第81話 イルミンズールの危機
イルミンズールと、その周辺の都市に敵が迫っていた。
アルビオン軍を退けた宝眼教の一軍と、白百合十字騎士団を全滅させた黒騎士イラドのステルスSA部隊である。
白百合十字騎士団は結局全滅し、全員封印されていた。
「敵が2方向より迫っております。アルビオン軍と白百合十字騎士団は、壊滅。カイザーブルクは、ブラド軍相手に有利に戦闘中。終わり次第、向かうとの事」
イルミンズールに防衛隊を展開するアールブとドゥエルブの元に、森エルフの部下が戦況を報告しにやってきていた。
「よし!カイザーブルクが戻るまで、イルミンズールを守るぞ!」
アールブが、戦車の上に設えられたソファーの上で、部下に檄を飛ばす。
彼女の部隊は、イルミンズールの周囲に広く砲撃陣地を築いていた。
「ルイーズ殿は、どこにおられるか!!」
イラドは、そう叫びながらイルミンズール周辺からの砲撃の真っ只中に突入した。
素早い動きで砲撃を避ける。
ふくらはぎの兵器庫の中からグレネード弾を次々投下して、砲撃部隊を破壊していく。
空になった兵器庫には、インベントリから次々にグレネード弾が補充される。
同じ攻撃を、SAハイドランジアを身に付けたジュデッカ、トロメーア、アンテノーラも繰り返す。
次々と砲撃部隊が撃破されていく。
広く展開していても、飛行して肉迫する彼等には有効な対処にならない。
「カイン様に逆らうとはイラドよ!心まで機械に支配されたか!?」
イラドに、アールブが乗る大型SAティアマットの巨体が激突してきた。
「私は、もうルイーズ殿の首をあげなければ一歩も前に進めなくなってしまった!!狂っているというなら、言えばよい!!」
イラドは、ティアマットを押し返した。
「このティアマットが、パワー負けするだと!!」
アールブは、驚嘆の声を上げる。
「おのれ!イラド!」
そこに、SAケツァルコアトルを身に付けたドゥエルブが、魔法攻撃でアールブを援護する。
イラドの体から発する魔法防御が、それを次々と弾いた。
「そんな豆鉄砲では、痛くも痒くもないぞ!」
イラドは、そう叫ぶ。
「私の知るイラド卿ではない!戦士系だというのに、なんという魔力だ」
ドゥエルブも、驚嘆した。
そこに空中要塞ドクロ城が到着する。
宝眼教四天王は、攻撃に加わった。
城からの砲撃と彼等の攻撃で、イルミンズール側は、さらに大きな被害を受けた。
その宝眼教軍に、神格転身した虹色の翼の形をしたオーラを纏った、ピンクの鎧のベルタ、白い鎧のアヤが割って入った。
二人共、鎧の上から赤茶色のSAバヤールを身に付けている。
「スーパートゥインクルハート・メテオスォーム!!」
ベルタが叫ぶと、雲をかき分けて、4つの40フィートはあろうかというピンクに光るハートが降ってくる。
それが、四天王にそれぞれ衝突した。
酒呑童子と青頭巾は、吹き飛んだが何とか生きている。
晴明は、青い竜の現魔を身代わりに耐えた。
SAハイドランジアを身に付けた妲己は、それを楽々弾き飛ばすと、ベルタに向かって突っ込んでくる。
「ひえええ!」
ベルタが、悲鳴を上げた。
「カキィイイン!」
妲己の刀を、アヤのナイフが受け止める。
アヤは、弾かれて後退した。
「早い!」
妲己が、思わず叫ぶ。
「さすが、SAバヤールとアヤちゃんの組み合わせは、めちゃ早ね!」
ベルタが、アサシンであるアヤのスピードを褒めた。
「ふふふ、しかしパワーは、こちらが上だ。大人しく落とされるがいい」
妲己は、不敵な笑みを浮かべる。
その時だ。
後方に移動したガンスミスと、ドクロ城の艦橋にいた幻魔斎に、ノド本国から通信が入った。
「ノドの城が、攻撃を受けている。イルミンズール攻略にあたっている部隊は、迅速に救援に参られたし…」
ガンスミスはイラドに、その旨を伝え、撤退命令を出した。
『何故だ!!イルミンズール攻略は目の前。今なら、ルイーズの首をあげられたかもしれぬのに!』
イラドは苛立ったが、仕方なく後退を開始した。
宝眼教四天王は、幻魔斎の命令を素直に聞き入れて撤退する。
宝眼教軍とイラドのSA部隊が撤退後、しばらくしてカイザーブルクがイルミンズール周辺に到着した。
「予想以上に、手ひどくやられたな」
イルミンズールの惨状を見て、艦橋のルイーズは呟いた。
「新型SAは全てガイア王に送り、こちらは手薄。これでも善戦かと」
カインが、ルイーズに耳打ちする。
「しかし、ガイア王とプラダは、連絡通り動いてくれた様だ。オリアンド、オーバーワープ回路回復までの時間は!?」
ルイーズは、オリアンドに尋ねる。
「この距離の転移ならば、2時間はかかります。短距離転移は、かえって回路の負担になりましたので。申し訳ございません」
艦長席のオリアンドは、頭を下げる。
「謝らずともよい。ぶっつけ本番、充分な戦果もあげた。お前の功績だ」
ルイーズは、オリアンドに、そう返した。
「そう仰っていただけるとは、ありがたき幸せ」
オリアンドは、深々と頭を下げる。
「艦ごと転移するのは魔法では難しい、今から言う者は私と一緒に転移魔法でノドの城に向かうぞ!」
ルイーズは、立ち上がって言った。
「ふふふ、ルイーズよ。GMに隠し事は出来ない。個別チャット以外の情報は、全て筒抜けだ。現実世界に行けるかもしれない、お前の船。いつか必ず頂く。お前かガンスミスの、どちらかが、その技術に辿り着くだろうと思い、監視していた…」
自らの部屋で、空中に映し出されるモニターの中のルイーズ達の姿を見てデモゴルゴンは、ほくそ笑んだ。
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