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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第一部 ヴァンパイアロード・カイン
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第30話 妻の通報

『母ちゃん、余計な事はしない方がいいと思うぞ』


『そうだよ、変な人に見えても叔母さんが連れてきたお客様だよ』


『何言ってるの!お父さんに何かあったらどうするの!あの人、頭はいいけど、興味がある事件には簡単に首突っ込むんだから!』


 この建物は、湯沢直樹の自宅兼研究所である。

 2階では、妻の湯沢真理恵ゆざわまりえと、息子の蘭丸らんまる、娘のあやが、自宅監視カメラを通して奇妙な客に聞き耳を立てていた。


 湯沢真理恵は、ナチュラルボブの茶髪に赤いフレームの眼鏡をかけた二児の母だ。

 年齢より、かなり若く見える。

 大き目のTシャツに、スキニーパンツを合わせている。

 イマジン内では、ベルタという美少女キャラを操作していた。


 蘭丸は、小柄で可愛らしい感じの男子高校生。

 髪は、さっぱりとショートにしている。

 白いTシャツにダメージデニム姿だ。

 サンシールのプレイヤーだ。


 文は、長身のモデルの様な美少女だった。

 腰まで届く長髪だ。

 薄いサマーニットにスキニーデニムを履いている。

 ゲーム内でも、アヤを名乗っていた。


『他の次元から来たとか、また姉さんが変な事にお父さんを巻き込もうとしているに違いないわ。絶対怪しい。あのカインとかいう男、絶対カタギじゃないわね。相当のワルよ。それに、強力な脳波ニューロンが強力なフォトン粒子フィールドを作っているのを感じる。とんでもない力を持った超能力者ね』


 実は、真理恵は普通の人間ではなく、高い感知能力を持つ超能力者である。

 同じ能力を持つ者同士でテレパシーによる会話も可能だ。

 結婚前には、それを利用して刑事として活躍していた。

 現在は、その能力を活かして夫の助手を務めている。

 それは、蘭丸と文にも受け継がれている。

 先ほどからの会話は、全てテレパシーによるものだ。

 非常に珍しいが、科学的にも認められた才能だ。

 ゲーム内の能力ではない為、会話を行ったり探られたりしてもルイーズとカイン側には感知する事は出来ない。


『すぐに警察、いえ防衛庁に連絡よ。大変な事になる前に身柄を拘束しないと』


 真理恵は、蘭丸と文の制止を無視して携帯端末に指を走らせ、防衛庁に通報する。




「ブーン」


 それから10分くらい後、1階にいたルイーズとカインが、低い音と、わずかな振動を感じた。


「どうやら、まずい事になりましたね。ルイーズ、カイン、早く逃げなさい!」


 そう言うと、ソフィアのエーテル体は、霧の様に消える。


「自衛隊の最新静音ヘリが4機、軽装甲車が10台、こちらに向かってきている」


 ルイーズが、感知魔法を飛ばして外の様子を探る。


「それと、二階の御家族だが、こちらをカメラで見ていたようだ。これは、彼等に通報されたのかもな。あなた方も、グルなのか?」


 カインは、深い溜息をつき、周りの者を見回した。


「どちらにしろ、あなた方は信用ならない。また、お人好しで失敗するところだった。私の悪い癖だ。まったく自分が嫌になる!どこにいようと、善なる君達とは相容れない。失礼する!これまでの義理だ。ここでは誰も殺さぬ。しかし、追えば命の保証はせんぞ!」


 カインの体から、黒いオーラが噴き出しノドの王の装いに戻る。


「大いなる電撃のアーケイン・ショックグラスプ!」


 カインは、手のひらを上に向け、そこから電撃を放った。

 天井に穴が開き、カインは飛行魔法で空中に飛び去った。


 間髪入れずドアが開き、自衛隊員が何人も部屋に入り込んでくる。


「全員動くな!」


 自衛隊員達は、ルイーズ達にアサルトライフルの銃口を向けている。


「まったく、最悪だよ!」


 デイジー陽子は天井に開いた穴から下を覗いている真理恵達の顔を見ながら、思わず前にあったテーブルを蹴飛ばした。




「お前は、どこから来た?一体、どこの国の生物兵器か?それとも宇宙人なのか?」


 ルイーズは、自衛隊の基地の窓の無い狭い部屋で尋問を受けていた。

 パイプ椅子に、後ろ手に縛りつけられている。

 取り囲むように4人の自衛官が周囲に立ち、小さい机を挟んで尋問係りの自衛官が話かけてくる。


「この様な取り調べは違法であろう?」


 ルイーズは、平然と答える。


「何を言う、お前の骨格は実在の人間にはありえない形状だ。何もかも生物的に人間とは似て非なる存在だと分かっている。人権すら認められていない!さっさと白状するんだ!」


 自衛官は、ルイーズの態度に逆上した。


「だから言っているであろう、ゲームのデータが現実化した世界から来たと」


 ルイーズは、自衛官の態度を鼻で笑いながら答える。


「それは、湯沢博士の見解と同じだ。しかし、何も立証されていない!そんな超科学的な状況が起こる確率は万に一つも無い!」


 自衛官は、ルイーズの言葉を否定した。


「パック!」


 ルイーズは、ガイドを呼び出した。

 男の子の小さい妖精が、ひらひらとルイーズの周りを飛んだ。


「これを見ても、そう言うかね」


 ルイーズは、いたずらっぽく笑った。


「幻覚だ!テレパシー能力の一種に違いない」


 自衛官は、それをゲーム内の能力とは認めない。


「まあいい、どうせ防衛庁は私に頼る事になる。あの魔王を怒らせたまま野放しにしたのだからな」


 ルイーズは、諦め顔で答えるのをやめた。

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