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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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87/2006

屋敷内が慌ただしいようでした


「タクミさんが居なければフェンリル……シェリーを見つける事は出来ませんでした。それに、瀕死のシェリーを助けられたのも、タクミさんが『雑草栽培』を使って下さったおかげなのですよ?」

「んー……まぁシェリーを助けられたのは『雑草栽培』のおかげではありますが……あれは俺も本当に助けられるとは思って無かったので……助けられればいいなぁくらいでしたし」


 美人のクレアさんに面と向かってお礼を言われるのは悪い気分じゃないが……ちょっと面映ゆいな。

 もう少し、女性慣れしないといけないかなぁ……。

 とは言え、どうやって慣れれば良いのかまったくわからないんだけどな。

 そうして、俺がギフトが原因で倒れたとわかったり、クレアさんに『雑草栽培』の研究について話したり、公爵家と薬草販売契約を結ぶ事を決めたり、クレアさんが従魔契約をしたりと、色々な事がありつつも、今日が終わって行った。

 2日も寝続けていたから、夜寝られるか心配だったが、客間が解散になり風呂に入った後、レオと一緒に部屋へ戻ってベッドに横になると、すんなり寝る事が出来た。

 レオも俺が寝てるベッドに半分だけ体を乗せ、俺の枕になってくれた。

 多分、俺が急に倒れて寝続けてた事もあって、まだ心配してくれてるんだろう。

 ありがとうな、レオ。

 今日は良い夢が見られそうだな。


――――――――――――――――――――


 朝、目が覚めて窓を見ると陽射しが眩しいくらいの良い天気だ。

 ベッドから起き上がり、体を伸ばしながら立ち上がる。

 やっぱり、レオの毛を枕にして寝ると良く眠れるなぁ。

 良い夢を見たかどうかは覚えてないけどな。

 夢って起きても覚えてる事と、全く覚えてない事があるよな。

 覚えててもすぐに忘れるし、夢を見たという事だけ覚えていたり、そもそも夢を見たかどうかすらわからない事もある。

 まぁ、夢は人が寝ている時必ず見ているとか言われてたり、覚えてるかどうかだとか、夢の内容で色々な診断があったりするらしいが詳しい事は知らない。

 そんなどうでも良い事を考えながら、朝の支度を済ませた。

 レオは俺が顔を洗い始めた時に起きて、足を突っ張って伸びをするいつもの行動をした後、支度をする俺を見ながらゆっくりと尻尾を揺らしていた。

 今日もご機嫌なようで何よりだ。

 支度も終わり、そろそろ食堂で朝食が用意されてる頃かなと部屋を出る。


「俺も、この屋敷での生活に大分慣れて来たなぁ」


 最初は大きな屋敷で戸惑う事も多かった。

 部屋から食堂や客間での行き方がわからなくてライラさんに案内してもらったりしてたし。

 屋敷の中を全て覚えたわけじゃないが、俺が行く場所はもう案内されなくても行く事が出来るようになった。

 俺の用がある場所なんて、そんなに多くないんだけどな。

 慣れて来た感じのする廊下を歩きながら、食堂に向かっていると、玄関ホールの方でメイドさん達が慌ただしく動いてるのが見えた。

 食堂に行くには必ず玄関ホールの近くを通らないといけないんだが、そこを通る時にチラリと見えたんだ。


「今日は何かあるんだろうか?」


 メイドさん達が慌ただしくしてる理由に心当たりはない。

 俺は不思議に思いながらも、横を歩くレオと一緒に食堂に着いた。

 ノックをして、中から返事があるのを待つ。

 「どうぞ」という入室の許可が出て扉を開けて中に入る。

 中では、俺より早く起きていたクレアさんがテーブルについていて、後ろにはいつものようにセバスチャンさんが控えている。

 俺が入って来た扉の横にはライラさんもいる……今日はゲルダさんがいないが、他に用事があるんだろうか?

 考えながらも、食堂にいる人達への挨拶は怠らない。


「おはようございます。クレアさん、セバスチャンさん、ライラさん」

「タクミさん、おはようございます」

「タクミ様、おはようございます」

「おはようございます、タクミ様」


 クレアさん、セバスチャンさん、ライラさんと順番に挨拶を交わしながら、いつも座ってる場所へ行って椅子に座る。

 レオも俺の隣でいつものようにお座りの体勢。


「今日はティルラちゃんがいませんね。どうしたんですか?」


 そういえば今日はティルラちゃんが起こしに来なかった。

 いつもは朝一番にレオに会うために俺の部屋に来るのにな。


「寝坊です。今ゲルダが起こしに行っています。まったく……遅くまでシェリーと遊んでるから……」

「ははは、そうなんですか」


 ティルラちゃんは昨日あれから遅くまでシェリーと遊んでたらしいな。

 そのシェリーはと思ってると、クレアさんの座ってる場所の横、足元で丸くなってる白い物体を見つけた。

 どうやら、ティルラちゃんと遅くまで遊んでたせいで、シェリーもまだお眠のようだな。


「クレアさん、今日もまた裏庭で『雑草栽培』を試してみたいのですが、良いですか?」

「……その事なのですが……タクミさん、今日は大事な事があります」


 公爵家と薬草販売について契約をするという事を言ったから、研究も兼ねて薬草を作っておきたかったのだが、クレアさんから何かあるらしい。

 深刻そうな顔をしてるが、どうしたんだろう?


「タクミさんはこの食堂に来る途中、玄関ホールの様子を見ましたか?」

「え、はい。見ましたよ。何やらメイドさん達が慌ただしく動き回っていたようですが」


 俺が見た玄関ホールの様子はクレアさんも知ってる事らしい。

 まぁ、現状はクレアさんがこの屋敷でトップなんだから、知ってて当然か。


「タクミさんが見たメイド達は、玄関ホールで今日来る人を迎える準備をしています」

「今日来る人? 誰か大事なお客でも来るんですか?」


 メイドさん達があれだけ慌ただしくしてたんだ、きっと重要な人なんだろう。

 ……俺は部屋にいた方が良いかな……この世界でクレアさん以外のお偉いさんとか、公爵家のお客様とかと会って失礼な事をしたらいけないしな……。

 まだこの世界の上流階級でのマナーとか全然知らないから。


「タクミさんにとっても大事な相手です。まぁ、お客様ではありませんが」

「お客様じゃない……俺にとって大事な相手……誰なんですか?」


 この世界には来たばかりなのもあって、今の所知り合いはこの屋敷にいる人達だけだ。

 一応、ラクトスの街に居たお店の人達やレオを撫でた人達もいるが、知り合いという程でも大事な相手とも言えないだろうからな。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


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