第46話 悪役令嬢と好敵手の脳内会議
「あなたさぁ、あんな剣、お姉ちゃんが盗んできてあげるから粘着やめな」
アンジェリカは、ウベルトに言った。
「それじゃ意味が無い。奴に勝って奪わなければランキング戦での敗北の雪辱は果たせない!」
彼は、それを拒否する。
アンジェリカとウベルトは、個別チャット機能を使い、脳内の仮想空間で会話をしていた。
この機能を使えば、イマジンのゲーム内のスキルや呪文では、決して漏れる事は無い。
ウベルトの正体は、サンシールからデュランダルを奪おうとしたリカルドであった。
彼はノド最後、この世界に来た4人目のプレイヤーキャラのギルドメンバーである。
かなり見え見えの合流だったが、今のところはサンシール一行には知られていないようだ。
「あの男は敵だぞ。姉上は、何考えてるんだ?」
彼は、アンジェリカの態度に疑問を呈した。
「サンシール様は、ゲームシステムでは説明出来ない特別な力を持った方。暗黒竜ニーズヘッグを、バグ技で2体同時に呼び出し、たった一人で討伐したという噂は本当だったようね。あの方の心を盗んでこそ、最強の盗賊を名乗れるというもの」
彼女は手を合わせ、うっとりとした目で空を仰ぎ、言った。
「さすがは、この俺をアリーナで倒した男。しかし、この世界で勝つのは、この俺だ…」
ウベルトは、ニヤリと笑って自分の世界に入った。
「馬鹿ね!あんたなんかに勝てるわけないでしょ。お姉ちゃんの邪魔したら、許さないからね!」
アンジェリカは、仮想空間の中で、彼の頭をこづいた。
「五月蠅いな!どうせ、姉上なんてフラれる!リアルではモテなかったのに、セクシー怪盗とか似合わないんだよ!」
ウベルトは、怒った。
「つべこべ言うと身ぐるみ剥ぎ取って、獣の餌にするぞコラ!」
アンジェリカは、毒づく。
二人は、睨み合いながら個別チャットを抜けた。
「あいた!」
「でっ!」
森の中を歩くアンジェリカとウベルトは、同時に木にぶつかった。
個別チャットに気を取られていたのだ。
「ぼーっとして、どうかされましたか?」
モーギスは、飽きれた顔をした。
「この人達、有能っぽいけど、何か抜けてそうなのよね」
「天然っぽい…」
ベルタとアヤは、ひそひそと耳打ちしあった。
「森の中とはいえ、貴族らしさの欠片もないわね」
ウェリオは、ぶつぶつ文句を言った。
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