第80話 大鎧宝眼大魔神
「敵要塞が25kmに接近。かなり高度を下げています。やっと視界に入りました」
晴明が、空中要塞ウインチェスターの接近を幻魔斎に報告する。
「よし、異界”大冥界”を発動する。同時に砲撃開始」
幻魔斎が、異界を発生させる。
辺りが暗くなり、三日月が現れる。
飛行、転移魔法が禁止され、妖魔、妖怪系のステータスが大幅に上昇した。
同時に、陽光溢れる草原がウインチェスターを中心に広がり、幻魔斎の異界と交じり合う。
善属性のステータスを強化する異界を、アルビオン軍側が発動したのだ。
空中要塞ドクロ城とウインチェスターが、砲撃戦を始める。
「魔法防御、残り60%。後十数分で、両要塞の魔法防御が消失すると思われます」
ドクロ城の艦橋の、あちこちから火花が飛ぶ。
モニターの幾つかが爆発して、負傷者が出ている。
「恐れるな!初撃を受けた向こうの方が、先に魔法防御を失う!」
幻魔斎が、檄を飛ばす。
「妲己、ドックにあるSAハイドランジアを使って出撃せよ!」
幻魔斎が、妲己に命じる。
「あれは、幻魔斎様が使用されるべくモリガン王から賜ったもの!私風情が使うわけにはいきません!」
妲己は、固辞した。
「あの紫色のSAは、お前の衣装にこそ映える。この私に、より美しい姿を見せてくれ妲己。それに、私は、”あれ”で出る」
幻魔斎が、少し優し気に言った。
「はっ!了解いたしました。この妲己、必ずやご期待に答えましょう!」
そう言うと妲己は、ドックに向かった。
「晴明よ。私の搭乗後に我がギルドのボーンゴーレムを、ドクロ城の前方300mに射出せよ。本来ならば、ルイーズの本拠を相手に使いたかったが、致し方あるまい。その後、お前は酒呑童子と青頭巾を伴って妲己の援護に向かえ」
幻魔斎は、晴明に命じる。
「はっ!了解いたしました」
晴明は、深々と頭を下げた。
「ゴゴゴゴ…」
重苦しい響きと共に、ドクロ城から巨大な人型が射出される。
それは、戦国武者の様な大鎧を着た骨の化け物だった。
兜から骸骨の顔が見える。
その両眼には、巨大な宝石がはめ込まれていた。
両手で、これまた巨大な火縄銃の様なライフルを持っている。
腰には大小の刀がさしてあった。
ボーンゴーレムの暗いコックピットの中、幻魔斎が光る魔法陣の上で座禅を組んでいる。
周囲から、黄金の鎧の節々に触手が伸びてきて突き刺さる。
「さあ、私の魔力を吸え大鎧宝眼大魔神!敵を蹴散らすのだ!」
幻魔斎が、叫ぶ。
大鎧宝眼大魔神は、その声に答えてライフルを空中要塞ウインチェスターに向ける。
恐るべき出力の魔力の弾が発射され、ウインチェスターに直撃した。
「メアリー様、魔法防御残り5%。これ以上の戦闘続行は不可能です!」
空を飛ぶメアリーに、ウインチェスターから通信が入る。
「仕方ない。後退せよ!」
彼女は、自らの空中要塞に撤退を指示する。
「おのれ!許しておかんぞ!!」
メアリーが、聖剣エクスカリバーを大きく振りかぶった。
「止められぬ攻撃!!」
エクスカリバーから出た光の刃で、大鎧宝眼大魔神は真っ二つになった。
「この大鎧宝眼大魔神が、たった一撃で!?」
倒れる大鎧宝眼大魔神の中から、幻魔斎は、なんとか逃げ出す。
「よくも、我らがボーンゴーレムを!」
飛んできた妲己が、日本刀の様な剣でメアリーに斬りかかった。
それをエクスカリバーで受け止めるメアリー。
妲己は、凄まじいパワーとスピードで連続攻撃を繰り出し、メアリーを後退させる。
「やれる!やれるぞ!このSAと私の力は、敵を上回っている!私の魔力が、普段の倍近くに上昇しておるわ!」
妲己が、叫ぶ。
「メアリー様!!」
そこに、メアリーの部下のSA部隊が割って入ろうとする。
「現魔蛟!氷結封じの術」
晴明が、青い竜の現魔を呼び出して、命令する。
メアリーと部下を冷たい霧が覆い、薄氷一枚凍り付かせる。
60分の5秒、その動きを止めた。
「もらった!」
妲己の刀がメアリーの肩口に命中するが、鎧に弾かれる。
動けるようになったメアリーが、妲己を突き飛ばして離れる。
「なんという防御力!さてはレジェンダリーアイテム以上の鎧だな?」
妲己は、チャンスを逃して悔しがった。
そこに、さらに酒呑童子と青頭巾が乱入し、混戦となる。
「エピック呪文完璧な落下!」
それを見守っていた、後方の幻魔斎がエピック呪文を発動した。
撤退中の空中要塞ウィンチェスターの姿が一瞬消え、次の瞬間に地上に叩きつけられて大爆発する。
「しまった!魔法防御を完全に失っていたか!」
メアリーが、叫ぶ。
「仕方ない!この借りは必ず返すぞ宝眼教!」
メアリーは、部下を引き連れて高速で去っていく。
「逃がさんぞ!」
妲己が叫ぶ。
「我々の目的は、ルイーズの本拠攻略だ。深入りはするな」
妲己に、幻魔斎からの個別チャットメッセージが入った。
「了解いたしました」
妲己達は、ドクロ城へと戻って体勢を整え、再び進軍を開始した。
よろしければ、評価、ブックマークいただけると嬉しいです。
励みになります。




