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86 クローディアの結婚と好きなモノ

「結婚…ですか?」


だってそれ、アレンが卒業してからって話じゃ…。

私は慌ててアレンを見た。それを見てクローディア様がフフッと笑う。


「やっぱりあなたもあの噂を信じてたのね。それはそうよねぇ。じゃなきゃアレンがあんなに死んだような顔になる訳ないもの」

「…クローディア様」


アレンが余計な事を言うなとばかりに軽く睨む。クローディア様は、はいはいと肩をすくめると、


「誤解しないで。私の相手はアレンじゃないわ」


となんの事も無げに言った。


「はい…?」


え…どういう事?


「私のお相手は隣国レサルの第二王子、ライルズ様。たまたま視察で領地にお見えになった時にお会いして、一目ぼれしちゃったの、私が。無口なんだけどとってもお優しくて…それに…すごいの」


クローディア様が恥ずかしそうに顔を赤らめ頬に手を当てる。

えっ?すごいって、何が…?下ネタですか…?

聞いていいのか迷った挙句黙っているとクローディア様が上目遣いに私を見た。


「筋肉vvv」


「…き、筋肉?」


予想外の言葉に思わず聞き返す。


「そう!衣服を身に着けていても隠し切れないはちきれんばかりのあの厚み。腕とか胸板とかとにかくすごいのよ!彼一人で熊一頭くらい素手で絞められるんじゃないかってくらい太いの。あんな逞しい人今まで見たことないわ!あーもう!貴方にも見せてあげたいくらいよ!ほんと素敵…」


クローディア様が興奮気味にまくし立て、両手を胸の前で組みうっとりとした顔で宙を見あげた。

私はもう一度アレンを見た。

え…クローディア様、まさかの筋肉フェチ?っていうかこんな方だったの?初めてバザーでお見掛けした時も学園生活でもこんな要素微塵も感じなかったんだけど…。

私の言わんとしていることを察したのか、アレンがあきらめたように息を吐いた。さすがエスパーアレン。


「クローディア様はもともとこんな性格なんだよ。いろいろ事情があって学園では目立たないように猫を被ってたけど、こっちが本当」

「そうなのよ。学園での猫かぶり生活も楽しかったけど、窮屈だったわ~。だって素を出すとアレンが怒るんだもの」

「……」


私はずっと気になってた質問をぶつけてみることにした。


「あの…二人はずいぶん仲がよさそうだけど…いつの間にこんなに打ち解けたの?」

「ああ、私たちはけい…ま…むぐっ…っ…い!」


私の質問になんのためらいもなく答えようとしたクローディア様に、ものすごく慌てた表情のアレンが飛びかかりその口を塞ぐ。


「んんっ…んっ…ん―――っ!」


口と一緒に鼻も抑えられ苦しそうにもがくクローディア様。すると…、


「んんっ…ん――っ!…ガブッ!!」

「いった…ッッ!!」


アレンの腕に思い切り噛みついた。


「アレンあなた…今、私の息の根を止めようとしたでしょ…」


ゼイゼイとクローディア様の息が上がる。


「…そんな訳あるはずないじゃないですか。ただお約束は守って頂かないと…。こっちも人生がかかっていますから…」


アレンが強気に口角を上げて微笑む。


「なんだかよくわからないけど……仲良しなのは分かった…」


出会ってそんなに経ってないはずなのに、こんなに打ち解けた関係の二人になんだかちょっと疎外感。


「あっ、やだやだステラ…そんな顔しないで。あなたがそんな顔をしてると私まで悲しくなっちゃう」


そう言って私の頭を抱き寄せるとその胸に抱え込んだ。ああ…マシュマロ祭り再び…。はわわ…柔らか…。


「ねぇ、もういいんじゃない?言っちゃっても。ステラにこんな顔させてまで黙ってることないと思うわ」

「クローディア様!!」

「私ね、ここだけの話、実はこの国の王女なの。王太子のエリオットは私の実の弟よ。本当は一番上に()()()()()()()()()()んだけど小さい頃病気で死んじゃったの。だからちょーっとお家の事情が複雑なのよね。あっこれ国家レベルの話だからね。他言しちゃだめよ。私怒られちゃうし、ステラも首がなくなっちゃうかもだから」


クローディア様がサラッと怖い事を言う。


「アレンとは今年の夏に()()()会ったんだけど、面影がちょっとだけ兄に似ていて…びっくりしちゃったの。それでつい一方的に親近感が湧いちゃって…。いつもは大人しく深窓令嬢を演じてたんだけど彼の前では自分を出してもいいような気がして…つい甘えちゃったの。ただそれだけ。恋愛感情とかホントないから。絶対誤解しないでね。それに私細マッチョってタイプじゃないし…。どう納得してもらえた?」


クローディア様がアレンに向かって軽く舌を出す。それをアレンがムスッとした顔で睨みつけた。が、そんなやり取りは胸に顔を埋められている私にはもちろん見えていない。

私は「はい」と言わざるを得ない状況になんとなく頷いた。情報過多で話の半分くらいしか理解できていないけど…。まあいいや、あとでゆっくり整理しよう。


「僕もあなたのような方はタイプではなかったので安心しました」

「あら、じゃあどんな方がタイプなのかしら?」

「……くっ!」


クローディア様がニヤニヤしながらアレンをからかう。

天使の頭にニョキっと角が出た…、気がしたのは気のせいかな?

言葉に詰まるアレンをふふんと鼻で笑い、クローディア様が私の手をギュッと握った。


「立場上、これ以上の詳しい事は話せなくてホント心苦しいんだけど…。いずれ時が来たらすべてを話せると思うわ。それまでアレンを信じて守ってもらって。いい?くれぐれも無茶はしないでね。そしていつか彼と一緒に私の嫁ぎ先にも遊びに来てちょうだい。あなただったらいつでも大歓迎だから」


ライルズ様の事も紹介したいし、と微笑む顔がとてもかわいかった。

私がはい、と返事をするとクローディア様が私をギュッと抱きしめてくれた。

その背中に私もそっと腕を回した。



次回87話の更新は一週間ほど先になります。(少し話をコネコネしたいと思います)

更新予定は活動報告でご確認ください。


クローディア、結構好きな子だったので番外とか書ければなと思っています。(過去の話とか結婚後とか)彼女に振り回されるアレンを書くのが楽しかったのでまた書ければいいなと思います。


本日も最後まで読んで頂きましてありがとうございました☆

続きもよろしければ楽しんでいってくださいませ(^^♪

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