ギフトの話をするかは少し考える事にしました
「では、私の方でも協力をさせて頂きましょう。カレーという珍しい物を食べさせて頂きましたからな、そのお礼も兼ねて。そうですな……その香料ですが……」
「えっと……」
頷いたカレスさんが協力を約束し、クズィーリさんから香料についての話を聞いて行く。
多岐にわたる香料の種類や、仕入先からもとになる植物の群生地等々だ。
離れた場所で群生している植物ばかりなのは当然ながら、仕入れるとなればその場所で摘み取ってもらうよう誰かに依頼しなければいけない。
香料にする方法などはさすがに実際に契約したお店に、クズィーリさんが直接教える必要はあるが、とりあえず公爵家運営のお店の店主であるカレスさんだから、と信用も込みで色々と話しているようだ。
その中で、カレー粉に使った香料の仕入れ先が気になって、二人が話すのを聞いていたんだけど……他の香料では、公爵領やラクトスから見てあまり遠くない場所だったり、複数の場所に群生地がある、大量に採取できたりするようだけど、カレー粉の方はやっぱり少し難しいみたいだ。
複数の香料だからというのもあるけど、群生地が遠くその場所でしかない、という事もあるようでカレスさんが少し難しい顔になっていた。
遠ければ遠い程輸送費がかかるし、向こうで採取してくれる人に依頼するにも連絡する日数がかかるし、当然費用もかさむ。
さらに量も多くないようで、どうしても販売価格が高くなってしまうだろうし、売れなかった場合の損失が大きい。
カレーは定期的に食べたいけど……ちょっと難しいかもなぁ。
まぁカレー粉に使う香料を仕入れるのが難しくても、常に一定の商品を店頭に並べるわけでもないので、契約に関してはそこまで問題にはならないそうだけど。
流通方法が整備されている日本のスーパーやコンビニとは違って、その日その日で商品ががらりと変わるのはよくある事みたいだからな。
「あ、そうでした。カンゾウなんですけど……これは少し難しいかもしれません」
「そうなんですか?」
香料の話で、思い出したようにクズィーリさんが口に出したカンゾウ。
甘味料として、砂糖の代わりになるかもと期待ができる物だけど、ヘレーナさんが強く興味を示していた。
「私が発見した群生地がここからだ遠くて……しかも、数も少なかったんです。増えにくい植物みたいで、何度かその場所に行ってみたのですが、あまり量が採取できませんでした」
「そう、ですか……ふむ」
「タクミさん?」
「あ、いや……なんでもないよ。――クズィーリさん。カレスさんもですけど、カンゾウの方はちょっと別で考えていてもらえませんか? 少しこちらで考えてみます」
「わ、わかりました」
「ふむ、畏まりました」
とりあえずという感じで頷くクズィーリさんと、何か察している様子のカレスさん。
カンゾウに関しては、さっきカレーの準備している時にも考えたけど、『雑草栽培』で作れるんだよな。
ただ、だからってクズィーリさんに何も言わず栽培して数を増やし、勝手に香料というか甘味料にするわけにもなぁ。
話さないといけない、というわけではないと思うけど……クズィーリさんのおかげでカンゾウという植物が、砂糖の代わりになるかもしれないとわかったのだから、そこは筋を通したい。
でもその場合、クズィーリさんに『雑草栽培』の事を話さないといけないわけで……。
基本的に、誰に『雑草栽培』の事を打ち明けるかは俺の判断に任せられているけど、一応クレアやアルフレットさんとかライラさんにも、相談しておきたい。
クズィーリさんを信用していない、というわけではないけど、今日会ったばかりだし。
もしかしたら、他の香料も俺が作る事もできる可能性もあるから……どちらかというと俺自身は話して協力した方が良さそうとは考えてはいるけど。
「わかりました。それでは……私は明日ラクトスに向かいますので、向こうでお待ちしております。その間に、紹介できる商店があるかなども探しておきますよ。もちろん、私の店と契約する事も含めまして、店の者とも検討させて頂きます」
「はい、よろしくお願いします! ラクトスは以前一度行った事がある程度で、これといった知り合いもいませんし、頼れる方がいるだけでも助かります!」
クズィーリさんとカレスさんの話がまとまり、とりあえず香料に関しては終わった。
まぁその後すぐに、エッケンハルトさんも含めてユートさんが、カレーを定期的に食べられるようにするため、力を入れるべきだと語り出し、カレスさんのお店が公爵家運営だとクズィーリさんが知ったり、といった騒動も少しだけあったけど。
そう言えば、クズィーリさんにカレスさんと公爵家の関わりを伝えていなかったっけ。
商人だとしか紹介していなかったか……驚かせてしまって申し訳ない。
クズィーリさん、公爵家のお店と繋がりが持てて幸運と喜べばいいのか、畏れ多いのかとかなり悩んでいる様子だったが。
ともあれその流れで、ついでに食事を共にしている人達をクズィーリさんに紹介する。
俺がエルケリッヒさんと話している間に、クレアがフェンリル含めて従業員さんや使用人さんなどは紹介していたようだけど、エッケンハルトさんやユートさん、それからラクトスからの調査隊やルグレッタさん達などは、まだだったからな。
それが終わって、食後のティータイムも済ませた頃、お散歩でいっぱい運動した事と満腹の満足感から、再び庭に転がるレオを見て気付いた。
「……カレーだから仕方ないけど、口の周りの汚れ、取れてなさそうだなぁ?」
「ワフ!?」
不穏な気配を感じたのか、へそ天して舌を出していたレオがガバッと起き上がる。
そのレオの口の周りは黄色く汚れていて、濡れたタオルなどで使用人さんが拭いてくれたけど、それでも完全には取れていない。
まぁそれはフェンリル達も同様なんだけど。
くちばしがあるラーレ達とは違って、口の周りも毛が生えているレオやフェンリル達がカレーを食べたら、こうなるのも仕方ない。
「あと、満足して転がるなとは言わないけどな? 背中も結構……」
「ワ、ワフゥ……」
しおしおと耳や尻尾を垂れさせて俯くレオ。
俺が何を言おうとしているのか察しているみたいだ。
庭は当然地面は土だから、そんな場所で転がって背中をこすりつけるようにすれば、当然汚れるわけで……外を馬車を曳いて走ったのもあって、レオを撫でるとほんの少しだけザラッとした感触もある。
体の毛に砂埃が絡まっているのだろう――。
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