TS転生エルフの引きこもり日記2
今日は水浴びでもしに行こうかな?
お客が近々くるらしいし…。
「おい、絶対にパルラちゃんの水浴び覗くんじゃねーぞ、死にたくないだろう?」
マリエスさんが言った。
「そんな大げさな、同性なんだし一緒にはいっても…。」
まあ、ゴニョゴニョは見たくないけど…タオルで隠してもらえば…。
「オレは良いぜっ、てか一緒に行きたい。」
ジャステックが言った。
ジャスティックとは年齢が近いんだ。
「殺されるぞ。」
アイオンさんが言った。
「そんなおおげさな…。」
イリアスさんが言った。
この二人は少し年上のお兄さんなんだよね。
基本エルフは長命で子供が生まれづらいんです。
だから子供は一族中で可愛がります。
「いいか?パリアスに殺されたくなかったら…ちゃんと離れてろよ。」
マリエスさんが言った。
マリエスさんはお父さんと同じくらいの人だ。
お父さんどんだけ信用されてないんだろう?
「…いってきます。」
私は専用と化してる森深くの泉にいくために着替えをつめた籠リュックを背負った。
帰りに山菜とか、薬草採集をしてこよっと。
けっこう、いいのが生えてるんだよね。
「たまには仲間とわいわい、水浴びしたいな…。」
私は呟いた。
森の奥の木立に囲まれた泉は
まるで宝石のように輝いている。
いそいそと服を脱いで泉にはいる。
冷たいけど、風呂好き民族日本人(前世)
としては嬉しい瞬間だよ。
村にはサウナはあるけど…。
温泉無いしな(泣)
エルフは水浴びなんですよ、あとは。
決まった水場で男友達とワイワイガヤガヤ
水浴びトークしたいのに。
お父さんとお母さん、村の女友達、マリエスさんや師匠とか村長とかが許してくれないんですよ。
いつも、ジャスティックとかヤバイこといってるけど、じょ、冗談だよね。
「今日のご飯何にしようかな?」
トマトがあったよね。
パスタがあったから青ジソいれてスパゲッティにしようかな?
実はご飯は村に居残り組が作ってるんだ。
そこで、なぜか、メニューとか私が決めてるんだよね。
信頼されてて嬉しいけど…。
他の村人は…戦闘能力を買われて小競り合いとか…
戦争とかに駆り出されるんだよね、他の一族と混じってさ。
なんか、他に稼げる手段がないかな?
『エルフたちはずっとこういう生活だからね。』
グラがいきなり、通信してきた。
まったく、困ったワンコだよ。
まあ、さびしくないっていえばない。
『そうだけどさ、なんとかなんないかな?』
うん、どっかで用心棒するとかさ。
『うーん、まあ考えるのはただだし。』
グラが言った。
まあ、そんなに鋭いほうでもないんだけど…。
グラと脳内会話してたせいもあるしね。
「麗しいな。」
誰かの声がした。
「だれ?」
私は声がする方をみた。
不味い、近くに仲間のエルフがいない。
「警戒されたな。」
岸辺に白銀の短い髪に黒銀の瞳の
長身のたぶん人間が立っていた。
イケメンだぁー。
わー、どうしよう?
あの近くに着替えが!
「当たり前です、陛下。」
もう一人人間が顔を出した。
「そうか、あやしいものではないぞ、剣の一族のもの…か?」
白銀の短い髪の人間が言った。
「そうですよ。」
なんとかしないと。
「村に案内してくれないか?契約者だ。」
白銀の短い髪の人間が言った。
「あの、服着ますね。」
私は岸にあがった。
水を蒸発させる魔法で霧を発生させて
身体を隠しながら着替えた。
まあ、同性だし、多少見えても仕方ないよね。
「美しいな。」
白銀の短い髪の人間が言った。
「そうですね、エルフは総じて美しいですが…そのなかでも群を抜いているかと思います。」
お供らしい茶色の髪に緑の目の男性が言った。
お世辞だよね。
もっときれいなエルフいるもんね。
なんとか服を着替えた。
私、男服じゃ無いんだよね。
膝した丈のワンピースなんだ。
今日のは女友達のエーミアがどっかの戦争に駆り出されたときに
布地を買ってきてくれて、自分でしたてた異国情緒溢れる模様なんだ、ペーズリーっぽい。
本当はジャスティックたちみたいな短いチュニックにズボンくらいにしたいんだけど…みんながこっちがいいって言うし。
両親がにあうっていうからいいんだ。
みんなもだけど。
ズボンはしたにはいてるけどね。
「そうだな、では案内を頼む。」
白銀の短い髪の人間が言った。
なんで、ガン見なのかな?
『運命の出逢い?』
グラが寝言を言った。
『違うんじゃない?』
うん、まあ、客だよね。
前世ならキャーって思うイケメンだよ。
今世でも少しだけにやけちゃうのは
私、好みだからです。
ま、しょせん、同性だけどね。
「こちらへどうぞ。」
私は籠リュックを背負いながら言った。
お客がいる以上山菜とりとか薬草採集は諦めないとみたいだ。
「陛下、失礼ですよ。」
案内していると後ろから声がした。
「そうか?だが…。」
白銀の短い髪の人間の声もする。
「なにかあったんですか?」
私が振り替えると白銀の短い髪の人間と目があった。
「…まあ、気にしないでくれ。」
白銀の短い髪の人間がほほえんだ。
ああ、本当に好みのイケメンだよー。
でも、同性だもん。
発展もなにもないよね。
どうして、女に生まれなかったのさ。
ま、相手にされないだろうけどね。




