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120 私と魔力と魔法力 2

「あれ?知ってるの?これ普通の人が知ってたらいけない話のはずなんだけど…」



殿下の言葉に、思わず「しまった…っ!!」と心の中で叫ぶ。



「え、え…っと…ですね。じつは…っ」



や、やばい…なんて誤魔化そう…。

殿下が首を傾げながらこちらを伺っている。なんかうまい事言わなきゃとあわあわしていると、



「まぁ…いっか」



と、殿下がにっこり笑った。



(え、いいの…?国家機密のはずだよね…?)



「君にだったら別に話してもいいような気がする。なんでだろう?不思議だね?」



殿下の隣では、真剣な顔をしたアンネローゼ様がうんうんと頷いている。

未来の国王陛下と王妃にそんなに信頼して頂けるとは、光栄至極に存じます…。



「白き乙女はね、この国で唯一、血統に関係なく誕生し魔力を操る事の出来る存在なんだよ。彼女たちだけは自分の中で魔力を生み出すことができるんだって。すごいよね」


「…どうしてその方たちはご自身で魔力を生み出すことができるのでしょう…?殿下たちとどんな違いがあるんでしょう?」


「さあ、どうしてだろうね…?突然変異だって僕らは教わってきたけど…。一説には別の世界から転生、もしくは転移してきた者たちなんじゃないかって唱えた学者もいたらしいよ」



なんと…っ!そういうことなの?



「真実はわからない。僕も会ったことないからね」


「…そうですか」


「ただ…自分で魔力を生み出すためか、彼女たちは短命だったそうだよ」


「……え?」



心臓がドキンと跳ねた。



「僕たちは自然界のエネルギーを魔力に変えているから体への負担はほとんどないけれど、白き乙女の魔力は自分自身の生命エネルギーを代償に魔力を生成するんだ。だからどの時代の乙女も長く生きられなかったみたいだね」


「…そう…なんですか?」



心臓の音がバクバクとうるさいくらい音を立てている。



「何らかの方法で魔力の消費を補わない限り、使う度に自分の命を削る事になる」


「何らかの方法?!補う方法があるんですか?!ど、どうしたら…っ?!」



私の勢いに驚いた殿下が口をつぐむ。



「あ…ごめんなさい。ただちょっと気になって…」


「方法は…彼女たち個別で違ったらしいよ。睡眠によって回復する者もいれば、他者の生命エネルギーを吸い上げて自分のものにする者もいたみたい。でも大半は自分に適した方法が見つけられずそのまま力を使い果たし短い一生を終えたみたいだけど…」


「自分に適した方法……」



それを見つけない限り長生きはできないって事…なの?



「あ、でも魔力を使わなければ大丈夫なんですよね?一生使わなければ長生きだってできるんじゃないんですか?」


「まあ、そうなんだろうけど…。きっとそうもいかなかったんじゃないかな…」


「どうしてですか?」


「周りが、ほっといてくれると思う?」


「あ……」



そうか…。だから私もスチュアートに狙われたんだったっけ…。



「存在が明らかになれば、当然狙われる存在だから。とてもつらい目にも逢ったんだろうなって思うよ」


「そう…ですね」



これまでにこの国に誕生したであろう白き乙女の末路。それを思うとなんだか胸が締め付けられた。





「あの、もう一つだけお伺いしてもいいですか?」


「僕で答えられる事だったらなんでもどうぞ」


「殿下はその…、姿を変える魔法を使う事はできますか?」



いきなりこんなことを聞くのもどうかと思うけどこれだけはどうしても聞いておきたかった。

もし出来ると言われればアレンのアレクシス王子説はかなり濃厚となる…かもしれない。



「姿を変える魔法…?」


「全く別の人間になるとか、性別を変えるとかそんな難しい事じゃなくていいんです。例えば髪の色を変えるとか瞳の色を変えるとかそれくらいのことでいいんですけど」


「うーん…残念だけど僕は出来ない。変身は上位魔法だから余程潜在能力が高くないと使えないと思う」


「じゃあ、その魔法を使える方もいらっしゃるんですね!」


「僕の身近な人間の中にはたぶんいないと思うよ。あっ…でも…どうだろう?アドラム家のバーナードならもしかしたら使えるかも」


「バーナード様…ですか?」



バーナード様って、さっきヴィクター様との会話で出てきた次期宰相候補のご子息だ。確かルーカスと同じ14歳だったはず。



「変身魔法は土の魔法と相性がいいんだ。バーナードは僕たちの代の中でも飛び抜けて魔法力が強いからもしかしたら…」



仮にバーナード様が変身魔法が使えたとしても、アレンの件には何の関わりもないだろう。9年前、バーナード様は5歳。余りに幼すぎる。



「わかりました。変な事を聞いて申し訳ありませんでした」


「いやそれはいいんだけど…ステラは勉強熱心なんだね」


「はい?」


「学園でも魔法学は選択教科でしょ?それなのにそんなに熱心に学んでるなんて。すごいね。僕も見習わないと…。あ、でも白き乙女については秘密の話だからね。みんなの前では絶対に話題にしちゃだめだよ」



都合よく勘違いしてくれた殿下に対して胸が痛む。


「でも今日はステラといっぱい話ができて楽しかったよ。またここにも(サロン)遊びに来てくれると嬉しいな」


「ええ、私も貴重なお話が聞けて勉強になりました。ありがとうございました。それでは」



私は行儀よくカーテシーであいさつをしその場をあとに……しようとして足を止めた。





「あの……、私が今日ここに呼ばれたご用件は一体何だったのでしょうか?」



本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


今日は仕事で入力したデータが全部飛ぶという悲劇に見舞われ散々な年はじめでした。

今日の事はなかったことにしてまた明日から頑張ろうと思います。


次回121話は明日19時更新予定です。

↑  ↑  ↑

上記の予定でしたが仕事のトラブルで執筆が追いつきませんでした…。

誠に申し訳ありませんが次回は9日(土)19時頃とさせていただきます。



よろしくお願いいたします


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