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冒険キャンプに出発だ! いち

「地図に磁石、それから寝袋と水筒、よし。全部入ってる!」


 今わたしの目の前にあるのは、荷物で膨らんだタンポポ色のリュック。

 くふふん。なんと今日から三日間、森にキャンプに行くの!うへへ、楽しみ!


 実はちょっと前に、ダミアンに新しいバトルカードの柄として、可愛い物が欲しい事を伝えていたんだけど、どうもコレだと思えるものが見つからなかったらしい。

 その結果、


「題材探しをしたいから二、三日、森まで行ってくる」


 なんて事を、言い出したの。


「魔獣図鑑を参考にするだけじゃあ、ダメなの?」


 バトルカードの絵師として契約する時に、資料としてぶっとい図鑑を渡していたので、聞いてみると、


「実際に動いているのを見た方が、描けると思うんだ」


 と、返ってきた。おまけに、


(おと)が森に行くのなら、我も共に行くぞ!」


「ダミアン達、森に行くの?良いなぁ。俺も行きたい!」


「えっ、僕も行きたい!」


 ワンコ兄のジルだけでなく、エドガーやマキシムまで一緒に行きたいと言い出したので、だったらと、今回のキャンプの計画が組まれたの。


 もちろん子供だけだと危ないからと、護衛役としてアルノーさんがついてきてくれる。

 だけどなにより嬉しいのは、ウォルドも一緒ってことよー!なんか祖父さまがグジグジ言ってたけど、関係ないわ!

 だって初めてのキャンプが、かわいいワンちゃんと一緒だなんて、もうワクワクしかないでしょ!


 もちろん冒険者ギルドおすすめの磁石や寝袋を買ったり、森に生えている植物の図鑑を調べたりと、準備するのも楽しかったけれどね。

 

 鏡の前に立って、服装をチェックする。今回、行き先が森なので、着ているのはシャツとブルッペ、そして大ききなポケットが付いた胴着だ。

 実はこのポケット、汚れ防止の魔法陣が刺繍してあるから、気楽に色んな物が入れられる、超優れものなの!


 そして足元は当然、『乙女の快速シリーズ』。ただし、いつもよりちょっとばかり飾りが少ない物を履いている。

 髪もジャマにならないように、一つにまとめてある。でも、それだけだとちょっとさみしいので、針金入りのリボンをクルクルと巻いて、先をピンと立ててみた。

 あっ、コレってウサギの耳みたいで、可愛いかも?


 リュックを背負って、鏡の前でクルルんと回る。きょほほ、もしかして、これって冒険者っぽくない?なんて思っていたら、


「おーい、エミィ、まだかぁ?」


「待って、エドガー。今行く!」


 玄関では、黒っぽいリュックを背負ったエドガーと祖父さま、そしてラブリーエンジェル(弟・シルビー)を抱っこした母さまが待っていた。


「やっぱり、わしも一緒に行った方が……」


「そんなに心配しなくても、祖父さまの代わりは、ちゃんとウォルドがしてくれるから、大丈夫!」


 母さまに行ってきますを言い、マイ・エンジェルと涙のお別れを済ませると、ウォルドを抱えてすでにマキシムとアルノーさんが乗っている、パシェット商会の馬車に乗り込む。


 いざ、森のキャンプに出発だー!


 **


 砦跡で、昼食用のバスケットを手にしたワンコ兄弟を乗せると、山の麓にある森の入り口まで馬車で向かう。  

 ジルとウォルドが喧嘩しないか心配だったけど、ジルがちょっと変な顔をしただけで、どうやら問題ないようだ。コレって、やっぱりウォルドがお利口さんだからよね!


 今回のキャンプ地は、見回りの兵士も利用するという、『森番小屋・三号』だ。

 この三号、森番小屋の中では一番広くて、十人以上泊まれるらしい。

 小屋の中だけじゃなくて、外にもカマドがあるし、近くには泉も湧いているんだって。もちろんトイレも、二つある。そこに二日間泊まって、外で食事したり、森の中を探検する予定なの。


 『森番小屋・一号』はあまりにも近すぎるので、二号で休憩を取る事になった。着いてわかったけど、二号はせいぜい三人ほどしか泊まれないし、外には焚き火台しかなかった。

 それにトイレ横に植えてあったペラの葉には、あまり葉っぱがついていない。


(『森番小屋・三号』のペラの葉もこんな風だったら嫌だな……あっ、そうだ。途中でペラの葉を見つけて、移植したら良いんだ!)


 問題は無事解決したので、そこからはウォルドと『とってこい』をして楽しんだ。時々ジル(ワンコ兄)が、わたしの投げる枝に反応するのが、ちょっと面白い。


 ワンコ兄弟の後ろをウォルドと並んで歩きながら、小さめのペラの葉を見つけては、蔓の部分を掴んで、引っこ抜いていく。そして三つ目を抜こうとしたその時、急に周りが暗くなり、


 ブァッサ!ブァッサ!


 大きな音がして、頭の上を何かが通った。見上げると、空に溶け込むような青色をした、大きな鳥が飛んでいるのが見えた。


「キレイ……」


 思わず見惚れた次の瞬間、鳥が凄い勢いで、こちらに向かってきた。目が開けられないくらいの強い風が巻き起こり、リュックの紐が肩に食い込む。そこでようやく、自分の身体が宙に浮いているのが分かった。


(えっ、なに?)


「エミィ!」


「エミリアさま!」


「アオゥン!」


 びっくりしている間に、みんながドンドン小さくなっていく。


(えっ、わたし鳥に拐われた?!)


 なんて不安に思ったのは、ほんのちょっとだけ。だって乙女がこんな鳥なんかに、負けるわけにはいかないからね。


(そうだ!)


 ポケットからさっき採った根っこつきペラの葉を取り出す。


(土はないけど、これだったら、きっと……) 


 気合を入れて、思いっきり魔力を込める。


「伸びろー!」


 ブアン!

お読みいただき、ありがとうございます。

次作の投稿は2月19日午前9時を予定しています。


評価及びブックマーク、ありがとうございます。

感謝しかありません。

また、<いいね>での応援、ありがとうございます!何よりの励みとなります。


誤字報告、ありがとうございます。

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