表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/2006

お見合いの話を持って来る理由を聞きました



 エッケンハルトさんの苦悩(?)も当然だろう。

 知らない間に娘の近くに見知らぬ男がいて、その男は誰にも従わないと言われていたシルバーフェンリルを従えている。

 しかも、獰猛な魔物と恐れられているフェンリルまでいて、さらにそれが娘の従魔になっているなんて、悩む事が多くて当然だろう。

 悩みながらも和やかに、ライラさん達の淹れてくれたお茶を飲みながら、ここ最近の出来事等をエッケンハルトさんに話した。

 一応ほとんどは俺の事情を話す時に話していたが、クレアさんやティルラちゃん、セバスチャンさんを交えての雑談といった感じだ。

 雑談をする事で、エッケンハルトさんは悩みを誤魔化してるようだったけどな。

 まぁとりあえず、俺はエッケンハルトさんに気に入られたようで安心した。

 失礼な事をしたらどうしようとか、正装しないとなんて考えてたのが馬鹿々々しく思えてくる程簡単に信用してもらったな。

 レオと一緒にいる事が一番大きいような気がするけどな。


「……さて、話は変わるのだがな」


 雑談をして和やかな雰囲気のまま時間が過ぎていたのだが、エッケンハルトさんが唐突に話しを切り替えた。

 その瞬間、クレアさんとティルラちゃん、セバスチャンさんの顔が強張り、ついに来たかと言うような表情になった。


「クレア、ティルラ、今回はそろそろ決めてもらおうと思う。色々とお見合いの話を持って来たぞ」

「……お父様……」

「お見合い……」

「旦那様……」


 エッケンハルトさんが切り出した話はやっぱりお見合いの話だったようだ。

 クレアさんやティルラちゃんが溜め息を吐いている。

 セバスチャンも、エッケンハルトさんにバレないよう、こっそり溜め息を吐いてるのを俺は見た。

 聞く話によると、結構な数の話を持って来られて断るのに一苦労だそうだから、溜め息を吐きたくなるのもわからなくもないけどな。


「お父様……お見合いの話ですが……」

「嫌とは言わせんぞ。今日は特に選りすぐりの相手を選んで来たんだ。そろそろ決めてもらわないと私も困るからな」


 エッケンハルトさん、今回は特に力を入れて来たようだ。

 対応策を話し合っていたはずのクレアさんは、エッケンハルトさんの気迫に何も言えなくなり、ティルラちゃんに至っては諦めの表情だ。

 ここまで話してて、何故こんなにエッケンハルトさんはお見合いを勧めるのかわからない。

 クレアさんもティルラちゃんも、両方娘としてしっかり可愛がってるように見える。

 ……若干、可愛がり過ぎて感情の起伏が激しいようにも見えるが、娘を持ったことの無い俺にはわからないが父親というのはこういうものなのかもしれない。

 でも、何故そこまで可愛がっている娘にお見合い話を持って来て嫁に出そうとするのか。

 娘を可愛がってる父親なら、嫁に出したくないと考えていてもおかしくない……と俺は前の世界で聞いた。

 ……聞いてみるか。

 失礼に当たるかもしれないが、ここまで話してエッケンハルトさんはかなり気さくな人柄だと思った。

 理由を聞いたくらいで変に思うような人じゃないだろう。


「エッケンハルト様」

「さんでいいぞ、タクミ殿。様なんて言い慣れてないのだろう? それに、レオ様と一緒にいるタクミ殿は私から見ると公爵家より上の存在だからな」


 前にセバスチャンさんも言っていた気がする。

 シルバーフェンリルを従えてる俺は公爵家よりも上だと。

 まぁそんな事より今は理由を聞こう。


「えっと、エッケンハルトさん。どうしてそんなにクレアさんやティルラちゃんにお見合いを勧めるんですか?」

「ん? クレア達から聞いていないのか?」

「エッケンハルトさんが色々とお見合いの話を持って来るというのは聞いていますが、その理由までは……」

「そうか……クレアなら言ってると思ったが」

「いえ、お父様。私も何故お父様がお見合いの話を持って来るのかは聞いた事がありませんよ」


 クレアさんもお見合いの話をこれ程までに持って来る理由は知らないようだ。

 エッケンハルトさんはクレアさんの言葉に、はて? と首を傾げた。


「何を言ってるのだクレア。この話はそもそもお前が言い出した事ではないか」

「え? 私が? ……そんな覚えはありませんが……」


 何やらおかしな方向に話が行ってるぞ……?

 クレアさんも含め、ティルラちゃんやセバスチャンさんはエッケンハルトさんがお見合い話を沢山持って来るのが厄介だという感じの事しか言っていなかった。

 それが実はクレアさんから言い出した事とはどういう事か。


「……覚えていないのも無理はないのかもしれんな……」

「覚えていない……私は何を言ったのですか?」

「あれは何年前だったか……ティルラが産まれたばかりの事だから、10年近く前か。あの頃のクレアは初代当主様の伝説を聞きたがる事が多くてな」

「……確かに私がティルラくらいの頃、よく初代当主様の話をせがんでた覚えはありますが……」


 クレアさんが森の中で話してくれてた、使用人達の間で初代当主様の生まれ変わりと噂をされてた頃か。

 好奇心旺盛で、シルバーフェンリルに対して何やら感情が湧き上がると言っていたクレアさんなら、初代当主様の話を聞こうとしていても何もおかしくないな。


「その頃に一度だけ話した事なんだが。初代当主様は見合い結婚だったと」


 初代当主様はお見合い結婚だったのか。

 まぁ、公爵にまでなった人だ、政略かどうかはわからないがそういう事もあるだろう。

 それがクレアさんにお見合い話を持って来るのと何か関係してるのだろうか?

 エッケンハルトさんの話を、セバスチャンさんもティルラちゃんも興味深そうに聞いている。

 クレアさんだけは覚えが無いのか、先程から首を傾げている。


「その事を聞いたクレアがな、私もお見合い結婚したいと言い出したのだ。もちろんクレアを嫁に出したくないと考えていた私は止めたんだが……」

「私がそんな事を……」

「クレアお嬢様……」

「姉様……」


 エッケンハルトさんの話に、クレアさんは愕然としている。

 覚えの無い事とは言え、自分が原因だと知ったのだから仕方ない。

 そんなクレアさんを、セバスチャンさんとティルラちゃんが責めるような視線で見ている。

 これまで断る事に色々費やして苦労して来たのがわかる視線だなぁ。

 しかしエッケンハルトさんも、俺が知ってる父親像に漏れず、娘を嫁に出したくないと考えてたようだな。

 やっぱり娘を持つ父親ってのは似たような感じなのかね。 




読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍版 第7巻 8月29日発売】

■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻口絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


■7巻挿絵■ mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


詳細ページはこちらから↓
GCノベルズ書籍紹介ページ


【コミカライズ好評連載中!】
コミックライド

【コミックス6巻8月28日発売!】
詳細ページはこちらから↓
コミックス6巻情報



作者X(旧Twitter)ページはこちら


連載作品も引き続き更新していきますのでよろしくお願いします。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

申し訳ありません、更新停止中です。
夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ