第56話 サンシールの秘密
「ついてくるがいい」
ルイーズは、そう言うと、ウェリオを伴ってイルミンズールの頂上広場に出た。
「さあ、亡国の王とハイエルフの姫の娘ウェリオよ、私に何を望む?」
二人きりになるとウェリオの方を振り向き、ルイーズは言った。
「トゥールラの街にいるサンシール様を、お救い下さい!ノドの軍団が迫っているのです」
ウェリオは、強く訴えた。
「ほう、街の者ではなく”サンシール”を救えか。ふふふ」
ルイーズは、笑った。
「その者は、おそらく私の甥だ。一騎当万の強者。その連れ達もそうだ。助けが必要とは思わないが、このような美しい娘に心配してもらえるとは、我が甥も隅に置けんな。感謝するぞ、娘」
ルイーズは、笑顔のまま言った。
「…」
ウェリオの顔が赤くなった。
ルイーズは、何かを察したようだ。
「サンシールが、お前を選ぶかは分からないが、もしそうなったら末永く手助けしてやってほしい」
ルイーズは、そう言った。
「はい、この命尽きるまで」
ウェリオは、そう答えた。
「我が甥には、特別な力があってな。それは、この世界に来ても同じく発揮されているらしい。あれの両親は特別な力を持っていてな、その子供達にも力があるのだ。イマジンの世界でも、相手の表層心理を読む事が出来る。その為に、幼い時から孤独で辛い思いをしてきた。そこでサンシールは、普段は力を抑え、わざと空気を読まない行動をしているのだ」
ルイーズは、サンシールの秘密を語った。
「イマジンの世界というのは、プレイヤーキャラと呼ばれる方々が来た世界と聞いております。その方々の超常の力の事でしょうか?」
ウェリオは、言った。
「うむ、しかしイマジンの世界といえども、人の心を読む力を持っている者は他にいないのだ。サンシールのエピックスキル”絶避絶当”は、本当はイマジン内に存在しない技。一人にしか効かないのも嘘、集中が必要な為に多数を相手にするのは苦手なだけだ」
ルイーズが、サンシールのエピックスキルが、本来のゲーム内のスキルではない事を説明する。
「私は、まだ、その絶避絶当という技を知りません。しかし、サンシール様は自分だけの特別な力をお持ちなのですね。そして、その為に孤独を味わっておられたと」
ウェリオは、何とか理解しようとする。
「そうだ、出来れば、あれの理解者になってほしい」
ルイーズは、ウェリオに頼んだ。
「はい!承知いたしました!」
ウェリオは、はっきりと答えた。
「…では、その覚悟が口だけではない本物か、見せてもらおうか?」
ルイーズは、剣を抜くと、ニヤリと笑ってウェリオに向けた。
『やはり、この方は恐ろしい人だ』
ウェリオの背中に、冷や汗が流れる。
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