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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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1882/2012

遊びに使えそうな物を提案しました



「まぁフェンリル達が敵わないような魔物がいるなら、そこを避ければばいいわけですからね」

「うむ、そうだな。つまり危険はほぼないと言えるわけだ」


 そんな魔物と遭遇するような場所は行かなければいいし、それ程の魔物がいるなら事前に情報が入らない事はほとんどないだろう。

 ラクトス北の山にいたラーレはまぁ、ちょっと特殊な例だろうし……そもそも、ユートさんと随分昔にやり合ったとかで人間と敵対するつもりはなかったというのも大きいか。

 人間を何度も襲っていたら、そういった話が広がるだろうしな。

 そもそも、ラーレとフェンリルのどちらが強いかは知らないが……フェリーとフェンが魔法禁止の条件付きで戦ったように、変な火種になっちゃいけないからなんとなく聞けずにいたりするけど、これはまぁ今は横に置いておこう。


「フェンリル達が避けなくとも、旅をする者は整備された街道を使う。魔物と遭遇する事はもちろんあるが、それでも危険は元々少ない。さらにフェンリルがいるのであれば、護衛を雇う事もしなくて済む」

「本来は護衛するはずの者による略奪もあるけど、それも防げる。旅の安全は保障されているわ。私も、フェンリルに頼って色んな所を見てみたいと思うもの」

「需要はありそうですね……」

「ま、まぁ、母上の見てみたいと思うのは、ほとんどが街の治安、以前スラムだった場所などが大半なのだろうがな……」


 旅の安全が確保できる、とは最初から考えていて、移動時間の短縮と合わせて駅馬を推進しようとする動機ではあったけど、改めて有用性が確認されたわけだ。

 フェンリルと近くで接して、その温厚さなどもあってエッケンハルトさんだけでなく、エルケリッヒさん達もそう考えているんだろうけど。


「まだ始まってもいない事で、あまり議論しすぎるのもいかんな。ともあれ、観光旅行というものは娯楽として視野に入れておくべきか。ラクトス周辺で開始して様子を見るつもりではあったが、少々範囲を広げて、公爵領内全域でできるように考え、準備を進めておくのもいいかもしれんな」

「とはいえ、そうなるとフェンリルの数が足らなくなると思います。フェリー達の方も、まだ様子見の部分はあると思いますし……まぁ、他のフェンリルの群れとも協力して、みたいな事は以前話していたので、見込みはあるかもしれませんが……」


 ともあれ、この話は駅馬が始まってから本格的にするべきだ。

 今はまだ始まっていないから、ランジ村やラクトスの住民の一部、それに屋敷にいる人達以外がフェンリルが人や物を輸送するのに、どういう反応を示すかを見てからでないとな。

 そう言うわけで、棚上げというわけではないけどとりあえず準備はしておくという方向で収まった。


「他に娯楽というと……まぁ小規模で、それこそ友人同士などが集まってやれる物くらいなら、あるかなぁ?」

「ほぉ?」

「道具を作る必要がありますけど、作り方はそこまで難しくない物があります。ただ、広まるかどうか、皆が面白く感じるかどうかは別ですけど。あと、賭け事にも通じるのでそこはよく見ておかないといけないかもしれません」


 小規模であるからこそ、隠れて悪用した賭け事に使われる可能性、というのは否定できないからな。

 日本、というか地球でも賭け事のための道具としての一面もあるわけだし。


「道具か。小規模なのに道具が必要なのか?」

「はい。その道具を使って、数人で集まって遊ぶ物です。えーっと、例えば紙を同じ大きさ、できるだけ正確に切った物を複数用意します。俺が知っているのは確か、五十二枚にもう一枚から二枚加えた物が一つのセットでしたね」


 知らない人の方が少ないと思われる、遊びの道具。

 日本ではトランプと呼ばれているカードの事だ。

 他にもカードの種類というか、別物の固定化されたルールで遊ぶ物もあるにはあるけど、自由にルールを決めて数字で遊ぶという意味で、一番スタンダードだし作りやすく理解しやすい気がするのもあって、それを選んだ。


「……あぁ! トランプ……いやカードの事かぁ!」


 と、何やら考え込んでいたユートさんが、驚き混じりに発言。

 この世界で不老となり、気の遠くなる程の年月を生きてきたユートさんにとっては、日本での事などはかなり忘れてしまっているらしいけど、こうして刺激すると思い出す事もあるらしい。

 真偽の程は怪しいけど、まじめだったらしいユートさんでもトランプの事くらいは知っているし、おそらく遊んだこともあるだろうと思う。

 ありふれたものだしな。


「五十二枚、いや五十三枚か五十四枚か……かなりの枚数を使うから、難しく感じるが」

「構えて考えるとそうかもしれませんけど、もっと気楽に考えていいんです。数十枚ある物を全て使わなくてもいいし、もちろん使ってもいい。カードと呼ばれていますけど、それを使って自分達でルールを決めて遊ぶ物です」

「自分達でか。それは少々面白そうでもあるな。どんなルールができるのか、という意味でだが」

「まぁ、ある程度の遊び方というか、興味を持ってもらうために例としての遊び方くらいは、こちらで考えておいた方がいいでしょうけどね」


 道具ができました、さぁそれを使って自由にルールを決めて遊んでください、なんて言われてもどうしていいかわからない人の方が多いだろうからな。

 親しみを持って、多くの人に遊んでもらえてこそ広まるものだから、まずはこういった遊び方がありますよ、といったいくつかの遊び方とルールの提示は必要だ。

 そうして遊ばれているうちに、場所によってのローカルルールができたり、別の新しい遊び方ができたりするものだろうし。


「小規模と言ったのは、カードの枚数が最大五十二枚で人数が増えれば振れる程足りなくなる事があるからなんですけど……」


 だったら、カードの枚数を増やせばいいとは思う事もあるだろうけど、そうすると確率やらいろいろな事に弊害が出てしまうからな。

 遊びでのバランスなどを考えると、できるだけ俺の知っているままで再現した方がいいだろう。

 変えるとどうなるかわからないし、バランスという意味では運が絡むけどやっぱり既に地球で多くの人が遊んでいるから、こちらで考えて調整しなくても済む。

 と考えつつ、エッケンハルトさん達にカードについての詳細を話していった。


 ユートさんは懐かしんでいるように俺の話を聞いているから、昔の事……日本にいた頃の事を思い出しているのかもしれない。

 ちなみに、例としてカードの遊び方で話したのはポピュラーなポーカーだけでなく、ババ抜きや七並べに神経衰弱だな。

 ババ抜き、という言葉にマリエッタさんの眉が跳ね上がったので、慌ててトランプゲームという事にしておいた。

 トランプゲームだと総称のようになってしまうけど、カードと呼ぶならトランプをそちらで使ってもいいだろうと、マリエッタさんが反発する前に脳内をフル回転させて考えたわけだ。


 ジジ抜きだとまた少し違うルールになるし、こちらはこちらでエルケリッヒさんが反応しそうだったから口には出さなかった。

 日本では受け入れられていても、気を付けなきゃいけない言葉ってあるなぁ……。



読んで下さった方、皆様に感謝を。


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