第66話 聖騎士集合
「彼等に、これから起こる厄災を考えると、少しばかり心が痛む」
ロムルス自治領からの帰途、カイザーブルクの艦橋。
ルイーズは、法王と枢機卿達から託された戴冠の印、ロムルス帝国の戴冠宝器を眺めながら言った。
剣、王冠、宝珠、王笏、十字架と黄金で飾られた品達だ。
それらは特に魔法的な力は無く、長い歴史の中でレプリカに置き換わってしまったのだろう。
「連中も後になって大変になるのは承知でしょう」
カインは、言った。
「お前は深く考えないだろうが、私の秩序と善性は放置を許さぬ。後ほど、我等の騎士を護衛に送る」
ルイーズは、そう返した。
「御心のままに」
カインは、目を閉じて言った。
「お帰りなさいませルイーズ様。永らく留守にしておりましたパラワンでございます」
イルミンズールの頂上に降り立ったルイーズとカインを出迎えたのは、パラワン神父だった。
他にもサンシール一行、ウェリオの顔もある。
サンシール達は、いぶかしげな顔でカインを見ている。
「ふむ、まずは情報交換が必要なようだ。全員、会議室へ」
ルイーズは、皆の表情を確認すると、そう言った。
「なるほど、ルイーズ様は、この白百合王国を含め4つの王位を手に入れたというわけですね。カイン殿までが仲間になっているとは驚きです」
モーギスが、言った。
イルミンズールの会議室は、それほど広くない。
20畳ほどの現代風の部屋に、20人ほどが座れる会議机が置かれている実にシンプルなものだった。
そこに、パラワン、サンシール、モーギス、ベルタ、アヤ、ウェリオ、ルイーズ、カインが向かい合って座っていた。
「しかし、今は全てが自称の域を出ていない。実際に領土を得るには、戦いは避けられないだろう。ノドの国の支配から、民を解放するのが直近の目標となる」
ルイーズは、ノド侵攻を決意していた。
「私達が、データ上の存在で、転生したわけじゃないってのには少し驚いたわ」
ベルタが、言った。
「残念だったか?」
ルイーズは、そう言った。
「いいえ、何か違和感はあったのよね。これで、私は真の魔法少女よ!」
ベルタは、満足そうだ。
「いやー、かあちゃんは、そのままだと思うけどな」
サンシールが、率直な意見を言う。
「かあちゃん言うんじゃない!」
ベルタがサンシールを、こづいた。
「まずは、パラワン神父。お前は、ロムルス自治領に向かい、ロムルス教会を守護しろ。彼等が、お前を枢機卿として迎えるように連絡しておこう」
ルイーズは、パラワン神父にロムルス教会の守護を頼んだ。
「承知いたしました。ウェリオよ、グレイオウルと傭兵団は返してもらうぞ」
パラワンが、そう言うと、ウェリオは頷く。
「ルイーズ叔母さん。俺は、用事があるんだ。しばらくは、旅に出たい」
サンシールは、任務を伝えられる前に申し出た。
「お前のことだ、何を言っても、そのアンジェリカという娘を追うだろう。好きにせよ。言わなくても分かっているだろうが、このウェリオの気持ちも忘れるな。今や、私の娘だ。ぞんざいに扱うのは許さんぞ」
ルイーズは、サンシールの旅立ちを許した。
「それでは、ベルタ、アヤ、モーギス、ウェリオ。お前達4人は、引き続きサンシールを補佐せよ」
ルイーズは、4人に指示を出した。
「そして、イストル。お前がいれば、リカルドという者にも対抗出来るだろう。同行してやれ」
ルイーズは、イストルに言った。
「はっはっは、よろしくなサンシールの坊ちゃん!」
イストルは、笑顔でサンシールに言った。
「盗賊系は最弱だったが、最終アップデートで最強に躍り出た。そのままサービス終了した以上、1対1では手強い相手だったろう。しかし、戦闘は一人で行うものではない。協力して脅威に立ち向かうのだ」
ルイーズは、サンシール一行に伝えた。
「…」
サンシールは、不服そうだった。




