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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第二部 英雄と姫達
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第58話 トゥールラ攻防戦4~消耗戦

「この、ティアマットのパワーを思い知るがいい!」


 トゥールラ近くの草原。

 サンシールと戦うアールブは、自らのSAティアマットを突撃させていた。

 全高8m、全長30mを越える巨体が、サンシールに激突する。

 剣で受け止めるサンシール。

 しかし、何十mと後退させられる。


「絶避絶当!」


 サンシールの瞳に光が宿る。


 ティアマットの背中から、2つのドラゴンの首が現れる。

 頭と両手、背中の2つの首、合計5つのドラゴンの口からブレスが吐かれる。

 火、冷気、電撃、毒、酸の範囲攻撃が同時にサンシールに吐きつけられた。

 強い臭気を伴う煙が立ち込める。


「…」


 その煙の中から、サンシールが無傷で歩み出してきた。


「馬鹿な!何故、範囲攻撃を完全に避けられる!?エピック呪文を遥かに超える破壊力だぞ?」


 アールブは、驚愕の声を上げた。


悪竜斬りドラゴンスレイヤー!」


 サンシールが、必殺の一撃を放つ。

 ティアマットは、巨体に似合わぬ高速で避けようとするが、サンシールの剣から放たれた剣気で吹き飛ばされる。


「やるな!」


 アールブは、ガードしたティアマットの両腕に深い傷を受けたのを見て言った。


「しかし、ここまでは報告通りの能力。あの嫉妬深い正妻と同じ轍は踏まんぞ」


 アールブが、言う。

 ティアマットは、背中と両足のブースターを吹かして大きく後退した。

 数kmは離れた場所に、着地する。


「白象突撃砲部隊、前へ!」


 半径数kmでサンシール達を包囲する大きな影が、霧の中から現れる。


「ドーン!!」


 大きな音と同時に、サンシール達の周囲で大きな爆発が起こる。


「近距離砲撃だ!ダメージが桁違いに大きいぞ」


 モーギスが防御魔法で次々飛んでくる砲弾を防御しながら、叫んだ!

 3人は、反撃しようとするが防御中心になる。

 モーギスとサンシールが遠距離攻撃で反撃するが、相手はかなり分散しており1体づつしか倒せない。


「私が前に…」


 アヤが、言った。


「駄目だ!この霧では、同士討ちしかねない」


 サンシールは、アヤを制止する。


 さらに、空からは榴弾砲の長距離攻撃が続く。

 時折、ティアマットから強力なブレス攻撃も飛んできた。


「ゴブリン戦車部隊、突撃せよ!」


 アールブが、部下に命令する。

 砲撃が止まると、今度は霧の中から金属鎧を着たサイに引かれた戦車が突撃してくる。

 戦車には、何人かのゴブリンが乗っており、銃撃してきた。

 さらに、背中に爆薬を背負ったゴブリンが飛び掛かってきて自爆する。


「ドーン!ドーン!ドーン!」


 サンシール達に大きな爆発が降りかかる。


「破壊力がイマジン内の爆薬の威力よりも上だ。舐めてかかると、やられる!」


 モーギスが、警告する。


「くそっ!こんな低Lvな連中に、ここまでやられるなんて!」


 サンシールは、苦しそうに言った。


 その波状攻撃は、昼夜問わず何日にも渡って続いた。

 彼等は、出来るだけ強力な技を使わず消耗を抑え、回復薬頼りで戦い続けた。




「つまらんのう、もっとエピックスキルやディバインスキルが探れるかと思ったのだが。意外と慎重な連中だな。そのままでは、消耗するだけだというのに。」


 アールブは本陣に戻り、モニターで送られてくるサンシール達の戦いをチェックしながら言った。


「アールブ様、こちらの損耗が10万を越えました」


 部下の森エルフが、アールブに報告する。


「構わん。こちらはモリガン様の命令よりも多い100万近くを投入している。モンスター共や召喚現魔は含んでいないわ。食料や弾薬の補給が続く限り攻撃しなさい。分散攻撃と異界の霧で、予測より損耗は少ない。勝てるわね、この戦い」


 アールブは、手ごたえを感じていた。


「モリガン様にも伝えていない切り札を切る時ね。ノドと同盟を組んだ宝眼教に連絡を入れなさい。供与した空中要塞を前に出せと!」


 彼女は、同盟を組んだキタイ国の宝眼教に攻撃依頼を出すように部下に指示した。




 霧の中を、巨大な髑髏の形をした空中戦艦が前進を開始した。


「どうだ?この、モリガン様より頂いた空中要塞ドクロ城は」


 空中要塞ドクロ城の指令室で、司令官席に座る黄金の仮面を被った男が言った。

 派手なローブを羽織り、手には装飾の限りを尽くした黄金の杖を握っている。

 仮面は目も口も三日月の形の穴になっており、笑った顔に見える。

 その穴からは、ドス黒い煙の様なオーラが漏れ出している。


「素晴らしい雄姿!まさに、妖怪大魔王幻魔斎(げんまさい)様に相応しいですわ」


 黄金の仮面を被った妖怪大魔王と呼ばれる男の左横にいた、紫色の振袖姿の黒髪長髪の美人が言った。

 頭には狐の耳、九本の黄金色の尻尾を持ち、腰には日本刀を2振り差している。


「妲己よ、そうだろう、そうだろう」


 妖怪大魔王幻魔斎は、上機嫌だ。


「これだけの空中要塞を起動出来る幻魔斎様の魔力の大きさに感服したしました」


 妖怪大魔王の右横にいた白地に銀糸の装飾の入った狩衣姿の若い美青年が、続けて言う。


「ふふふ、この要塞を完全稼働させるには、お前達の様な優秀な従魔の魔力も必要だ。私だけの力ではない。だが、嬉しいぞ晴明」


 妖怪大魔王幻魔斎は、さらに上機嫌になった。


「だが、今回はあくまでノドに対する義理返しにすぎない。モリガン王からの正式な依頼でもないからんな。本気を出す必要はないぞ。妲己、晴明、軽く介入して、適当なところで引け!宝眼教従魔7人衆の力を見せてこい」


「はっ!」


 幻魔斎の声に応えた二人は、一礼してサンシール達に向かって出陣していった。


「よし、援護射撃だ!」


 幻魔斎は、黄金の杖を振り上げ魔力を込める。


 ドクロ城の口が開き、目が光始める。

 目と口から、エピック呪文に匹敵するような強力な魔力の光線が、発射された。


「危ない!魔法防御だ!」


 戦い続けるサンシールは、叫んだ。


「…!」


 サンシール達を、強力な光線が包む。

 周囲にいたゴブリンや暗黒兵団のアンデット達を巻き込んで、吹き飛ばされた。


「くっ!一度死んだぞ!Lvは下がらなかったが、デスペナルティで経験値をかなり持っていかれた」


 モーギスは両手を地面につきながら、悔しそうに言った。

 モーギスとアヤは一度死亡し、即座に自動パッシブ発動した復活アイテムで元に戻っていた。

 しかし、イマジンの世界と同様に、デスペナルティで経験値を失った。

 経験値を一定以上失えば、レベルダウンする。


 サンシールだけが、ドクロ城の強力な砲撃を回避していた。

 彼は、砲撃が放たれた方向を見たが、霧に隠されてドクロ城を視認出来ない。


「相当遠くだ。10km以上は離れている。正確な位置は掴めない」


 サンシールは、反撃の方法を思案したが、今は打つ手がない。


「ほほほ、幻魔斎様の為に、その首を置いていけえええ!!」


 サンシールは、突然現れた妲己に日本刀2本で斬りかかられた。


 続いて、ゆっくりと霧から歩み出た晴明が呪符を投げる。

 いくつかの種類の攻撃魔法が、次々とサンシール達に向かって飛んできた。


電気(エレキ)アーム!電撃の鞭(ライトニングホイッパー)!」


 今度は魔法を素早く回避したモーギスは、両腕に電気を纏うと鞭の様な電光で晴明に反撃した。

 それは、命中したかに見えたが、紙の人型が見代わりになり燃え、晴明は別の場所から現れる。


「最初の姿が幻影だったか!?」


 モーギスは、言った。


 続いて魔法を回避したアヤが、アサシンのスキルで妲己の後ろに回り込んで、ナイフで首元を狙う。


「キィイン」


 妲己はそれを日本刀1本で受け流す。


「なかなか、やるではありませんか」


「そうですね妲己。少しは楽しめそうだ」


 妲己と晴明は、言う。


「ちょっと、待った―!」


 その時、空中から若い娘の黄色い声が響いた。

 その声のあまりの美しさに、全員の動きが一時止まる。

 

 空中から、高貴な婦人のかぶる高級そうな、つばの広いキャペリン帽が、ひらひらと舞い降りてくる。

 サンシールは、自分の上に落ちてきた帽子を反射で掴んだ。


「サンシール様ぁああ!!」


 続いて、サンシール目掛けてアンジェリカが凄い速度で落下してくる。

 サンシールは、彼女を何とか抱き止めた。


「今日いちでダメージ受けた…」


 サンシールは、呟く。


「飛行魔法も、転移魔法も禁止になっていたので…申し訳ありませんわ」


 アンジェリカは、ペロっと舌を出した。



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