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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第一部 ヴァンパイアロード・カイン
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第40話 騎士叙任式(アコレード)と結婚式(ウェディング)【第一部完】

「ここが、ルイーズ様のギルドの本拠地のはずなのだが…。どこまで行っても森と草原ばかりだ」


 カインは、額の汗を拭き、歩みを進める。

 この地に転移してから半日。

 半径10kmほどの盆地を歩き回っているのだが、ギルド本拠地らしいものは見つからない。


「しかし、ギルド本拠地というものは偽装されている場合が多い。どこかに入口があるはずなんだ。キャラリセットで、魔力特化型から知力特化型に変更した実力を見せなければ。探知能力は、今の方が上だ」


 彼は、深いため息をついた。


「ザッザッザッ」


 さらに数時間彷徨った後、カインの耳に草を踏み分ける音が入ってくる。

 森の木々を縫うように二人の騎士が、それぞれ赤茶色にカラーリングされた機械の馬に乗って走ってくる。

 二人共、鎧に身を包んでおり、銀色のマントを羽織っていた。


「データは少々変わっているが、その人相はカイン殿か?私は、ルイーズさんと同じギルドのプレイヤーキャラ、イストル。数週前に復活したので、あなたとは初対面だが、話は聞いている。お迎えにあがった」


 その騎士の一人、ひょろりと長身の男が、カインに声を掛けてきた。

 適当にまとめられた短い赤髪、顔には満面の笑みを浮かべている。



「同じくイストルと一緒に復活したルノーと申します。以後、お見知りおきを。ルイーズ様が、お待ちです。」


 もう一人の騎士、涼しい雰囲気の美青年が、カインに頭を下げる。

 銀色の髪が綺麗に纏められ、優しそうな眼をしている。


「それでは、さっそく」


 二人の騎士の乗っていた機械の馬が、SAサポートアーマーに変形して彼等に装着される。

 両側からカインの腕を掴み、飛び立った。


「ちょ、ちょっと、まだ何も承諾していないんだが!」


 カインは、慌てた。

 もはや、後悔するような行動をしても贖罪魔法アトーメントは、発動しない。


「このSAは、我々のギルドの最新機体バヤール。心配はいらないよ!」


 イストルが、笑顔で言った。


「そういう事を言っているじゃないんだが!」


 カインは、イストルの返答を否定する。


「あなたが、あまりにデータと違うので、確認が取れるまで失礼いたします」


 ルノーが、カインに謝罪する。


「助けてぇ」


 カインは、小さな声で助けを求めたが、聞き入れられない。

 3人は結界を通り抜け、カイザーブルクへ向かって上昇していった。




「ふふふ、随分可愛くなったじゃないか。私が、ここに戻ってきてから1カ月。お前は、どれだけ経った?」


 カイザーブルクの艦橋に連行されたカインを見て、ルイーズはニヤニヤと笑った。


「半日前。何万年と経っていなくて良かった」


 カインは、答えた。


「ふふふ、そうかそうか。やはり、この世界の時の流れは、あやふやなものなのだな」


 ルイーズは、上機嫌で言う。


「さあ、早く新しいビルドを送れ。私の物になるのだから不服はあるまい」


 ルイーズは、カインに組み直したキャラデータの開示を要求する。


「…」


 カインは、渋々、個別チャットで新しいビルドをルイーズに送信する。


「ほう、魔力特化から知力特化に変更したのか。エピックスキルも現魔も、ほぼ全て失っているな。これでは、前の様に単独で大暴れは出来まい。大魔導士アークメイジから、学匠ローアマスターになったのは面白い。破壊力から補助能力重視に切り替えたわけだな」


 ルイーズは、送られてきたデータを見て感心した。


「これからは上に立つのではなく、人の役に立ちたい。それに、これが私の本来目指したビルドなんだ」


 カインは、言った。


「では、お前を我がギルドの一員として迎えよう。ここに来たという事は、覚悟は出来ているな?」


 ルイーズは、カインに問いただす。


「無論!」


 カインは、迷う事なく答える。


「一同。騎士叙任式アコレードの準備をせよ」


 ルイーズは、艦橋の全員に発した。




 イルミンズールの頂上に停泊する航宙戦艦カイザーブルクの甲板の上に、広い台が設けられた。

 一番後端に、白い羽根で飾られた銀色のマントを着たルイーズが、ジュワユーズを持って待ち受けている。

 頭には、黄金の王冠が光る。

 横にはイストルとルノーが鎧姿で立っていた。

 左右に銀色のマント姿の白百合十字騎士団が並び、ルイーズへの道を作っている。

 騎士団の一番先の者が、両側からギルドの象徴であるピンクに4つの白百合が描かれた旗を掲げていた。


 艦の中からオリアンドに先導され、カインが甲板に出てきた。

 白百合十字騎士団の横目に進み、ルイーズの前で膝まづく。


「この新しい聖騎士を迎えるにあたって、全員に知らせる事がある!私は、この地に白百合王国ホワイトリリィキングダムを建国する。この国は、あらゆる民の安住の地となる!」


 手を前に差し出し、ルイーズは建国宣言を行った。


 次にルイーズは、ジュワユーズをカインの肩にあて、言った。


「騎士カインよ。我がギルドに軍師として迎え、私に次ぐ地位を与える。その覚悟はあるか?」


 ルイーズが、カインに問いかける。


「他のギルドメンバーと共に、国事に尽くす事を誓う。ノドの王権と全ての財を含む我が身の全てをルイーズ様に捧げる」


 カインが、問いかけに応じる。


「よし、では面を上げ、立つがよい!」


 ルイーズが、カインに命令する。

 すっと立ち上がるカイン。


「では、同時に、私とこの者が婚姻を行う事を知らせる!」


 ルイーズは、高らかに宣言した。


「なっ…」


 何も聞かされていない事態に、カインが思わず躊躇する。


「どうした?私のものになる覚悟をしてきたのではないのか?」


 ルイーズは、カインに歩み寄り、彼を抱きしめた。


皇帝クイーンルイーズ様と、新しいキングに剣を掲げよ!」


 ルノーの掛け声に応え、イストルと白百合十字騎士団の全員が剣を抜き、胸の前に掲げた。


 観念したカインは、ルイーズと深い口づけを交わす。


 オリアンドが手を天空に差し伸べると、白百合があたりに降り注いだ…。





 第一部 ヴァンパイアロード・カイン 完


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