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ブーゲンビレア到着

町にはビルに車、飛行機や現代的なものがたくさんある。

「ここがブーゲンビレアか…」

「わー、ここがブーゲンビレアね。初めて来たわ!」

ディオネがはしゃいでいた。あんなふうに炎を操る魔女でもはしゃぐなんて意外だと思った。


そんな風に町を見て回っていた。

ドン

すれ違い際に肩がぶつかって相手が倒れた。

「おっと、ごめんなさい」

手を差し出し、起こすのを手伝う。

白い肌の手がルスの手を掴んだ。冷たい感触が手に感じた。

―――女性か…

「ホントにごめんな」

「私の不注意もあった。別に大丈夫。」

「そうか…じゃ」

「ごめんね。コイツ、莫迦だから許してやってね?」

ディオネが念を押す。

その念押しは不必要だろ…。


その女性は白い髪を靡かせて去っていった。

―――不思議な雰囲気の女の子だったな…。


≪随分、強力な魔力を持つ少女だったわね≫

―――そうか?

レティシアが話し出した。

ルスは心の中で答えた。口に出すとディオネに反応されるからだ。

説明すると自分は痛い人デースというようなことだから放置しておいたのだ。


「ルス、この先に図書館がある。そこで調べよう。」

「けど、そんな情報載ってるのか?乗ってたら既に回収されてるんじゃねーか?」

「ここは宗教なんかとは関係のない国だから…情報はあるはず。それに神話に出てくるものなんか信じてる奴はいないわよ。」

そんなものかとルスは納得した。









図書館の中に入るとここも機械でぎっしりであった。

本が一冊もない。

ディオネがPCのようなものを起動させて検索していく。

「本はないのか?」

「ぷっ、この国でそんな事は愚問だわ。全てこの機械の中に詰め込んであるからね」

「そ、そうか」

本がない分、この国はコッチの世界より進んでるかも…。コンピュータへの依存度が違う。


「ん~、暫く掛かりそう。書籍が多すぎるわ。」

「わかった。俺は町を見てまわるわ~」

「じゃあ、夕方ごろにここに来て」

「ああ、こりゃ、マジで時間掛かる感じか。頼むぞ」


ルスは図書館を出たが当ても何もない。

―――さて、どうするかな






とりあえず、万屋に向った。

「いらっしゃい!ん?見ない顔だね?」

「旅人だ。売りたいものがある。」

そう言って、黒衣の服を袋から取り出す。

コレは悪魔が着ていた物を剥ぎ取っておいたのだが袋は小さいので嵩張るから売っぱらおうと思っただけだ。


「コレは…また凄い魔力だね。」

万屋の主人は驚きの声を上げた。

「幾らだ?」

「ふむ、コレは103クルドだな?」


「よし、交渉成立。」

「ありがとね」

握手をする。これが交渉が成立した印だ。


店内を見て回る。


「なになに…沢山入っちゃう袋?」

「ああ、その袋にはビルを詰めても一杯にはならず、更に検索機能が付いていて、道具を一発で取り出せる。」

「くれ」

「あいよ、50クルドな」

「ああ」

そう言ってルスは金を払って店を出た。


「んー、金も随分つかっちまったし、どこに行くかな?」

歩いていると人ごみが集まっているのを見つけた。

「一体、どうしたのですか?」

「暗殺だよ。遠距離から狙撃されたようだな。」

―――あ、ああああ、アンサツだってー!

≪落ち着きなさい。バカ≫

―――ムリだろ!犯人は今もここらへんを狙ってるかもしれないぞ!

それでも、口で言ってることよりも好奇心が勝って、撃たれた人を見ると頭を見事に射抜かれていた。


「くそ、とりあえず『ウィンド‐リーディング』」

≪敵影、後方に100m離れたビルの7階。移動中、ビルから脱出中ね≫

「よし、『ウィンド‐ドライブ』」

空高く跳ぶ。そして、ビルの上を走る。既に敵影は目視できている。

その影は小さな路地へと入って行った。


「待てぃ」

「!?」

右手を相手に向けて、牽制をする。

相手は女性であった。白い髪に白い肌である。まるでアニメキャラのような美しさだ…。それでも油断はしない。

「動くなよ?スナイパーだな?銃はどこだ?」

銃という言葉が通じるかを少し気にしながら言う。


『自衛能力 水球拡散』

 

「なっ」

一歩後退する。

野球ボールほどの弾が大量に彼女の周りに現れた。

その一つが路地の壁に当たると壁が凍った。

「やべっ!」

それが一斉に襲い掛かってきたのでルスは避けに掛かった。

≪ディオネがいたら溶かしてくれるのにね≫

「いやだよ。黒こげがオチさ」


避けていると彼女が逃げようとした。

「待て!何であんなことを…」

「…この町を守るため…」

「―――?どういうことだ?」

「やってくれるな…」

背後から2人以外の声が聞えた。

そいつはルスが先ほど売った服と同じものを着ていた。


悪魔だ。


「…攻撃能力 超水装」

水が鎧のように少女の周りを包んだ。

悪魔が十本の手の指を少女に向けた。そこから幾つもの黒い光弾を放った。

水の鎧が弾ける。だが次々と鎧は再生していく。


しかし、鎧の再生能力が追いつかなくなった。

少女は光弾を受けて、吹っ飛んだ。

「ガガガ…プッ」

少女は吹っ飛んでコンクリートのような壁に衝突した。

変な音を出して少女は倒れて動かなくなった。


「フッ、生物ですらないやつが…」

「貴様ぁぁぁぁ!」

ルスは剣を抜いて、近づいた。


剣は空を斬った。敵はルスの肩を蹴って、ビルの屋上へと上がった。

「ルス…救世主様か。」

「待て!貴様も消してくれる!」

「そう息を荒げるな。今日は俺もお前に用はない。」

そう言うと悪魔は魔方陣を足元に形成して消え去った。


「おい!お前、大丈夫か…?」

ルスが近寄ると驚きの光景が広がっていた。

少女が増殖していた。

そいつらが傷付いた少女を抱え、持ち去ろうとしていた。

「礼を言います。このまま、身体を持ち去られたら、この『能力』に関する情報が悪魔達に知られるところでした。」

少女を抱えている奴が言う。

「お、お前らはなんなんだ?」

「ブーゲンビレア軍、対悪魔自動制御S203…ロボです。」

別な少女が答えた。

「ろ…ぼ?」

間抜けな声を出す。ルスから見た少女は人間だった。


「それよりもご同行願います。よろしいでしょうか?」

「構わん。」


彼女達に付いていき、辿り着いた先はドーム状の研究施設のような建物であった。

いや、研究施設で正解だろう。


そこに入ると一人の老人が出迎えた。

「君がルスか。」

「はい、貴方は…?」

「私はブーゲンビレア軍対悪魔兵器開発部門のシノハラじゃ」

「シノハラ…?」

これは日本名のようだ。

―――何故?


「この名前は勇者に先祖が貰ったものでの…この世界にはない名前じゃろ?」

「なるほど…それで何の用ですか」

「突然でわるいがの…」



「君の魔法を解析させてくれ」

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