16.勇者と魔王
以下は、あくまでも個人の見解です。
絶対的にそうだという保証はありませんので悪しからず。
「ハッハッハッ! あるあるネタがある限り、私は何度でも蘇る!」
という感じで、ちょこっとだけ帰ってまいりました、第十六回『ラノベあるある辞典』。
お久しぶりの方はお久しぶり、初めましての方は初めまして、でございます。
して、長き眠りから覚めた今回お送りするお題は【勇者と魔王とテンプレート】です。
さて、あなたは『勇者と魔王』という設定を見たことがありますか?
おそらく、ないと答える人はほぼいないでしょう。日本に住んでいる以上、それは『寿司と天ぷら』『風神と雷神』『横断歩道と白だけ踏む小学生』を見たことがないレベルと同じと言っても過言ではないでしょう。
しかし最近、この設定が王道パターンで使われることが少ない気がします。勇者が魔王を倒すべく冒険の旅に出る、といった展開は逆に珍しいのではないでしょうか。
では、何故そういうことなっているのか。
今回は、その辺りに触れていこうかと思います。そして、それを語るのに重要となってくるキーワードが『テンプレート』。
ここで言うテンプレートとは、ひな形や典型、お約束や定番と言われるようなモノのこと。例を挙げるなら『曲がり角で転校生とぶつかる』『使えないとされてきた能力が大活躍』『死ぬと神様が色々と丁寧に説明してくれた後、異世界に送ってくれる』などなど。
そして『勇者=正義、魔王=悪』という構図で、最後には正義が悪に勝つ、という勧善懲悪のシステムが組み込まれたストーリーが『勇者と魔王』のテンプレートです。(勧善懲悪については、第十二回を参照してね。そしてPVを上げてね(本音))
では、どうしてテンプレートがあるのに今、それを変化させたモノが人気なのか。
その理由は、このテンプレートが、もうみんなに知られているから。
さて、ここで問題です。
寿司屋では、何が食べられるでしょうか?
天ぷら屋では、何が食べられるでしょうか?
……きっとあなたは「何だ、このバカな問題は」と思ったことでしょう。
あるいは「何だ、このバカな出題者は」と思った方もいるかもしれません。
安心してください。見た目は大人・頭脳は子供な出題者ですが、さすがにこれくらいは知っています。
寿司屋では寿司が、天ぷら屋では天ぷらが食べられる。
常識ですね。つまり『みんなが知っていること』です。
ですが、もし、カルボナーラが食べられる寿司屋が、ショートケーキが食べられる天ぷら屋があったとしたら、あなたはどう思うでしょうか?
寿司屋『なのに』カルボナーラ。
天ぷら屋『なのに』ショートケーキ。
と、これまでの常識と違うモノは、人の興味を惹きます。どんなモノなんだろうか、と想像させます。
私は個人的にこれを、『なのに』の法則、と呼んでいます。
そして、最近流行している『勇者と魔王』も、この法則で語ることができます。
勇者『なのに』正義じゃない、魔王『なのに』悪じゃない――などなどの要素を盛り込み、これまで常識としてきたモノと違うモノだからこそ、より多くの興味を惹き、内容を知りたい人を本編へと導くことができるのです。
しかし、『なのに』の法則にも、注意しなければならない点があります。
一つは、対象が常識レベルでなければならないこと。
例えば「英語の田中先生『なのに』甘いものが苦手」と言われても、対象である「英語の田中先生」を知らない人からすると、何のことだか分かりません。
なので、対象が広く知られていることが重要となってきます。
もう一つは、どんどんと目新しさが薄れていくこと。
『なのに』の法則は、意外性が武器です。ですので、同じような設定が増えてくると、どうしても目新しさは失われてしまいます。
どこの寿司屋でもカルボナーラが食べられるようになったら、それが当然となってしまいますからね。
『勇者と魔王』という設定は、常識となるほど古くからあり、多くの方々が使ってきたモノです。
そして今、その常識を逆手に取ったモノが人気となっています。
なので自分が常識と思っているモノも、改めて見直してみると、また新しい発見があるかもしれません。
物語の世界にはテンプレートと呼ばれる常識が、まだまだあるのですから。
ではまた次回、お会いできれば。
ご意見・ご要望などなど、心よりお待ちしてます。




