第65話 聖ロムルス大聖堂への訪問
航宙戦艦カイザーブルクは、新しく開発中の首都イルミンズールから南下。
ロムルス教会自治領に向けて進出していた。
ロムルス教会自治領は、かつてエウロパ大陸を席巻したロムルス帝国の最後に残った領地である。
プレイヤーキャラのロムルス王と多数の仲間によって建国された帝国は、エウロパ大陸の大半を占領したが、長い時の中で衰退。
最後は、ノドの侵攻を受けて滅亡した。
ロムルス教会だけが、宗教組織として認められて生き残った。
自治領は、宗教上の最高指導者、第300代ロムルス法王と最高議会”法王聖座”によって治められている。
かつてロムルス王が建築した、聖ロムルス大聖堂が現在も本拠地として存在する。
「カインよ、ロムルス自治領を守護しているのは、ノドの同盟国ドラクル国のヴラド王だったな?」
カイザーブルクの艦橋、司令官席に座るルイーズは、横に立つ軍師カインに言った。
「そうだ。私のプレイヤー仲間だったヴラドが建国した国で、ノドの国の有力な同盟国だ。ロムルス自治領は、その中にある都市だ」
カインは、ルイーズに答えた。
「ふむ、ここまでは遮蔽装置でドラクル領内を無事に進めた。ヴラド王とは戦わずに、法王聖座と穏便に交渉をしたいものだ」
ルイーズは、そう言った。
「しかし、ロムルス自治領を開放するなら、遅かれ早かれ争いになるだろう。ヴラド公が我々の味方になってくれれば良いが、難しいだろう。今回の訪問では、争いは避けたいものだ」
カインは、言った。
「ルイーズ司令、間もなくロムルス自治領上空です」
艦長席に座るオリアンドが、報告する。
「遮蔽装置から、視覚妨害をカットして降下しろ」
ルイーズが、命令を発する。
カイザーブルクは、雲の中へ降下を始める。
古びた都市、ロムルス自治領の上空に美しい船体が現れた。
自治領は、人口数万の都市だが、広さは10km四方しかない。
あくまで宗教的総本山として、自治を認められているだけだ。
中心に、聖ロムルス大聖堂がロムルス教会の総本山として存在する。
「法王に訪問の連絡は済ませている。ゆくぞ!白百合十字騎士団の天使族の者は、私の護衛に就け」
ルイーズは、立ち上がった。
「この姿の必要があるのか?」
「彼等の様な宗教家には効果抜群です。第一印象が大事ですよ…」
ルイーズとカインは、ひそひそと話し合った。
大聖堂の前の広場に舞い降りたルイーズは、神格転身し虹色の翼の形をしたオーラを放ちながら、さらに若い姿になっており、現魔マリアを召喚した状態だ。
後ろには、カインと白百合十字騎士団の天使族の者達が付き従っている。
彼等は、聖堂から出てきた司教達に案内され、聖堂に招き入れられた。
聖堂の巨大な礼拝堂に入ったルイーズ達を待っていたのは、法王と枢機卿の老人達だった。
礼拝堂の奥には、20m近くある金色のロボットの様な人型が座っている。
「ゴールドゴーレム…皇帝騎エンペラーゴールド。あの姿のカスタムは、まさにイマジン最大人数ギルド、株式会社ロムルスのものだ」
「まさしく。今も動くかは分かりませんが」
ルイーズは、カインに耳打ちした。
カインも同意する。
「ギルドに1体づつ与えられた大型ゴーレム。あの頃は、皆がカスタムに夢中になったものだ。うちのクリスタルゴーレムも出せばよかったかな」
ルイーズは、言った。
「おお、その御姿はまさにロムルス皇帝陛下と同じもの!あなたこそ、皇帝位を継承するにふさわしい!」
ルイーズとカインがゴーレムの話をしていると、法王と枢機卿達がルイーズの前に歩み寄り、膝まづいて涙を流し始めた。
「どうか、我々を長い不遇の時代から、お救い下さい!」
法王は、泣きながらルイーズに懇願した。
『そう言えば、ギルドリーダーのロムルスは、似た見た目を選んでいたな。同じマリアを現魔として使っていた。それにしても、簡単すぎるな、こいつらは。よっぽど屈辱的な生活を強いられていたのだろう』
ルイーズは、カインの方をチラっと見て思った
「私が皇帝ロムルスの再来、ルイーズである。帝国の復権を約束しよう」
ルイーズは、剣を抜いて天にかざして宣言した。




