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109 私とアレンの心配

月曜日に108話をフライング投稿してます。

もしお読みでない方はそちらからどうぞ(*^_^*)

「ローゼの友達になって欲しい」


殿下にそう言われて早数日…未だ動き出せずにいる私…。


「友達になって欲しいって言われても……全く切り口がみつからないのよね」


そもそもアンネローゼ様と私にはこれまでまるっきり接点がない。半年以上学園で生活をしているけど会ったのはミッシェルたちとわざわざ出向いてきたあの日一度だけ。

普段どこで何をしているのか、所在にも全く見当がつかない。


(しかも本人から直接近づくなって言われてるのに、どうやったら友達になれるんだろ?)


「うーむ…」

「何そんなに唸ってるの?便秘?」


いきなり声を掛けられ、知らない間にしわの寄っていた眉間をぐいーっと横に伸ばされて、私はハッと目を開けた。


「違うわよ!!毎日絶好調なんだから!!肌だってピッカピカよ!!」


反射的に返した言葉だったけど、これレディとしては間違いなく失言だった。


「ホントだ、今日もきれいだね。ステラ」

「…ありがとう。久しぶりね、アレン。元気だった?」


まあ、相手が彼だったからギリギリセーフって事で…。

このところ全く顔を合わすことのなかったアレンが久しぶりに私の前に現れた。


(最近すいぶんレアキャラになったわね)


何にそんなに忙しいのか知らないけど、最近のアレンもアンネローゼ様並みに姿を見ることが少なくなった。平民枠の学生は貴族の倍の課題を出されるって話を聞いた事がある。あながち単なるうわさではないのかもしれない。


(それにしても…、レアキャラなんだから、たまにはいいアイテムでも落として行けばいいのに)


頭の中でチャリンチャリーンとコインが増える音が聞こえた。

自分の妄想に思わずフッと笑ってしまったのをアレンは目敏くみつける。


「なに考えてるの?」

「別に~。つまんない事よ」


(ホントに大したことじゃないから。お願いだから乗ってこないでね?)


私の思いが通じたのかアレンは「ふーん」と言っただけでサラッと流してくれた。


「で?ステラはエリオット様にアンネローゼ嬢と友達になって欲しいって頼まれてるんだって?」

「…なっ、なんで知ってるのよ…!」


何たる地獄耳。これまだ誰にも…シンディにもセシリアにも言ってないんだけど…?


「アンネローゼ嬢だったら今は友人たちとサロンにいるよ」

「サロン…?」


えっ…、学園にそんな場所があるの?


「カフェの二階、殿下専用の食事エリアの奥にあるんだよ。一般の生徒の使用は基本禁止されているけど、殿下や婚約者のアンネローゼ嬢と一緒なら入室が許されるんだ。ここに呼ばれるって事は、まあ一種のステイタス?みたいなものらしいよ」

「へえ、そうなんだ…」

「最近、彼女たちはそこにいることが多いみたいだね。何話してるのかまではわからないけど…。どうせ碌な話じゃないと思うけど」

「アレンはアンネローゼ様の友人たちの事知ってるの?」


アレンが彼女たちと接点があるとは驚きだ。なんの関係もなさそうなのに…。


「知ってるよ。ステラを講堂に呼びだした連中だろ?ミッシェル=ターナ―以下6名。うち伯爵家の令嬢4名。残りの二人は子爵家と男爵家の令嬢。全員調査済みだよ。ステラに口で言い負けて歯噛みしてるだけだったからそのまま放置してるけど、もし君に手でも出してたら…」

「…だ、出してたら…?」


アレンはニコッと笑って、近くの花瓶から大輪の薔薇を一本引き抜くと、グシャッと握りつぶした。


「今頃真っ暗な部屋の隅っこでブルブル怯える事になってたかもね」




こ―――わ―――い―――――っ!!




「あ、心配しなくても大丈夫。バレるようなヘマはしないから」


にっこり笑って、握りつぶした薔薇を更に踏みにじるアレン。

いつの間にこんな暗殺者みたいなこと言うような子になっちゃったんだろうね、アレン…。


「君だってエリオット様と一緒ならあのサロンに入れると思うけど…どうする?行ってみる?」

「うーん…それはちょっと…。別に殿下とだってそんなに親しいわけじゃないし…。でも居場所はわかったから出て来るまで待ってみる。ありがと、アレン」


とりあえず、居場所が分かれば会いに行くまでだ。切り口はそれから考える。

私は立ち上がるとアレンの横をすり抜けた。その瞬間掴まれる腕。


「うゎ…っ!ちょっとアレン、なに?」


びっくりした。腕がひっこ抜けるかと思った。


「一人で大丈夫?シンディやセシリアを誘った方がいいんじゃない?」


あら、意外と心配性なのね。


「大丈夫よ、別にケンカしに行くわけじゃないんだから。とにかく会わない事には友達にもなれないし」

「エリオット様に言われたからって無理して友達になる必要はないんじゃない?友達なんて頼まれてなるものじゃないし…」

「うん、それはわかってる。でもね、殿下のお話を聞いてたらきちんと話してみたくなったの。きっと悪い方じゃないんじゃないかなぁって。話してみないとわかんないし。友達になるかならないかはそれから決めるわ。無理そうだったらちゃんと殿下に伝えるから、心配しないで」


そう言うとアレンはようやく腕を離してくれた。


「わかった。ステラに任せるよ。友達になれるといいね」

「うん、まあやれるだけの努力はしてみるわ」


バイバイと手を振って、私はその場を後にした。


本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

このところサブタイトル難民です。自分で決めた縛りに苦しめられています(笑)


次回110話は明日19時頃更新予定です。

明日もどうぞよろしくお願いします('◇')ゞ

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