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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第一部 ヴァンパイアロード・カイン
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第26話 AIオペレーター

 デイジー陽子と田中実、ルイーズとカインの4人はマスク姿で、株式会社ダンジョンのサーバーが存在する大型ネットワークシステム会社のビルにやってきていた。

 東京のベイエリアにある施設で、相当巨大なビルだ。

 もちろん、その全てを株式会社ダンジョンが使っているわけではなく、一部を間借りしているにすぎない。

ビル全体がAI管理されていて、ハードウェアのメンテンナンス時以外は完全に無人である。


「我が社に友好的な株式会社ダンジョンの管理職の人間に話を通してある。サーバーまでは、自由に行けるだろう。もちろん、外部からデータにアクセスも可能だが、超常的な力が関係している以上、直接チェックした方が良い気がする」


 デイジー陽子が説明する。


「サーバールームに悪魔でも住んでいるんですか?」


 田中実が、冗談っぽく言った。


「その可能性もあるな」


 ルイーズは真顔で言う。


「…さあ、行くぞ」


 デイジー陽子は、そのやり取りをわざと聞き流し、施設の入口へと向かう。

 それは巨大な施設にしては、簡素なものだった。

 倉庫に使われるような大きくて武骨な金属製なドアがあり、監視カメラが設置されている。


「お待ちしておりました。既に手続きが済ませてあります。セキュリティは解除してありますので、すぐに入れます」


 入口で待ち受けていたグレーの高級そうなスーツを着た男が、言った。

 スラリとした長身、涼し気な切れ長の目。

 オールバックにした黒髪、細いメタルフレームの眼鏡。

 いかにも切れ者という風体の30代前半の男性だ。


「この者は、私の秘書で土屋一つちやはじめ、ゲーム内ではモーギスと名乗っていた。あまりに優秀なので、我が社にスカウトした。今では私の右腕とも言える男だ。マスクの下も、なかなかいい男だぞ」


 デイジー陽子が、土屋一を紹介する。


「ほう、彼がモーギス殿の…」


 カインは、ゲーム内と同じ雰囲気を持つ彼を興味深く見つめた。


「万が一の為、こちらをお持ち下さい。セキュリティロボットぐらいなら、これでいけます」


 土屋一が、アタッシュケースを開けると、そこには射出式スタンガン(テイザーガン)が1丁入っている。

 デイジーは、それを手に取った。


「ほ、本当に自由に行けるんですか?」


 田中実が、少し後ずさる。


「何の問題もありませんよ田中君。心配なら君の分も用意しましょうか?」


 土屋一が笑顔で言う。


「いいえ、僕のような貧乏人は許可証を持っておりませんので…」


 田中実は、丁重に断った。


 土屋一が、重い金属製のドアを細い体に似合わない力で引き開けた。

 見た目によらず、相当鍛えているようである。


「さあ、行くぞ」


 デイジー陽子が、田中実、ルイーズとカインを引き連れて、4人で中に入っていく。


 中は、エアコンで気温13度前後に保たれ、少し肌寒い。

 柱と積み上げられたサーバーマシンが立ち並ぶ1フロア構造になっており、碁盤の目のように通路が走っている。

 さながら交差点がテレポートポイントだらけのダンジョンに見える。

 4人は、中央の上に登る階段を目指す。


「ガッ!」


 強いガスの噴出音と共に4人が歩いていた近くの柱に、硬質ゴムの弾丸がめり込む。


「セキュリティロボットだ!」


 デイジー陽子が、全員に警告を発する。

 2mくらいの円筒形の金属の物体が数台、硬質ゴムの弾丸を発射しながら近づいてくる。

 彼女は、1体にテイザーガンを放って一時的に機能停止させる。

 その隙に4人は、サーバーや柱の影に隠れながら走り出す。


「下手に手を出すな!本来ならセキュリティ発動後に警告音が鳴り、30秒でUAV(飛行型ドローン)が来るが、その気配が無い。相手も遊びだ。しかし、物理的に破壊すると後々面倒になる」


 魔法での反撃を準備するルイーズやカインを、デイジーが静止する。


「田中!我が社のシステムを使って構わん。すぐに、セキュリティに介入しろ!!」


「はいぃい!了解です!!」


 デイジー陽子が指示すると、田中実が左手の人差し指と親指の間にインプラントされた小型デバイスを起動する。

 広げた2本の指の間にディスプレイが表示され、思考するだけで操作が行われる。

 田中実は、本社のシステムAI複数に素早く指示を出し、サーバー管理ビルのセキュリティに介入させた。

 ロボットは、すぐに停止した。


「クックック、ちっとも怖がる必要は無いではないか田中殿」


 カインが、ニヤニヤする。


「悪魔相手には何も出来ないよ。俺の能力は知ってるだろ!お前にだけは言われたくないわ!」


 田中実は、自分と同じ記憶を持つカインが笑うのを許せないようだ。


「まったく、その能力を相応しい仕事で発揮してもらいたいものだな」


 デイジー陽子は、いつもは単純作業しかやる気の無い田中実を嘆いた。


「現実世界のお前は、魔王になる気は無いようだ」


 ルイーズは、カインを見てニヤリと笑った。


「ゲーム内でも、ギルドリーダーになったのは、うまく乗せられてしまったからだがな」


 カインは、頭をかく。


「確かに、お前では貧乏くじを引かされそうだな」


 ルイーズは、カインを横目で見る。


「わ、私は決してコミュ障ではないぞ!あ、あえて受けただけだ!元々魔王っぽくビルドしてたし!」


 カインは、さっきと辻褄の合わない言い訳をした。


「仲の良しはそれくらいにして、上に向かうぞ」


 デイジー陽子は、上階に向かって歩き出した。

 3人も、それに続く。

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