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魔王様は転生者〜元アラサー女子が行く!

掲載日:2025/12/19

「サオリン様、我が城近くに侵入者ありとの知らせです」


「そうか直ぐ行く」


 私の眠る寝室に入って来たアシュリーの報告に身体を起こす。

 遥か山上に聳え立つリョージ城。

 ここが私、魔王サオリンの住む拠点の城。


 せっかく[リョージ城]と名付けたのに、人間はみんな悪魔の城とか、魔王城と呼ぶ。

 実に不満だ、愛する恋人の名前から付けたのに。


「今回の馬鹿共はどんな奴等だ?」


 着替えを済ませ、最上階の部屋に着く。

 置かれた玉座、私は肩肘をつきながら座った。


「申し訳ありませんサオリン様、お休みのところ」


「構わん」


 そんなに申し訳なさそうにしないで、アシュリー。

 魔王軍、四天王の二人も一斉に(こうべ)を下げる。

 なんだかむず痒くなる、尊大に振る舞っているが、私は元々ただの人間。


 20年前、異世界に魔族として転生した元アラサーOLだったんだから。


「どの部隊を尖兵に向かわせた?」


 先ずは相手戦力の把握が戦いの基本。

 魔王軍、最高幹部アシュリーの受け売りだけど。


「それが…その…」


「どうしたアシュリー」


 どうしたんだろ?

 いつも冷静な彼女にしては珍しいわね。


「相手は勇者1人です…」


「はあ?」


「…ですから勇者が1人と」


「2回も言わなくていい」


「も…申し訳ございません!」


 だから恐縮しないでよ、他の二人まで萎縮しちゃってるじゃない。


「人間の分際でバカにしおって、さっさと片づけよ」


 私も転生前は人間だったんだけど、ここでは威厳が大切よね。


「そ…それが」


「出来んのか?」


「は…はい」


 一体どうしたと言うの?

 前回は捕まえた勇者パーティを、みんなで皆殺しにするのを一緒に楽しんだじゃない。

 最後に全員生き返らせて、人間領へ転移させてあげたけど。


「それほどに強者か、では妾が…」


 それなら私の出番ね。

 こう見えて、私は魔族の中で最強なんだから。

 前の魔王と来たら、残虐な事ばかりするから、幹部連中と纏めて一緒に仲間達と力を合わせ、徹底的に叩き殺して二度と蘇生出来なくしてやったんだから。


「…そうではありません」


「ではなぜだ?」


 相手はたった1人、しかも強くないんでしょ?

 それなら瞬殺で問題ないじゃない、後の蘇生はちゃんとするし。


「か…かわ」


「かわ?」


 ここに来るのに、骨皮になるまで痩せ細っちゃったって事?

 それはお気の毒な話ね、人間領へ帰す前にこっそり食料でも持たそうかしら。


「可愛いんです!!」


「……へ?」


「だから可愛いんです!

 とてもじゃありませんが、倒すなんて」


 アシュリー、真っ赤な顔で何を言ってるの?

 二人まで真っ赤じゃない。


「ひょっとして、私をバカにしてる?」


 思わず『私』って言っちゃたよ。


「そんなに仰るなら、サオリン様も見て下さい」


「見せてもらおうか、その可愛い勇者とやらを」


 言っときますが、私に可愛いは通用しないから。

 前世で同僚だった恋人を、可愛いしか能のない後輩に奪われたんだ。


 あのアマ、仕事で散々面倒見てやってたのに恩知らずめ。

 問い詰めたら『オバサンごめんね、私って可愛いから』だと?

 頭に来て掴みかかったら、階段を踏み外して、頭を打った私は…


「どうされました?」


「なんでもない…」


 思い出すだけで涙が出る。

 こんな私の最期を知った亮二はどう思ったんだろ?


「使い魔からの映像です」


「うむ」


 目の前に城の内部が映し出されるって、もう城内に侵入しているの?


「さっき城の前って言ってなかった?」


「はい、ですが掘りに落ちそうだったので、警備の者に言って吊り橋を下に降ろしました」


「警備の意味無いでしょ…」


 なんなんだ、みんなアホになってしまったの?


「あ、勇者様です!」


『様』は要らないでしょ。

 本当にあなたは魔族なの?


「ん?」


 どうして2人映ってるの、確か1人って…


「あれってミチーカよね」


 ミチーカも四天王の1人、ここに居なかった理由がこれか。


「ええ、私が道案内するって。

 ジャンケンで負けちゃったんです」


「あのね…」


 アシュリー、項垂れてどうする。後、二人も。


『ほら勇者様、足元に気をつけてね』


『…うん』

 声が聞こえて来た。

 ミチーカ、なんで嬉しそうなのよ?

 あなたは魔族で…いや突っ込むのも疲れたわ。


「もっと寄せますね」


「好きにしなさい」


 アホらし。

 さっさと片付けてしまおう、四天王の処罰は後で考えるか。


「これは?」


 アップに寄せられた映像に衝撃が走る。

 ミチーカに右手を握られているのって…


「なんで男の子なの?」


「そりゃ勇者ですからね」


「いやいやアシュリー、勇者って女も居るでしょ」


「それなら女勇者って最初に言います」


 コイツ、何か口の利き方がタメになってない?

 ウットリした顔しやがって、大体人間と魔族に殆ど外見の差は無いのに。

 私達の頭に小さな角が生えてるのと、肌が少し褐色がかってるだけでしょ?


「アシュリー、もっとアップにして!」


「分かってるって」


「早く、早く!」


 なんで盛り上がってるんだ、魔王の私を置いてけぼりかよ!


 映像がドアップに変わり、幹部達の歓声が部屋に響く、その瞬間私の背筋から下半身に電撃が走った。


「アァァ…」


 なんて事なの…

 小さな身体、長いまつげ、ショートボブの髪型、大きなお目々にぷっくりしたお鼻、まさにこれは…


「…ストライク」


「ストライク?」


 私の性癖ド真ん中ではないか!


 前世の私は所謂腐女子だった。

 しかも重度のショタ中毒、パソコンやスマホには愛用のデーターが大量に保管してあったんだ。


「妾が迎えに行きましょう」


「ちょっとズルいですって!」


「さっきの態度と違い過ぎるわ!」


「職権乱用よ!」


「黙らっしゃい!!」


 何が職権よ。

 私は魔王、魔族の長なんだから。


「ギギギギギギ…」


「いくら大恩のある魔王様とて…」


「下剋上…いつかは」


 コイツら、何を言ってるの?


「分かったわ、一緒に行きましょ」


「ひゃっほー!」


「さすが大魔王様!」


「一生付いて行きますわ!」


 なんて調子が良いの。

 それより勇者よ、服は着替えたばかりだし、身体も臭わないよね?

 アシュリー達も互いの身なりをチェックしてる。


 時間が勿体ないから、私は三人を連れて一気に転移の魔法を発動させた。


「勇者様」


「あなた達は…?」


 勇者が驚かないよう、前方から細心の注意を払いながら優しく呼ぶ。

 もちろん、後ろからみたいな無粋は真似はしない。


「この城の主、サオリンと申します」


 先ずは私から、胸に手を当て優雅に腰を曲げる。


「案内させて頂きました、四天王のミチーカです」


 勇者の隣でミチーカも挨拶、本当に抜け目ないわね。


「同じく四天王の1人アシュリーです、勇者様」


「同じくシオリーでございます、我が勇者様」


「フミーカです、ご主人様」


 シオリー、我が勇者って何だ?

 それよりフミーカ、誰がご主人様だ?


「アンタは魔王の部下だろ!」


「ブエ!」


 思わずフミーカを引っ叩いてしまった。

 壁にめり込んだフミーカに勇者様が唖然としてるじゃない、暴力的な女と思われたんじゃないかしら。


「あ…あの魔王って」


 気にしてないみたい、良かった。


「世間ではそう言われてますね」


 ここはにっこり笑顔だ。

 少し目つきはキツイが、この顔って割と美女だし。


「世間もなにも、正真正銘の魔王じゃない…」


 フミーカ、もう復活したのか。

 さすがは不死身の女、もう一発…


「あの魔王様、お止めになられた方が」


「申し訳ありません勇者様、とんだ失態を…私ったら」


 ミチーカ、助かったわ。

 私に無断で勇者様を迎えに行った罪は赦そうじゃない。


「か…覚悟して下さい!」


 勇者様は腰に差していた剣を私に向ける。

 剣先が震えているじゃない、なんて健気なの。


「あ…貴女を、た…倒さないと」


 私を倒す?

 そういえば彼は勇者だったわね。


「勇者様、その剣では無理かと」


「な…なんでミチーカさん、これ聖剣だよ?」


「それが聖剣?」


「その勇者様…それは」


 二人共言いにくいよね。


「残念ですが、それはただの鉄剣ですよ。

 その証拠にほら」


 私は勇者の剣に自分の腕を突き刺す。

 本当に聖剣なら、私の腕を切り落とせるだろうが、残念ながら僅かに血が流れるだけで、偽の鉄剣はポキリと折れてしまった。


「ま…まさか」


 ガックリと膝を着く勇者様、なんだか悪いな。


「腕くらい落としてあげたらいいのに」


「そうよ、直ぐに生えるんだし」


「全くよ」


「両足でも差し出せ」


「こら!」


 人をトカゲみたいに言うな!


「…僕騙されたの?」


 項垂れてしまう勇者様にどんな言葉を掛ければいいんだろう。

 前世の知恵は役に立たない、恋愛経験は亮二だけだったし。


「とりあえず場所を移しましょう」


「そうね、王の間に」


「サオリン様、転移を」


「さっさとする」


「分かってます」


 私をなんだと思っているの?

 文句は後にして、転移魔法で先程の部屋に戻った。


「さあ飲みなさい」


「うん」


 丸テーブルに勇者様を座らせ、話を聞きながら、オレンジジュースを振る舞う。

 美味しそうに勇者様が飲む姿に、ご飯三杯は行けるわ、この世界に白米は存在しないけど。


「…最初は聖剣が本物だったと」


「うん、教会で僕が聖剣から勇者認定されたんだ」


「なるほどね…」


 アシュリーが勇者の言葉を書き留める。

 私は勇者の選定に詳しくない、ここは魔王軍の知恵袋、アシュリーさんに任せよう。


「ねえアシュリー、最初から偽物だったんじゃ?」


 そうよ、私もそう思ったんだ。

 いいタイミングの質問ねシオリー。


「いいえ、聖剣が認定したのなら本物でしょう。

 もちろん勇者の称号もよ、だってね…」


 教会で嘘の認定は出来ない。

 そんな事をしたなら、教会の権威が失墜してしまうからか、なるほど。


「勇者様が偽物なんて、ありえません」


 間違いなくそうだ、魔王の私には分かる、勘だけど。


「勇者様って…名前で良いですよ」


「良いの?」


 これは素晴らしい。

 今までの勇者名前なんか1人も聞いた事なかった、聞きたいとも思わなかった。


「カーライルです」


「カーライル…」


「なんて凛々しい響き…」


「まさに世界の救世主に相応しいお名前…」


 フミーカは無視しよう。

 でもカーライルって、良い名前ね。


「カーラちゃ…いえカーラさん」


 危ない、カーラちゃんと言いそうになった。

 一瞬だけど悲しそうにしたから、慌てた。


「迂闊ですよ魔王様」


「しっかりして下さい」


「全くね」


「次は無いから」


「うるさい!」


「プギャラ!」


 フミーカにもう一発、再び壁にめり込ませた。


「ではカーライル様、聖剣をすり替えられたのでは?」


「…誰がそんな事を?」


「言いにくいですが、仲間の誰かがでしょう」


 おそらくそうだろうな。

 私達が関与してないなら、人間側の仕業に違いない。


「嘘だ…なんでそんな事を」


 カーラさんは首をフルフルしている。

 不謹慎だけど、可愛くてどうにかなりそう。


「え…っと話を変えますね。

 何故カーライルさんは1人だったんですか?」


 いいぞミチーカ、助かった。


「はぐれちゃったんだ…」


「はぐれた?」


「うん、気づいたら誰も居なくなってて…」


 聞くと、最初は20人程の人数で城の近くまで来たらしい。

 門付近で突然霧が立ち込め、視界を失ったカーラさんが気づいたら誰も居なかった。


「フミーカ」


「分かってる、人間の魔法だ。

 残滓が我々の物と違う」


 フミーカは四天王で一番の魔法スペシャリスト。

 素早く魔法の分析を済ませた


「な…なんでそんな事をするのさ」


 困ったわね。

 カーラさんも薄々気づいてるだろうけど、私達から言える訳ないし。


「ミッシェル…どうしてさ…」


「ミッシェル?」


 誰だ?女の名前なのは分かるけど。


「ミッシェルさんって、どなたかしら?」


 アシュリー、落ち着きなさい殺気が洩れてるよ。


「…[守護結界(プロテクト)]」


 フミーカ、カーラさんに気づかれずよくやったわ。

 見事な結界ね、これで心おきなく私も殺気を出せる。


「ミッシェルは僕の幼馴染です」


「それだけ?」


「…恋人でした」


「ふむ…」


「へえ…」


「ほう…」


「これ、殺っていいっすよね?サオリン…」


「まだよ…」


 迸る殺気に天井が震える。

 私まで本気で加わったら、城が崩壊しかねない。


「その…リーダーは誰だったの」


「リーダーって?」


「カーラさんの隊で、責任者って言えば良いかな?」


 怒り爆発の四天王は置いといて、

 私が仕切りさせて貰う。


「マンフランクです」


「マンフランク?」


「前回の勇者でしたが、サオリンさんに負けちゃった人です」


「ほー」


 そんな名前だったのね。

 とんでもない奴だった、私の領内に入るなり、目につく魔族を次々と笑いながら殺すし。


 私が魔王になってから、人間側へは何もして来なかったのに。

 頭に来たから、ボコボコにしてやった。


 最初はニヤニヤして、私達の胸やお尻をを舐め回すように見てやがったから、徹底的にぐちゃぐちゃにして5回殺し、蘇生して人間側の便壺に転移させてやったんだ。


「なんでまた来たの、アレは前回負けたんだよ?」


 魔王への挑戦って普通は1回限りでしょ?

 確か勇者の聖剣って、負けたら一度消えて、次の勇者が現れたら復活みたいな流れと、以前アシュリーから聞いたよ?


「あと一息まで魔王を追い詰めたって、だから特例で今回も」


「追い詰めた…私を?」


「嘘ですよね、皆さん本当にお綺麗ですし」


「なッ」


「ハウン!」


「アババババババ!」


「イック…ダメ!」


「ウホ!」


 なんて事を言うの、私も思わず『ウホ』なんて言っちゃったよ。


「ごめんなさい!

 綺麗って、皆さん怪我1つされて無いって意味で…」


「い、良いのよ」


 良かった、私はまだ四天王よりショタの耐性があったみたいで。

 他の4人は何やらテーブルの下で…


「マンフランクは王族の人間なんです、だから面子があって」


「王族ね…」


 引くに引けなかったのか、哀れね。


「分かってました…ミッシェルは僕よりマンフランクを選んでたのは…」


「選んだ?」


「途中から、ずっとマンフランクの傍に居て…僕は隊の中で除け者でした」


「…カーラさん」


 なんて事、こんなに健気な勇者を泣かせるなんて!


「アシュリー」


「分かってます、もう奴等の居場所は特定しました」


「さすがね」


 以心伝心ってやつか。


「私も行きます」


 当然よシオリー、最大の攻撃魔法をお願いね。


「サオリン、私も」


「頼むわねフミーカ」


「抑えないよ…」


 フミーカもキレてるね。

 こりゃ地形が変わる、間違いなく。


「ちょっと行って来ますね」


「どこにですか?」


「聖剣を取り戻しによ、あれが無いと帰りづらいでしょ?」


 おそらく、聖剣を持って帰ってカーラさんは亡くなったと報告するつもりだろう、バカ共が。


 私達は一気に転移でバカ共の元に飛ぶ。

 奴等はまだ我々の領内に居た。


「やったな、今頃カーライルのバカは」


「ええ、消し炭でしょうね」


「ハハハ、さすがは我が君!」


 何やら不快な会話が聞こえるわ…


「フン!!」


 一発目は私。

 特大魔法に地面が揺れる、ちょっと力を込めすぎたかしら?


「な…なんだ」


「何があったの」


 バカ二人を残し、後の連中を蒸発させる。

 これじゃ蘇生を出来そうに無いわ。


「どこに行くのかしら?」


「お、お前は魔王…」


 膝を震わせるコイツがマンフランクか。

 やっぱり覚えて無いわね。


「だ…誰よアンタ達」


 コイツがミッシェルね、どこか前世のバカたれ後輩に似てるな。


「オラオラオラオラ!」


 フミーカ、魔法はどうしたの、まさかの拳攻撃なんて。


「ブエェ…」


「あらあら」


 顔の原型がなくなってるわね。


「…[回復(リカバリー)]」


 アシュリーの治癒魔法で二人の顔が元に戻る、見事なモノね。


火炎(フレーム)


 火柱が数百メートル立ち登る。

 シオリーの魔法は初期魔法だけど、魔力量が凄いから、威力もエグいわ。


冷凍(フローズン)


 フミーカ、火柱の中で二人を凍らせるなんて、あれじゃ苦痛が長引て、なかなか死なないわよ。


「ぎゃあああ!」


「アハアアアハサ!」


 ミッシェル、なんだか凄い雄叫び上げてるね。


蘇生(アナビオシス)


 とりあえず1回目の蘇生をさせよう。


「何回する?」


「後10回くらいかな?

 しっかり反省させなきゃ」


「ダメ、その倍」


「分かったよアシュリー」


「いいえ、その倍ね」


「はいはい」


 シオリーも言うものね。


「その3倍…」


「フミーカ、それじゃ全部で120回になるわよ」


「当然の報い」


「仕方ないわね!」


 なんだかミッシェルを見てると、後1000回は殺したくなる、後輩のせいよ。


 半日を掛けて、しっかりお灸を据えさせて貰った。


「おまたせ」


「退屈してなかった?」


「起きてて偉いわ」


「偉い、偉い」


 カーラさんは深夜にも関わらす、しっかり待っていてくれた。


「あの…魔王様」


「サオリンよ、それと『様』は要らない」


「サ…サオリン」


「はい…カーラさん」


 何て素敵な響き、次は紗央里って呼んで!


「こら魔王」


 アシュリーの声に正気を取り戻す。危ないところだったわ。


「…あの二人は?」


「しっかり懲らしめたよ。

 あと、向こうの人間にも二人の悪事を言っといたから、はい聖剣ね」


 15回で精神崩壊しちゃったけど、しっかり120回やり尽くした。


「これから僕はどうしたら…」


「そうね、先ずは」


 カーラさんは勇者。

 私達を倒さないと、役目が終わらない。


「サオリン、1回だけ死んでやれ」


「ふざけんな!」


 なんて事をフミーカは。


「後から蘇生したげようか?」


「失敗したらどうする!」


 シオリー、アンタの蘇生は成功率五%でしょ。


「私が蘇生させてもダメかしら?」


「あのね…」


 ミチーカ、貴女は一番理知的な女だと思っていたのに。


「困ったわね、名案だと思ったんだけど」


「困らないの!」


 アシュリー、アンタが一番怖いわ、目がマジじゃない。


「もういいです、僕には皆さんを殺せません」


「カーラさん…」


「だって皆さん素晴らしい方ばかりです、僕なんかよりずっと」


 カーラさん涙目じゃない。

 アシュリー、アンタが頼りよ。


「定期的に来るのは?」


「定期的にですか?」


 アシュリー、何を言ってるの?


「だから定期的にここへ来るの。

 それで私達はカーラ様に懲らしめられる。

 人間側に次こそは覚えてろって、メッセージを送ったら。

 またこっちに来る名目が出来るでしょ?」


「それよ!」


 さすがはアシュリーね、素晴らしいアイデア!


「でも良いんですか?魔王軍の威信に傷が」


「気にしないで、全然構わないから」


 そんなモノ(魔王の威信)、愛する人の為なら犬の糞以下。 

 城の名前もカーライル城に変更しよう、効果抜群よね。


「ありがとうサオリン!」


「な…」


 私の胸に顔を埋めるカーラさん。

 もしかして私は今、彼に抱きしめられてるの?


「あ、ズルい!」


「私も!」


「カーラ様、早く!」


「魔王…やはり倒さねば」


 4人の言葉なんかどうでも良い!

 カーラちゃんの身体、 これは堪らん!!


「ウホ!」


 また変な声が出てしまった。


おしまい

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― 新着の感想 ―
過去作を読んでいると各位の名前が面白いですね。 フミーカとか、笑っちゃいました。
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