第63話 黒騎士の逆襲
「ガンスミス様、ボイオカッセの王城の上空に巡洋艦2隻を確認。距離300km」
ガンスミスの私設部隊に配備された、最新巡洋艦ナイトホーク。
彼の乗艦である。
ガンメタリックで、涙滴型の潜水艦の様な姿をしている。
パワラン神父の傭兵部隊に売却されたグレイオウルは、この艦の試作艦だ。
その雄姿が、夜の空に舞う。
艦橋でレーダーを見つめる副官のフェッラウが、司令官席に座るガンスミスに敵の巡洋艦の位置を報告する。
「よし、奴等の艦では、こちらを認識する事は出来ない。長距離ミサイルでの攻撃を開始しろ。威力は最低に設定」
「戦闘用意!ミサイル戦だ!」
ガンスミスの指示でフェッラウが、艦橋に号令を出す。
ミサイル発射から少し時間が経つ。
「敵艦の反応消滅。撃沈に成功した模様です」
フェッラウが、ガンスミスに巡洋艦2隻撃破の報告をする。
「よし、予定通りだな。イラド殿を出撃させろ」
ガンスミスが、ナイトホークからのイラド出撃を指示する。
「イラド、シュワルツリッター出る」
ナイトホークの上部ハッチが一つ開き、イラドと彼自身と一体となった漆黒の最新型SAシュワルツリッターが垂直に上空へ射出される。
それと同時に、6機のハッチが開き、大型の巡航ミサイルの様な姿をした随伴無人機が次々と射出された。
イラドは、すぐにボイオカッセの王城へ方向を変え、音速を越える速度で飛んでいく。
随伴無人機も、彼を追う様に同じ方向に飛んでいく。
『この私の自体も改造して適合させた、シュワルツリッター。次の機会に、この力で奴等を一人残さず倒して、騎士の名誉を取り戻す』
イラドは、ルイーズ達を思い出して思った。
シュワルツリッターの背中には巨大なコンバーターが搭載され、さらに各部にブースターが取り付けられている。
前回のルイーズ戦を反省し、横への旋回力も高めてあり、速度も向上してあった。
さらに重装甲の下には、武器を隠し収める武器庫がある。
間接戦闘の能力も強化されている。
遮蔽装置により、イラドは気づかれずに夜の王城上空に到達した。
巡洋艦撃沈で、多数のSAを装着したボイオカッセ国の兵士が警戒に飛び回っている。
イラドは、腕に取り付けられた機関砲で、敵SAを攻撃し始めた。
次々に撃破していく。
『射撃系スキルを何も持たない私が、簡単に当てられる。自動照準とは恐ろしいものだ』
イラドは、思った。
随伴無人機が、武器庫を開き、次々と爆弾を投下する。
城は、一瞬にして炎に包まれ、対空砲や対空ミサイルが次々に誘爆していく。
魔法で強化された爆弾は、通常の威力の何倍もの破壊力を見せていた。
『たわいもない。いや、この力が強力すぎるのだ』
イラドは、ガンスミスの開発した兵器の恐ろしさに武者震いした。
それを身に付けた万能感に包まれる。
「ボイオカッセ王は、いずこに!?」
ボイオカッセ王のいた塔に舞い降りたイラドは、剣を抜き叫んだ。
「ひえええ」
側近達が、ボイオカッセ王の王座に向かって逃げる。
「来るな!奴を止めろ!私を守れ!」
ボイオカッセ王は、近寄ってくる側近を蹴り飛ばしながら、イラドと逆の方に逃げる。
イラドは、側近達を無視して、王に迫る。
「さあ、王らしく尋常に勝負せよ!」
バルコニーの端においつめられたボイオカッセ王に、剣を向けるイラド。
「ひいいい!」
「バンバンバン!!」
ボイオカッセ王は、悲鳴を上げながら拳銃を乱射した。
しかし、むなしく外れる。
「この装備には、矢避けのバフがかかっている。そんな腕前では当てる事は出来んぞ」
イラドは、構わず前進してくる。
「ならば、これでもくらえ!」
ボイオカッセ王は、今度は魔法でイラドを攻撃しようとしたが、何故か発動しない。
「今の私は、完全な魔法的ステルスを獲得している。私を魔法のターゲットには指定出来ない」
イラドは、そう言うと、ボイオカッセ王の目と鼻の先にグイと近寄った。
「ひええええええ!化け物ぉお!」
ボイオカッセ王は、逃げようとしてバルコニーから地上に落下した。
「飛行魔法も使えんとは、それでも王か?」
イラドは下を見て、彼の死亡を確認した。
「ガンスミス私設部隊の騎士イラドが、ボイオカッセ王を討ち取ったぞ!!」
イラドが叫ぶ。
安全を確認したナイトホークが、城の上空に現れた。
「予定通りの戦果だ。この世界の戦争が変わるぞフェッラウ!」
艦橋でガンスミスは、満足気に言った。
フェッラウは、無言で礼をする。
『この力、全て奴等を倒す為に』
イラドは、充分な手ごたえを感じていた。
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