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キャラデータは女帝の夢を見る~女帝、恋愛も世界も征服する  作者: 百鬼清風
第一部 ヴァンパイアロード・カイン
25/84

第25話 シーサイドホテル

いつの間にか、外は夜になっていた。

夜景の中をリムジンは、自動運転で走り続ける。


「その事故の話は私も知っているが、急な悪天候による突発的な事故だった。発見されたダンジョン社長にも、その後、怪しい動きはない。君達の出現と意図的なつながりはないと思う」


 デイジー陽子は、田中からダンジョン幹部の事故の件を聞いて答えた。


「株式会社ダンジョンは、我が社のメタバース事業に有用なコンテンツを持っているという事で、買収計画が進行している。その関係で、事件は調べてあった。事故自体に怪しい部分は無い」


 デイジー陽子は、株式会社ダンジョンの買収を元々考えていたようだ。

 イマジンのプレイも、コンテンツの確認の意味があったのだろう。


「へえ、社長が動いたなら買収成功は確実ですね」


田中実は、デイジー陽子の手腕を信じているようだ。


「有力な株主達から既に株式売却の了承を集めてある。あの会社は上場していないのでな。50%以上の株式の取得は確実。既に買収は決まったようなものだ」


 デイジー陽子は、自信を見せる。


「ふむ、なるほど。ならば、株式会社ダンジョンのサーバー内データも、すぐに閲覧出来るようになるという事か。何かあるならば、調べはつくだろうな」


 カインは、言った。


「別次元に干渉する魔法を試してみたが、今のところ全て効果を発揮しない。別次元への連絡(コンタクト・アザ―・ディメンション)で、あの世界に連絡を取る事は出来ない。次元移動ディメンションシフトで戻る事も出来ない。それぞれ起動は出来るのだが、次元断絶ディメンショナル・ディスコミュニティの様な魔法効果で打ち消されているのを感じる」


 ルイーズは、魔法での電夢境への干渉が出来ない事を報告する。


「ゲーム内キャラである我々は、現実世界に来た事は無い。だから、向こうからこちらへ来る魔法は起動すら出来なかった。しかし、今度は行った事のある世界への干渉だし、起動もする。何者か、あるいは超自然的な何かが妨害しているのかもしれない」


 カインは、ルイーズの報告を受けて、自分の考えを話した。


「今のところ関係無い可能性も高いが、やはり株式会社ダンジョンが関わっているかが気になる。早くサーバーデータを確認出来ないだろうか?デイジー殿」


 ルイーズは、デイジー陽子に訴えた。


「ふむ、ダンジョン内部の協力者に頼めば可能かもしれんが、正確には違法になるかもしれん。だが…面白い!明日、段取りを組もう」


 デイジー陽子は、ほとんど即okした。




「では、お二人は、こちらでゆっくり休んで時を待ってほしい。では明日!」


 リムジンは、夜の海を望む高級ホテルの入り口に滑り込み。

 ルイーズとカインを降ろした。


「ええっ?」


 カインは面くらい、顔色が元の青白いヴァンパイアに戻る。




「えええっ!?」


 二人は、ホテルの最上階のスイートルームに通される。

 自宅警備員と書かれた場違いなTシャツ姿のカインの顔が、さらに青くなる。


「せっかくなので、くつろがせてもらおうではないか」


 ルイーズはジャケットを脱いで広いテーブルの上に投げ出し、ワイシャツの第一ボタンを外すと、大きなソファにゆったりと座った。

 スイートルームのリビングは広く、大きなテーブルとソファが置かれている。

 窓は180度のオーシャンビューで、夜の海を一望出来た。


「どうした?この様なおばさんに気を使う必要もあるまい」


 ルイーズは、カインにも座るように促す。


 カインは、いつもの王としての装いに服を戻すと、おずおずとルイーズの横に腰を下ろした。


「私は、自らの配慮の足りなさから、妻と娘を傷つけてしまった。とても浮いた気持ちにはならない。どうして、妻と娘が、あのような状態になっていたかは、鈍い私でも分かる」


 カインは下を向き、うなだれている。


「…」


 ルイーズは、何も言わない。


「…私には、他にも側室がいる。しかし、それはゲーム内からいた側室設定だった従魔。プレイヤーキャラの女性と長く一緒にいて、彼等がどう思うか考えていなかった」


 カインは、続ける。


「しかし、現実世界から転移したと思っていた我々も、しょせんはプレイヤーと記憶を共有した、データ上のプレイヤーキャラでしかなかったわけだ。データが現実化したという意味では、彼等と変らない。それが元で争う事になるとは笑えない話だ」


 ルイーズは、遠い目で暗い海を見つめながら言った。


「元が何であれ、我々は意志を持った存在。自らの判断を後悔するな。自らの正義によって、皆を導くのが王だ。彼らの為にも折れてはならぬ。ただ、王を退きたくなったのなら、いつでも私がお前の全てを引き受けてやるぞ」


 ルイーズは、カインの肩を抱き寄せた。

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