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16 私とソフィアとなぞかけ

ちょっと短めです。

「おばあちゃん!!!」


私はおばあちゃんの家の扉を勢いよく開けると薬草をすりつぶしていたおばあちゃんに勢いよく抱きついた。


「おやおや、なんだいステラ。子供みたいに」


そう言いながらも優しく背中に腕を回して頭をなでてくれる。

はぁ、おばあちゃんのにおい。おばあちゃんの声…。


「アレンもお帰り」


おいで、とおばあちゃんが促すとアレンは私ごとおばあちゃんを抱きしめその頬にキスをした。


「どうだい?男爵家は」

「うん、みんな優しくしてくれるよ。あ、そうだ!おばあちゃんにお土産もあるのよ。イザベル様が持たせてくれたの」


今日のためにと持たせてくれたお茶やお菓子、生地や食料品なんかを次々に披露する。


「こんなにたくさん。男爵夫人にはくれぐれもお礼を言っておいてちょうだいね」


それからこの3が月にあった事をいろいろ聞いてもらう。男爵家のこと勉強のこと、アレンが少し口うるさくなったこと、新しくできた義弟のこと。おばあちゃんは黙ってうんうんと聞いてくれた。


「ねえ、ルーカスの事、どうしたらいいと思う?」


なんとなく気まずいまま3か月が過ぎてしまった。このままではよくないことはわかっている。でもどんどん状況が悪化している状態で、私としても今更どうするのがよいのかわからない。おばあちゃんは私の持ってきた紅茶を一口すすると、そうだねぇと一言つぶやいた。


「ステラはどうしたいと思ってるんだい?」

「できれば仲良くしたいと思ってるわ。でも一方的に嫌われてるし今更どう打ち解けていいのかわからなくて…」

「ふうん、そうだねぇ…。ルーカス様は本当にステラの事を嫌ってるのかねぇ」

「え…?」


違うの?


「ルーカス様はお寂しいんじゃないのかねぇ。たった1人愛してくれたお母様が亡くなってまだ間もないし、住んでいた家も出なければいけなくなって。男爵様たちは優しいかもしれないけれど、まだ会って間もない人たちだろう?心を開くにはどうしたって時間が必要さ」

「それと私に八つ当たりするのと関係あるの…?」


おばあちゃんはほほほっ、といつもとちょっと違う笑い方をして、


「ルーカス様のお気持ちに寄り添ってみれば見えてくるものもあるかもしれないねぇ」


あとは何も言わずにカップに口をつけた。





「どういうことだと思う?」


帰りの馬車に揺られながら私はアレンに問いかける。


「それよりいい加減、馬車の中に入ってくれない?」


なんで当たり前のように隣に座るんだとぶつぶつ言っている。


「寂しいと私に八つ当たりするの?」


なんで?


「うーん、僕はなんとなくわかった気がするけど…」

「え?うそ!?なんで?教えて!!」


アレンは私の勢いに苦笑しつつ、少し考えるように口元に手をやった。


「うーん…多分だけど、ルーカス様は甘えたいんじゃないのかな。ステラに」


甘・え・た・い・ですと?私に?それこそどうして?なんで私?!


「理由はわからないけど、なんとなくそんな気がした。同じ男だからかな?ちょっとわかるんだ」


へへっとアレンが笑う。

さっぱりわからない……。男の気持ち?ってなに……?そんなの私にわかるわけがない。それが分からないからこんなトラウマ抱えてるんじゃない…。


「とにかくさ、よく見てたら多分わかるよ。そして優しくしてあげたらいい。そうしたらきっとルーカス様は君を好きになるよ」


好きになってもらいたい訳ではない……訳でもないけど。

はあ、みんなして何なの?なぞかけ?教えてくれないの?なんで…?一人でぶつぶつ言いだした私にアレンはほっと小さく息を吐くと馬に鞭を入れた。


「遅くなっちゃったから早く帰ろう。きっとみんな心配してる」


返事もしないでずっとぶつぶつ言っている私をよそに馬車は男爵家への帰路を急いだ。


次話投稿は明日6時予定です。

よろしくお願いします。

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