魔王様は転生者〜元アラサー女子が行く!
「サオリン様、我が城近くに侵入者ありとの知らせです」
「そうか直ぐ行く」
私の眠る寝室に入って来たアシュリーの報告に身体を起こす。
遥か山上に聳え立つリョージ城。
ここが私、魔王サオリンの住む拠点の城。
せっかく[リョージ城]と名付けたのに、人間はみんな悪魔の城とか、魔王城と呼ぶ。
実に不満だ、愛する恋人の名前から付けたのに。
「今回の馬鹿共はどんな奴等だ?」
着替えを済ませ、最上階の部屋に着く。
置かれた玉座、私は肩肘をつきながら座った。
「申し訳ありませんサオリン様、お休みのところ」
「構わん」
そんなに申し訳なさそうにしないで、アシュリー。
魔王軍、四天王の二人も一斉に頭を下げる。
なんだかむず痒くなる、尊大に振る舞っているが、私は元々ただの人間。
20年前、異世界に魔族として転生した元アラサーOLだったんだから。
「どの部隊を尖兵に向かわせた?」
先ずは相手戦力の把握が戦いの基本。
魔王軍、最高幹部アシュリーの受け売りだけど。
「それが…その…」
「どうしたアシュリー」
どうしたんだろ?
いつも冷静な彼女にしては珍しいわね。
「相手は勇者1人です…」
「はあ?」
「…ですから勇者が1人と」
「2回も言わなくていい」
「も…申し訳ございません!」
だから恐縮しないでよ、他の二人まで萎縮しちゃってるじゃない。
「人間の分際でバカにしおって、さっさと片づけよ」
私も転生前は人間だったんだけど、ここでは威厳が大切よね。
「そ…それが」
「出来んのか?」
「は…はい」
一体どうしたと言うの?
前回は捕まえた勇者パーティを、みんなで皆殺しにするのを一緒に楽しんだじゃない。
最後に全員生き返らせて、人間領へ転移させてあげたけど。
「それほどに強者か、では妾が…」
それなら私の出番ね。
こう見えて、私は魔族の中で最強なんだから。
前の魔王と来たら、残虐な事ばかりするから、幹部連中と纏めて一緒に仲間達と力を合わせ、徹底的に叩き殺して二度と蘇生出来なくしてやったんだから。
「…そうではありません」
「ではなぜだ?」
相手はたった1人、しかも強くないんでしょ?
それなら瞬殺で問題ないじゃない、後の蘇生はちゃんとするし。
「か…かわ」
「かわ?」
ここに来るのに、骨皮になるまで痩せ細っちゃったって事?
それはお気の毒な話ね、人間領へ帰す前にこっそり食料でも持たそうかしら。
「可愛いんです!!」
「……へ?」
「だから可愛いんです!
とてもじゃありませんが、倒すなんて」
アシュリー、真っ赤な顔で何を言ってるの?
二人まで真っ赤じゃない。
「ひょっとして、私をバカにしてる?」
思わず『私』って言っちゃたよ。
「そんなに仰るなら、サオリン様も見て下さい」
「見せてもらおうか、その可愛い勇者とやらを」
言っときますが、私に可愛いは通用しないから。
前世で同僚だった恋人を、可愛いしか能のない後輩に奪われたんだ。
あのアマ、仕事で散々面倒見てやってたのに恩知らずめ。
問い詰めたら『オバサンごめんね、私って可愛いから』だと?
頭に来て掴みかかったら、階段を踏み外して、頭を打った私は…
「どうされました?」
「なんでもない…」
思い出すだけで涙が出る。
こんな私の最期を知った亮二はどう思ったんだろ?
「使い魔からの映像です」
「うむ」
目の前に城の内部が映し出されるって、もう城内に侵入しているの?
「さっき城の前って言ってなかった?」
「はい、ですが掘りに落ちそうだったので、警備の者に言って吊り橋を下に降ろしました」
「警備の意味無いでしょ…」
なんなんだ、みんなアホになってしまったの?
「あ、勇者様です!」
『様』は要らないでしょ。
本当にあなたは魔族なの?
「ん?」
どうして2人映ってるの、確か1人って…
「あれってミチーカよね」
ミチーカも四天王の1人、ここに居なかった理由がこれか。
「ええ、私が道案内するって。
ジャンケンで負けちゃったんです」
「あのね…」
アシュリー、項垂れてどうする。後、二人も。
『ほら勇者様、足元に気をつけてね』
『…うん』
声が聞こえて来た。
ミチーカ、なんで嬉しそうなのよ?
あなたは魔族で…いや突っ込むのも疲れたわ。
「もっと寄せますね」
「好きにしなさい」
アホらし。
さっさと片付けてしまおう、四天王の処罰は後で考えるか。
「これは?」
アップに寄せられた映像に衝撃が走る。
ミチーカに右手を握られているのって…
「なんで男の子なの?」
「そりゃ勇者ですからね」
「いやいやアシュリー、勇者って女も居るでしょ」
「それなら女勇者って最初に言います」
コイツ、何か口の利き方がタメになってない?
ウットリした顔しやがって、大体人間と魔族に殆ど外見の差は無いのに。
私達の頭に小さな角が生えてるのと、肌が少し褐色がかってるだけでしょ?
「アシュリー、もっとアップにして!」
「分かってるって」
「早く、早く!」
なんで盛り上がってるんだ、魔王の私を置いてけぼりかよ!
映像がドアップに変わり、幹部達の歓声が部屋に響く、その瞬間私の背筋から下半身に電撃が走った。
「アァァ…」
なんて事なの…
小さな身体、長いまつげ、ショートボブの髪型、大きなお目々にぷっくりしたお鼻、まさにこれは…
「…ストライク」
「ストライク?」
私の性癖ド真ん中ではないか!
前世の私は所謂腐女子だった。
しかも重度のショタ中毒、パソコンやスマホには愛用のデーターが大量に保管してあったんだ。
「妾が迎えに行きましょう」
「ちょっとズルいですって!」
「さっきの態度と違い過ぎるわ!」
「職権乱用よ!」
「黙らっしゃい!!」
何が職権よ。
私は魔王、魔族の長なんだから。
「ギギギギギギ…」
「いくら大恩のある魔王様とて…」
「下剋上…いつかは」
コイツら、何を言ってるの?
「分かったわ、一緒に行きましょ」
「ひゃっほー!」
「さすが大魔王様!」
「一生付いて行きますわ!」
なんて調子が良いの。
それより勇者よ、服は着替えたばかりだし、身体も臭わないよね?
アシュリー達も互いの身なりをチェックしてる。
時間が勿体ないから、私は三人を連れて一気に転移の魔法を発動させた。
「勇者様」
「あなた達は…?」
勇者が驚かないよう、前方から細心の注意を払いながら優しく呼ぶ。
もちろん、後ろからみたいな無粋は真似はしない。
「この城の主、サオリンと申します」
先ずは私から、胸に手を当て優雅に腰を曲げる。
「案内させて頂きました、四天王のミチーカです」
勇者の隣でミチーカも挨拶、本当に抜け目ないわね。
「同じく四天王の1人アシュリーです、勇者様」
「同じくシオリーでございます、我が勇者様」
「フミーカです、ご主人様」
シオリー、我が勇者って何だ?
それよりフミーカ、誰がご主人様だ?
「アンタは魔王の部下だろ!」
「ブエ!」
思わずフミーカを引っ叩いてしまった。
壁にめり込んだフミーカに勇者様が唖然としてるじゃない、暴力的な女と思われたんじゃないかしら。
「あ…あの魔王って」
気にしてないみたい、良かった。
「世間ではそう言われてますね」
ここはにっこり笑顔だ。
少し目つきはキツイが、この顔って割と美女だし。
「世間もなにも、正真正銘の魔王じゃない…」
フミーカ、もう復活したのか。
さすがは不死身の女、もう一発…
「あの魔王様、お止めになられた方が」
「申し訳ありません勇者様、とんだ失態を…私ったら」
ミチーカ、助かったわ。
私に無断で勇者様を迎えに行った罪は赦そうじゃない。
「か…覚悟して下さい!」
勇者様は腰に差していた剣を私に向ける。
剣先が震えているじゃない、なんて健気なの。
「あ…貴女を、た…倒さないと」
私を倒す?
そういえば彼は勇者だったわね。
「勇者様、その剣では無理かと」
「な…なんでミチーカさん、これ聖剣だよ?」
「それが聖剣?」
「その勇者様…それは」
二人共言いにくいよね。
「残念ですが、それはただの鉄剣ですよ。
その証拠にほら」
私は勇者の剣に自分の腕を突き刺す。
本当に聖剣なら、私の腕を切り落とせるだろうが、残念ながら僅かに血が流れるだけで、偽の鉄剣はポキリと折れてしまった。
「ま…まさか」
ガックリと膝を着く勇者様、なんだか悪いな。
「腕くらい落としてあげたらいいのに」
「そうよ、直ぐに生えるんだし」
「全くよ」
「両足でも差し出せ」
「こら!」
人をトカゲみたいに言うな!
「…僕騙されたの?」
項垂れてしまう勇者様にどんな言葉を掛ければいいんだろう。
前世の知恵は役に立たない、恋愛経験は亮二だけだったし。
「とりあえず場所を移しましょう」
「そうね、王の間に」
「サオリン様、転移を」
「さっさとする」
「分かってます」
私をなんだと思っているの?
文句は後にして、転移魔法で先程の部屋に戻った。
「さあ飲みなさい」
「うん」
丸テーブルに勇者様を座らせ、話を聞きながら、オレンジジュースを振る舞う。
美味しそうに勇者様が飲む姿に、ご飯三杯は行けるわ、この世界に白米は存在しないけど。
「…最初は聖剣が本物だったと」
「うん、教会で僕が聖剣から勇者認定されたんだ」
「なるほどね…」
アシュリーが勇者の言葉を書き留める。
私は勇者の選定に詳しくない、ここは魔王軍の知恵袋、アシュリーさんに任せよう。
「ねえアシュリー、最初から偽物だったんじゃ?」
そうよ、私もそう思ったんだ。
いいタイミングの質問ねシオリー。
「いいえ、聖剣が認定したのなら本物でしょう。
もちろん勇者の称号もよ、だってね…」
教会で嘘の認定は出来ない。
そんな事をしたなら、教会の権威が失墜してしまうからか、なるほど。
「勇者様が偽物なんて、ありえません」
間違いなくそうだ、魔王の私には分かる、勘だけど。
「勇者様って…名前で良いですよ」
「良いの?」
これは素晴らしい。
今までの勇者名前なんか1人も聞いた事なかった、聞きたいとも思わなかった。
「カーライルです」
「カーライル…」
「なんて凛々しい響き…」
「まさに世界の救世主に相応しいお名前…」
フミーカは無視しよう。
でもカーライルって、良い名前ね。
「カーラちゃ…いえカーラさん」
危ない、カーラちゃんと言いそうになった。
一瞬だけど悲しそうにしたから、慌てた。
「迂闊ですよ魔王様」
「しっかりして下さい」
「全くね」
「次は無いから」
「うるさい!」
「プギャラ!」
フミーカにもう一発、再び壁にめり込ませた。
「ではカーライル様、聖剣をすり替えられたのでは?」
「…誰がそんな事を?」
「言いにくいですが、仲間の誰かがでしょう」
おそらくそうだろうな。
私達が関与してないなら、人間側の仕業に違いない。
「嘘だ…なんでそんな事を」
カーラさんは首をフルフルしている。
不謹慎だけど、可愛くてどうにかなりそう。
「え…っと話を変えますね。
何故カーライルさんは1人だったんですか?」
いいぞミチーカ、助かった。
「はぐれちゃったんだ…」
「はぐれた?」
「うん、気づいたら誰も居なくなってて…」
聞くと、最初は20人程の人数で城の近くまで来たらしい。
門付近で突然霧が立ち込め、視界を失ったカーラさんが気づいたら誰も居なかった。
「フミーカ」
「分かってる、人間の魔法だ。
残滓が我々の物と違う」
フミーカは四天王で一番の魔法スペシャリスト。
素早く魔法の分析を済ませた
「な…なんでそんな事をするのさ」
困ったわね。
カーラさんも薄々気づいてるだろうけど、私達から言える訳ないし。
「ミッシェル…どうしてさ…」
「ミッシェル?」
誰だ?女の名前なのは分かるけど。
「ミッシェルさんって、どなたかしら?」
アシュリー、落ち着きなさい殺気が洩れてるよ。
「…[守護結界]」
フミーカ、カーラさんに気づかれずよくやったわ。
見事な結界ね、これで心おきなく私も殺気を出せる。
「ミッシェルは僕の幼馴染です」
「それだけ?」
「…恋人でした」
「ふむ…」
「へえ…」
「ほう…」
「これ、殺っていいっすよね?サオリン…」
「まだよ…」
迸る殺気に天井が震える。
私まで本気で加わったら、城が崩壊しかねない。
「その…リーダーは誰だったの」
「リーダーって?」
「カーラさんの隊で、責任者って言えば良いかな?」
怒り爆発の四天王は置いといて、
私が仕切りさせて貰う。
「マンフランクです」
「マンフランク?」
「前回の勇者でしたが、サオリンさんに負けちゃった人です」
「ほー」
そんな名前だったのね。
とんでもない奴だった、私の領内に入るなり、目につく魔族を次々と笑いながら殺すし。
私が魔王になってから、人間側へは何もして来なかったのに。
頭に来たから、ボコボコにしてやった。
最初はニヤニヤして、私達の胸やお尻をを舐め回すように見てやがったから、徹底的にぐちゃぐちゃにして5回殺し、蘇生して人間側の便壺に転移させてやったんだ。
「なんでまた来たの、アレは前回負けたんだよ?」
魔王への挑戦って普通は1回限りでしょ?
確か勇者の聖剣って、負けたら一度消えて、次の勇者が現れたら復活みたいな流れと、以前アシュリーから聞いたよ?
「あと一息まで魔王を追い詰めたって、だから特例で今回も」
「追い詰めた…私を?」
「嘘ですよね、皆さん本当にお綺麗ですし」
「なッ」
「ハウン!」
「アババババババ!」
「イック…ダメ!」
「ウホ!」
なんて事を言うの、私も思わず『ウホ』なんて言っちゃったよ。
「ごめんなさい!
綺麗って、皆さん怪我1つされて無いって意味で…」
「い、良いのよ」
良かった、私はまだ四天王よりショタの耐性があったみたいで。
他の4人は何やらテーブルの下で…
「マンフランクは王族の人間なんです、だから面子があって」
「王族ね…」
引くに引けなかったのか、哀れね。
「分かってました…ミッシェルは僕よりマンフランクを選んでたのは…」
「選んだ?」
「途中から、ずっとマンフランクの傍に居て…僕は隊の中で除け者でした」
「…カーラさん」
なんて事、こんなに健気な勇者を泣かせるなんて!
「アシュリー」
「分かってます、もう奴等の居場所は特定しました」
「さすがね」
以心伝心ってやつか。
「私も行きます」
当然よシオリー、最大の攻撃魔法をお願いね。
「サオリン、私も」
「頼むわねフミーカ」
「抑えないよ…」
フミーカもキレてるね。
こりゃ地形が変わる、間違いなく。
「ちょっと行って来ますね」
「どこにですか?」
「聖剣を取り戻しによ、あれが無いと帰りづらいでしょ?」
おそらく、聖剣を持って帰ってカーラさんは亡くなったと報告するつもりだろう、バカ共が。
私達は一気に転移でバカ共の元に飛ぶ。
奴等はまだ我々の領内に居た。
「やったな、今頃カーライルのバカは」
「ええ、消し炭でしょうね」
「ハハハ、さすがは我が君!」
何やら不快な会話が聞こえるわ…
「フン!!」
一発目は私。
特大魔法に地面が揺れる、ちょっと力を込めすぎたかしら?
「な…なんだ」
「何があったの」
バカ二人を残し、後の連中を蒸発させる。
これじゃ蘇生を出来そうに無いわ。
「どこに行くのかしら?」
「お、お前は魔王…」
膝を震わせるコイツがマンフランクか。
やっぱり覚えて無いわね。
「だ…誰よアンタ達」
コイツがミッシェルね、どこか前世のバカたれ後輩に似てるな。
「オラオラオラオラ!」
フミーカ、魔法はどうしたの、まさかの拳攻撃なんて。
「ブエェ…」
「あらあら」
顔の原型がなくなってるわね。
「…[回復]」
アシュリーの治癒魔法で二人の顔が元に戻る、見事なモノね。
「火炎」
火柱が数百メートル立ち登る。
シオリーの魔法は初期魔法だけど、魔力量が凄いから、威力もエグいわ。
「冷凍」
フミーカ、火柱の中で二人を凍らせるなんて、あれじゃ苦痛が長引て、なかなか死なないわよ。
「ぎゃあああ!」
「アハアアアハサ!」
ミッシェル、なんだか凄い雄叫び上げてるね。
「蘇生」
とりあえず1回目の蘇生をさせよう。
「何回する?」
「後10回くらいかな?
しっかり反省させなきゃ」
「ダメ、その倍」
「分かったよアシュリー」
「いいえ、その倍ね」
「はいはい」
シオリーも言うものね。
「その3倍…」
「フミーカ、それじゃ全部で120回になるわよ」
「当然の報い」
「仕方ないわね!」
なんだかミッシェルを見てると、後1000回は殺したくなる、後輩のせいよ。
半日を掛けて、しっかりお灸を据えさせて貰った。
「おまたせ」
「退屈してなかった?」
「起きてて偉いわ」
「偉い、偉い」
カーラさんは深夜にも関わらす、しっかり待っていてくれた。
「あの…魔王様」
「サオリンよ、それと『様』は要らない」
「サ…サオリン」
「はい…カーラさん」
何て素敵な響き、次は紗央里って呼んで!
「こら魔王」
アシュリーの声に正気を取り戻す。危ないところだったわ。
「…あの二人は?」
「しっかり懲らしめたよ。
あと、向こうの人間にも二人の悪事を言っといたから、はい聖剣ね」
15回で精神崩壊しちゃったけど、しっかり120回やり尽くした。
「これから僕はどうしたら…」
「そうね、先ずは」
カーラさんは勇者。
私達を倒さないと、役目が終わらない。
「サオリン、1回だけ死んでやれ」
「ふざけんな!」
なんて事をフミーカは。
「後から蘇生したげようか?」
「失敗したらどうする!」
シオリー、アンタの蘇生は成功率五%でしょ。
「私が蘇生させてもダメかしら?」
「あのね…」
ミチーカ、貴女は一番理知的な女だと思っていたのに。
「困ったわね、名案だと思ったんだけど」
「困らないの!」
アシュリー、アンタが一番怖いわ、目がマジじゃない。
「もういいです、僕には皆さんを殺せません」
「カーラさん…」
「だって皆さん素晴らしい方ばかりです、僕なんかよりずっと」
カーラさん涙目じゃない。
アシュリー、アンタが頼りよ。
「定期的に来るのは?」
「定期的にですか?」
アシュリー、何を言ってるの?
「だから定期的にここへ来るの。
それで私達はカーラ様に懲らしめられる。
人間側に次こそは覚えてろって、メッセージを送ったら。
またこっちに来る名目が出来るでしょ?」
「それよ!」
さすがはアシュリーね、素晴らしいアイデア!
「でも良いんですか?魔王軍の威信に傷が」
「気にしないで、全然構わないから」
そんなモノ、愛する人の為なら犬の糞以下。
城の名前もカーライル城に変更しよう、効果抜群よね。
「ありがとうサオリン!」
「な…」
私の胸に顔を埋めるカーラさん。
もしかして私は今、彼に抱きしめられてるの?
「あ、ズルい!」
「私も!」
「カーラ様、早く!」
「魔王…やはり倒さねば」
4人の言葉なんかどうでも良い!
カーラちゃんの身体、 これは堪らん!!
「ウホ!」
また変な声が出てしまった。
おしまい




