏しなさい!」
自称『破壊の魔女』が自分に酔ったように手のひらを前につきだした。
圧倒的な質量の力が放たれる。
「させない!」
私は叫んだ。
力を包み込む。
反動が身体にきた。
意識が飛びそう…。
ダメだ…ラルーナ陛下を守らなきゃ…。
男なんだから…やるときはやるんだ。
「がんばりますわね、カマエルフさん。」
自称『破壊の魔女』が力の出力をあげたのがわかる。
「余裕だな、破壊の魔女?」
ラルーナ陛下が動いた。
剣で自称『破壊の魔女』の胴に切りつける。
胴に届く前に剣が弾き飛ばされる。
「あら、ラルーナ陛下のお相手はカマエルフさんの始末が終わってからですわ。」
自称『破壊の魔女』がラルーナ陛下に意識をむけた。
『いまだーやっちゃえー!』
能天気のグラがいった。
攻撃魔法がありゃやってますよ。
『あー、ごめん。』
グラが本当にすまなそうにいったい
意識が戻った瞬間力に飛ばされた。
そのまま地面に叩きつけられる。
「パルラ!」
ラルーナ陛下の叫びが聞こえた。
「余裕ですの?たんなるばか?」
自称『破壊の魔女』の声がした。
呼吸が出来ない…意識が飛ぶ…。
『パルラ…まだ死なないで!覇王が生まれちゃう!』
グラの声がしてなんとか意識を戻した。
ラルーナ陛下の黒銀の瞳が目の前にあった。
頭を抱き抱えてくれてるらしい。
「パルラ…待ってろ、今片付けてくる。」
ラルーナ陛下がそっと地面に私をおろしてゆらりと立ち上がった。
覇王…ラルーナ陛下が…?なんだ…最初からグラの手の中だったんだ…。
ラルーナ陛下が好きなのも…こんなに執着するのもグラの…。
ラルーナ陛下が剣を持ち直した。
砂を自称『破壊の魔女』に投げつけるのを呆然と見つめた。
ラルーナ陛下が私の事を愛してくれてるのもグラの計画?
「そんなにカマエルフさんが大事ですの?」
自称『破壊の魔女』が砂を弾き飛ばしながら言った。
「私のすべてよりも!」
ラルーナ陛下が自称『破壊の魔女』の腕に切りつける。
あの感情も…グラの…。
どうしてこんなにラルーナ陛下が好きで好きで好きで仕方ないんだろう?
たとえグラの計画でもいい。
私もラルーナ陛下の事この命よりも愛してる!
『うん!僕に気持ちなんて操れないからそれはパルラの本当の気持ちだよ!』
グラがまた出てきた。
いい加減…私…死ぬのかな…。
瞼が重いだけど…。
『だ、か、ら、死なないって!』
グラがなぜか保証した。
戦闘が続いている…魔法を使わないラルーナ陛下の方が不利だ。
守らなきゃ…。
重い身体を引きずって半身を起こした。
最高級の防護魔法を…。
飛行挺の方から誰かが出てくる。
そのまま自称『破壊の魔女』に背後から襲いかかった。
「後ろが甘いんだよ!」
ハミルトン護衛士が組み付いた。
「な、何をなさいますの?」
自称『破壊の魔女』があわてた。
「最高級の防護魔法がたぶんかかってるオレにはきかねぇ、やれ!我が君!」
ハミルトン護衛士が超リスキーなことを言ったので慌てて魔法を強化する。
ラルーナ陛下がそのまま袈裟懸けに剣をおろした。
自称『破壊の魔女』が目をつぶった。
自称『破壊の魔女』の肩から赤いものが飛び散る。
「ルートシルさ…ま。」
自称『破壊の魔女』は前に倒れこんだ。
「オルラータ!」
様子をうかがってたらしい中年男が駆け寄った。
よく見るとアリアン陛下が髭男たちに武器を突きつけている。
最新の武器の方が重いからとばなかったらしい。
「オルラータ!オルラータ!死ぬんじゃなーい!」
中年男が自称『破壊の魔女』を抱上げていった。
自称『破壊の魔女』は脱力している。
「お父様…ルートシルさ…逝きます。」
弱々しく自称『破壊の魔女』がいった。
「…そんなに入らなかった。」
ラルーナ陛下が不機嫌そうに言って自称『破壊の魔女』に近づいた。
「近づくな!」
中年男が威嚇してるのを無視してラルーナ陛下が自称『破壊の魔女』の肩をつなぎのそでを破って縛って止血した。
「きちんと裁きを受けてもらう、フーマエルンの思惑も聞きたいしな。」
ラルーナ陛下がちらりと髭男たちに目をやった。
「…ルートシル様は…ラルーナ陛下がいいですわ。」
自称『破壊の魔女』が薄目を開けて言った。
「断る、私はチエアイス武王国の国王で、パルラの伴侶だからな。」
ラルーナ陛下はそういってハミルトン護衛士に拘束を指示した。
「さて、ここからどうに出るか…。」
ラルーナ陛下が呟いた。
「なーんもかんがえてないな、お前。」
ハミルトン護衛士が拘束しながら半眼になった。
「なんとかなるだろう?」
ラルーナ陛下が爽やかに笑った。
うん、なんとかなるよね。
「パルラ、うちに帰ろう。」
ラルーナ陛下がそういって私を抱き締めた。
「はい、帰りましょう。」
私もラルーナ陛下を抱き返した。
蝶と飛行挺が飛んでくるのが見えた。
たぶん大丈夫だよね。
ラルーナ陛下がいればなんとかなるよね。
その後ろから天竜の大群が来たときはどうしようかと思った。
「ルレーアス…やっと来たか。」
ラルーナ陛下が本当に嬉しそうに笑った。
カササダ竜騎兵団の旗が青空に翻った。
「かくしだまかよ。」
ハミルトン護衛士がアリアン陛下の部下というか護衛士仲間と協力して拘束しながらいった。
…なるほど…コネを使ったわけか…。
「さあ、行こうパルラ。」
ラルーナ陛下が私の肩を抱いて歩き出した。
正確にはよろける私を支えてだけどね。
ああ、情けないよね、私。
連載、美形年下武人殿下の許嫁らしいです。(辞退いたします~。)にルレーアスが出てます。
コネの理由となります。
よろしくお願いいたします。
駄文を読んでいただきありがとうございます♪




