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止むことのない雨の下で

この世界には、対になる言葉がいくつもある。例えば光と闇、光がなければ闇はなく、闇がなければ光はない。では、有と無だとどうなるだろうか?考えるまでもなく、有る、ということがなければ、無い、ということもない。しかしそれはあくまでも、人間の観点から物事を捉えた結果でしかない。もしこの世界が始まっていなかったら?初めから無しか存在しない世界であったのなら?その世界に有はなく、ただ無しかない世界、完全なる無の世界だっただろう。

有が存在するこの世界で、完全なる無など存在してはいけない、有るわけがない・・・はずだった。



「無・・・だと?」

ルシファーの漏らした言葉に、自分自身を無だと言い放った月夜の姿をしたそれは、ただ黙って頷いた。

「笑わせてくれるではないか・・・なら、なぜ貴様は存在している?」

ルシファーが言ったことはもっともだった。無が存在している、それは矛盾以外の何者でもない。

「分からないと言ったでも僕はここにいる」

抑揚のない声で無と名乗る少年は続けた。

「元より僕が生まれた理由なんてあったとしてもいらないそれならば僕の存在自体無いということに等しい」

存在理由がなければ、存在していないことと同じ・・・残酷とも言えるようなことを、無は平然と言ってのけた。

「・・・ならば貴様は、私には勝てぬ!」

ルシファーは強く叫んだ。その言葉は驕りからでたものではなく、ただ単純に、明確な意志を持つ者と持たない者の差がそこにあることを知っていたからだった。時として、強い意志を持つ者は、己より強者に打ち勝つこともある。

「貴様ごときに・・・存在理由すら否定する貴様なんぞに、私は負けない!」

ルシファーは言い終えるよりも早く、立ち上がり、そして無に対して攻撃を放つ。ルシファーの両手から撃ち出された眩い光と漆黒の闇の太い帯が、螺旋を描きながら真っ直ぐ無へと伸びる。常人には見えない速度、おそらく月夜ならば避けれない程の攻撃・・・無はそれを避けることもせずに、ただぼんやりと立ってそれを見ていた。二本の帯が無に当たる、そう誰もが思った直後、二本の帯は突然姿を消した。まるで初めからそこに何もなかったかのように、唐突に消えたのだった。

「無を消すことなんて出来ないなぜなら僕は最初から無いのだから」

三人が・・・ルシファーですら、呆然としている中、無機質な無の声が響く。その声に、はっ、としたルシファーは、すぐさま次の攻撃を放つ。しかし、結局それも無駄に終わった。

「くっ・・・ならば、直接叩くのみ!」

二度目の攻撃が消された瞬間、ルシファーは一瞬の内に距離を詰め殴りかかった。その拳には先ほど放った光と闇の帯が巻き付き、地面ですら軽がると抉れる威力を持っていた。

「無駄だって言ってるのに」

拳が当たる瞬間、そう呟いた無にルシファーは恐怖した。しかし、速度のついた拳は止まるはずもない。振り下ろされた拳は無に当たった。月夜の体の心臓の部分を、抉り抜いた、はずだった。無に触れた瞬間、ルシファーはなんとも言えぬ奇妙な感覚に襲われた。拳が、腕が、無に触れた部分が飲み込まれるような感覚・・・ルシファーは肩口程まで胸に腕を差し込んでいた、そのはずが、月夜の体は後ろに突き抜かれてはいない。

「下手に触れると大変なことになるの先に言っておけば良かった?」

「貴様、何を・・・!?」

奇妙な感覚を携えたまま、ルシファーはとっさに腕を引き抜いた。引き抜いたその腕を見て、ルシファーは絶句した。無に突き入れた腕が、なくなっていたからだ。切られたわけでもなく、千切られたわけでもない。文字通り、肩から先が消えていた。骨や内側の肉などが肩から覗くにも関わらず、出血はなかった。

「僕は争いを好まないでも消さないといけないだからさようなら」

ルシファーが我を取り戻し、無から離れようとした時には既に遅かった。ルシファーの周囲に、薄い水色の膜が張られる。それは先ほどの防壁に似ていて、外からは決して破れない。しかし、用途は全くと言っていい程逆だった。

「な、なんだこれは!?」

ついに焦りの色を浮かべたルシファーが叫ぶ。

「名前なんて無い」

無機質な無の声、しかし、それは笑っているようにも泣いているようにも聞こえた。膜に包まれたルシファーは、自分の体に起こりつつある異変に体を震わせた。

「出せ!私をここから出せ!」

ルシファーは威厳も何もない声で叫ぶ。無は黙って首を振る。徐々に、ルシファーの体が透明になっていく・・・それはまるで、空気に溶け込む煙か何かのようだった。

「こんなところで・・・私は、私はぁ・・・!」

それがルシファーの最期の言葉だった。文字通り、彼は消えてなくなった。異能の力も、夢も理想も、ただ初めからそこに何も存在していなかったかのように、彼は残酷な終わりを迎えた。

「次は何に消えてもらおうかな」

無が吐き出した言葉はそれを更に超える程の残酷さだった。自分がさっきまで対峙していた男などもはや知らない、とでもいうように言ってのけ、そして次の目標を探すように首を動かす。一部始終を黙って見ていた楓とリミーナは、無に見られるたびにその表情を緊張に染めていく。

「一人ずつ消すのもめんどくさいしこの世界ごと消しちゃおうか」

抑揚のない声で、無はそんなことを呟いた。近くにいるリミーナは、あまりの恐怖で失神寸前になっている。

「怖がる必要はないよどうせ全部消えるんだから」

リミーナを見ながら、無表情で無は言う。しかし、そこで何かに気づいたようにポツリと言う。

「怖いなら一足先に消してあげたほうがいいかな」

「・・・っや!」

リミーナはとっさに逃げようとした、しかし、あまりの恐怖に足が動かなかった。無は、そんなリミーナに近づいて触れようとする。そこには、優しさも憎しみも、感情というものが何一つなかった。

「いや・・・やめて、やだ・・・やだぁ!!」

「待ちなさいよ!」

子どものように震えながら泣いているリミーナは、突然割って入ったその声の主を呆然と見つめた。無も、自然と声の方向に目を向ける。声の主・・・楓は、毅然とした態度で立って無を見つめていた。

「リミーナちゃんを消すぐらいなら・・・先に、私を消せばいいじゃない!」

震えながらも、凛とした声で楓は言う。

「結局消えることに変わりはない順番なんて無いも同然」

でも・・・、と、初めて言葉を区切った無は、続ける。

「お前がそう言うなら先にお前を消す」

既にリミーナに興味をなくしたかのように、無は楓に向かって歩き出した。距離は数十メートルもなく、楓が消されてしまうまで数十秒もかからないだろう。

「私は・・・お前なんて名前じゃない、楓。如月楓だよ」

恐怖で足が震えそうになりながらも、楓は強くそう言った。なぜそんなことを言ったのか、楓自身にもよく分かってはいなかった。ただ・・・月夜の姿をしたそいつに、他人のように呼ばれることが耐えられなかったからかもしれない。

「名前なんて・・・必要無い」

歩きながら、無は答える。月夜の声で、月夜の姿で、感情もなくただそう口にする。

「名前は必要だよ・・・だって、名前がなかったら私は・・・もう二度と、好きな人を呼ぶことが出来ないから・・・」

楓の声は、あまりにも切なく、あまりにも哀しい感情が、ひしひしとこもっていた。それを全く意に介さず、無は歩きながら言う。

「そんな心配はすぐに消える・・・存在と共に」

楓に対する無の口調は、ルシファーやリミーナにかけられていたものとは明らかな違いがあった。しかし、無自身それには気づいていない。

「どうせ消えてしまうのなら・・・私は、最後まで好きな人のことを考えていたい・・・その人の名前を、呼んであげたい」

強い意志を持って、楓は言う。その声には、目に見えない強さがあった。それは誰もが持てる強さではなく、同時に誰もが持っている強さだった。

「勝手にすればいい・・・僕はお前を、楓を消す」

楓の名前を呼びながら、無は楓の目の前で立ち止まった。手を伸ばせば、すぐに触れられる位置だった。

「それでも、いい・・・でも、最後に聞かせてよ・・・あなたの、名前は?」

切なくも強い瞳で、楓は無を見つめる。

「名前・・・僕は無だから、そんなもの存在しない」

無機質な声、それでもその中には今までの無とは違った何かが含まれている。手を伸ばせばすぐにでも消していけるはずなのに、無は手を伸ばさなかった。

「嘘・・・聞かせてよ、あなたの名前を・・・私が好きな人の、名前を」

楓の瞳から、涙が一筋流れ落ちる。それでも、顔をそらすことも目をそらすこともせずに、真っ直ぐ無を見つめ続ける。

「名前・・・名前・・・?ないんだよ・・・僕には、無だから、存在してないから、名前なんて・・・ないんだよ・・・!」

無は取り乱したように答える。まるで責められているかのように、無いはずの存在を否定されているかのように、無感情に無表情に・・・自身の中の何かを押さえつけているかのように、叫ぶ。

「あなたの名前は・・・」

「うるさい!うるさいうるさいうるさい!」

無は腕を振り上げた、その腕の周りにはうっすらと薄い膜がまとわりついている。振り下ろせば、無の目の前にいる楓は間違いなく消えるだろう。

「月夜、如月月夜。私が・・・私が・・・」

「うるさいんだよ!!」

腕が、振り下ろされる。楓は微動だにせずそれを見ながら、叫んだ。

「私が愛してる人だよ!」

ズガンッ、という音が響いた・・・楓を消すはずだった腕は、そのすぐ横に振り下ろされ、地面を大きく削った。リミーナも、覚悟を決めていた楓すらも、その光景を呆然としながら見入った。

「・・・楓・・・月夜・・・なんだよ、それ・・・わかんねーよ・・・わかんねーよ!」

無は叫ぶ。その表情は、泣いているように見えた。

「月夜・・・泣かないで・・・」

「その名前で呼ぶな!僕は泣いてなんか・・・」

再度腕を振り上げようとした無を、楓は抱き締めた。自分が消えてしまうよりも、例えそれが月夜じゃなかったとしても、月夜の姿をしたそれが、哀しそうな表情をしていることに楓は耐えられなかった。強く、強く・・・ただ、抱き締める。無はわずかに動いたが、すぐに止まり・・・そして、呟いた。

「・・・生まれて来なければ良かった。ずっと独りで・・・そう思ってた・・・でも・・・ありがとう・・・さよう、なら」

最後の最後に涙を流し、無は別れの言葉を告げた。するり、と力が抜け、無が倒れそうになる。倒れないように、楓は精一杯、その体を支えた。愛する人の体を、愛しく思いながら、ただ支え続けた・・・。



戦いを終えた四人(月夜と葉月は意識を失っている倒れているが)は、ぐったりとした感じで長椅子に腰掛けていた。左から順に、葉月、月夜、楓、リミーナと並んでいる。楓は月夜の頭を膝に乗せ、心配そうな顔で覗き込みながら、時たま頭を撫でている。月夜の腕は既に再生しているため、そちらにはあまり気を向けてはいなかった。

「やっぱり、楓お姉ちゃんはすごいと思う・・・」

そんな楓に、突然リミーナはそう言った。その声には、純粋に感嘆の色が含まれている。

「そんなことないよ、月夜やリミーナちゃんが戦っている時に、私は何一つ出来なかったんだから・・・」

それは謙遜の念から出た言葉ではなく、本当にそう思ったからこその楓の言葉だった。

「ううん、楓お姉ちゃんは戦ってたよ・・・なんていうのかな、目に見える力とかじゃなくて、気持ちの戦い。心配したり、信じたり・・・それが人としての真の強さだと思う」

無と名乗る少年に対しての啖呵、あれは月夜を信じていなければ出来なかったことだとリミーナは思った。しかし・・・

「私は弱いから、それぐらいしか出来ないの。何よりも、私が優先したのは私自身の気持ちだから、全然大したことじゃないよ」

楓はそれを否定した。

「お姉ちゃんの気持ち?」

「うん、月夜が泣いているのが嫌だった、傷ついているのが嫌だった・・・死ぬのは怖いし、逃げだしたかったけど・・・あんな哀しそうな月夜、私には耐えられなかった」

リミーナの目から見た無は、決して哀しそうではなかった。それどころか、感情そのものがなかった。それでも、楓にはそれが哀しそうに見えたらしい。どれだけ絆が深ければそんな芸当が可能なのか、リミーナには不思議でたまらなかったのと同時に、それは羨ましく思えた。

「やっぱり、すごいことだと思う・・・ちょっと、妬けちゃうな」

ポツリと呟くリミーナを、楓は何も言わず空いている腕で抱き寄せた。一瞬気恥ずかしそうな顔をしたリミーナだったが、すぐに表情を崩し、甘えている子どものように楓に寄り添った。そこで、突然声が響いた。

「随分と仲が良くて、羨ましい限りだね」

楓とリミーナは一瞬ビクッとしてから、声の主を見遣る。月夜を挟んだ楓の反対側、そこには、いつもながらの微笑みを浮かべた葉月が座っていた。

「あの男がいないってことは、月夜がやってくれた、ってことでいいのかな?」

のんびりとした口調で言う葉月に、リミーナは皮肉気に返した。

「そうよ、あなたが寝こけている間に全部終わったわよ」

「やれやれ・・・随分と嫌われたみたいだね」

首を振りながら言う葉月は、言葉とは裏腹に相変わらず微笑みを崩さない。

「葉月君、色々聞きたいことがあるんだけど・・・いいかな?」

楓の言葉に、葉月は頷いた。

「楓にならなんでも答えるよ、スリーサイズ以外ならね」

どこで覚えたのか、そんな冗談混じりの微笑みは、次の楓の言葉にすぐに打ち消されることとなった。

「無って、知ってる?」

「・・・ああ、知ってるよ。そうか、目覚めちゃったんだね」

真顔になった葉月は、微笑んでいるよりもはるかに美形で一瞬ドキッとした楓だったが、今はそれどころではなかった。

「葉月君は知ってるの?あの人、ルシファーっていう人は知らなかったみたいだけど・・・」

「それはそうだよ、僕はあいつの分身であると同時に、調律者に遣わされし者でもあるのだから」

「調律者・・・?」

楓の問いに、いけないいけない、と言った様に葉月は口元を押さえた。

「僕としたことが、つい口を滑らしたみたいだね・・・調律者、またの名を超律者。それ以上は、僕の口からは言えない」

「こんなところまで来て隠し事?私が無理にでも喋らせてあげようか?」

そんな態度の葉月に、リミーナは脅すように言う。しかし、葉月はそれを気にした様子もなく言う。

「君には無理だと思うよ。まぁ、知らないほうがいいこともたくさんあるよ。・・・何より、月夜を含め、君達にはこれ以上足を踏み入れて欲しくないんだ」

その声には、焦りや心配、といった色が強く浮き出ていた。気になりはした楓とリミーナだったが、なんとなく、聞けるような雰囲気ではなかった。

「・・・じゃあ、葉月君の目的は何?」

話題をそらす様に楓は聞いた。あの時、葉月は説明をする直前で気絶してしまったのだ。楓はそれも、ずっと気になっていた。

「それならいいかな・・・そうだね、僕の目的はあの男を殺すことさ。その為に、君達を利用させてもらったよ」

悪びれた様子もなく、葉月は平然と言う。

「だから私達をここに連れて来たの?月夜を殺さなかったのもその為?」

「ああ、そうだよ」

パンッ、と乾いた音が響いた。楓が、葉月の頬を引っぱたいた音だった。突然の出来事にも関わらず、葉月は顔色一つ変えず、そして避けることもしなかった。

「あなたは私達を利用するために、月夜にひどいことをしたの?こんな危険な所に誘い出したの!?」

楓の脳裏に、先ほどの月夜の哀しそうな姿が思い出される。それは無であり月夜ではなかったが、体が一緒なのであればそれは月夜自身なのだ。楓の糾弾に、葉月は顔色一つ変えることなく、声を荒げることなく、平然と、いつも通りに言った。

「そうしなければ世界が滅んでいた。まぁ、アレがいる限りはその可能性は極めて低いけど・・・」

「世界が何!?あなたは世界のことなんて思ってもいない癖に、自分自身の為に月夜を利用した癖に!」

自分自身のことよりも、月夜のことに対して怒る楓に、葉月は、それがどうした?と言わんばかりに言う。

「悪いかい?」

パンッ、と、その言葉に、楓の二度目の平手が飛んだ。

「悪いに・・・決まってるでしょ!?」

世界よりも何よりも、楓は月夜が大事だった。それは我がままなことなのかもしれないが、人間にとって当たり前の感情なのかもしれなかった。結局のところ、世界を救うという非現実的なものより、好きな人という身近なものの方が、人間にとっては大事なのだから。

「本当は、あいつが隙を見せた時点で僕が終わらせるつもりだったんだけどね・・・少し、見くびっていたみたいだ」

そこで初めて、葉月は反省したような声を出した。それは葉月の本当の気持ちだったようだ。

「だからって・・・」

「すまないとは思ってるよ。何より、僕自身、まさか無が目覚めるとは思いもしていなかったんだから」

葉月の言葉に、楓は胸が締め付けられるような感覚を抱いた。

「・・・無って、一体何?」

「あれは、偶然にもこの世界に生まれてしまった異分子さ。有限の力を持つ人間と、ほぼ無限の力を持つ天使を混ぜ合わせた結果、あれが生まれてしまったんだ」

葉月の言葉に、楓とリミーナの二人は固唾を呑んで聞き入った。

「有限の肉体に無限たる物を入れてしまえば、それは矛盾にしかならなくなる。・・・言葉ってのは不思議な物でさ、彼の昔の名前はインフィニティ、正に、無限」

息を軽く整えながら、葉月は続ける。

「月夜は完全なる無を生み出す最高の状況で生まれてしまったんだよ。故に、矛盾を多く孕んだ体の内に、無純を生み出してしまったんだ。・・・偶然にも彼の中に生み出された完全なる無、あれは世界どころじゃない、銀河系だろうが宇宙だろうが、有るものを全て無に還す力があるんだ」

言葉や名前には力がある。言わばそれは言霊だ。有限の人間に、無限である天使を混ぜ、そして生まれた子の名前はインフィニティ・・・無限。言霊、矛盾、無限、無純・・・全ての要素が複雑に絡み合い、偶然にも生まれてしまった、それが完全な無という存在だった。しかし、それならば・・・?

「リミーナちゃんにも、その可能性はあったってこと?」

楓のもっともな疑問に、葉月は首を振った。

「それはまずないね。同じ造り方をしたところで発生する確率は皆無に等しいし、何よりそこの彼女と月夜は同じ造られ方をしていないのだから」

かつて、ティアーナが言っていた言葉、

『単なる物質であれば比率が一緒であれば問題ない。しかし、生物ならそれは違う』

葉月の言葉は暗に、無も生物だ、と言っているようだった。

「まぁ、過ぎたことは終わりにしよう・・・おそらく、無はもう目覚めることはないと思うし」

「・・・?どうして?」

楓の疑問に、葉月は微笑みながら返した。

「無は、一度目覚めたら最後なんだよ。それこそ、世界が終わる。でもそれがもう一度眠りについたってことは、何かに満足した、ってことなんだろうね」

おそらく、世界を無くしても、全てを無くしても、無が満足することなどなかっただろう。それならば、なぜ・・・?楓の疑問を感じ取った葉月は、答えた。

「無は感情を持たないものだよ、何かを考えることはあってもね。だからこそ、一度でも感情を持ってしまえばそれは無じゃなくなる・・・よほどのことが無い限りは、それはないんだけどね」

生まれてこなければ良かった、無は確かにそう言った。考えることはあっても感情はなく、泣く事も絶望する事もなく、ただ在っただけの存在・・・それに感情を与えたのは、独りは哀しいと思わせたのは、紛れもなく楓だった。

「私のせいで・・・彼は消えちゃったのかな・・・?」

殺されそうになったにも関わらず、楓は相手を想う様に呟く。

「それは違うよ。無は殺戮するために存在してたわけじゃない、存在理由すらなく、正しく全てを無に還す為にただ、そこに在っただけだから・・・解放された、みたいなものかな」

在ることに縛られていた無、どこまでもその存在は矛盾していたが、もしかしたら彼は存在そのものを拒否したかったのかもしれない。

「っと・・・ゆっくり話してる暇、ないんだった」

思い出したように、急に葉月は表情を切り替える。そこには、先ほどまでの気落ちしたような表情は一つとしてない。楓とリミーナのいぶかしむ視線を受けながら、葉月は言う。

「僕にはまだ、やるべきことがあるんだ」

「やるべき・・・こと?」

「まさか、また良からぬことを企んでるんじゃないでしょうね!?」

二人に言われ、葉月は困ったように頭をかく。

「君らには、決して害がないことだよ。それは約束する」

真摯な物言い、しかし表情は微笑んでいる。その笑みのうそ臭さに、楓はなんとなく不安な気持ちになった。

「葉月君・・・一体、何をする気なの?」

「説明してる時間はないんだ。一言で言えば、仕事、かな。・・・道具としての、部品としての、最後の仕事」

にっこりと微笑む葉月。その言葉の裏にある何かを感じ取った楓は、葉月に声をかけようとした。

「最後の仕事って・・・」

「それじゃ、お別れだ。ああ、月夜には無のこととか言わないでおいたほうがいい、彼も傷つきやすい繊細な・・・人間だからね」

じゃあ、ばいばい、最後にそう告げた葉月は、いまだ何かを言おうとしている楓とリミーナに手をかざした。ゆっくりと、空気に溶け込むかのように楓とリミーナ、そして月夜は葉月の前から姿を消していく。名残惜しそうに三人が消えた空間を見ながら、葉月は呟いた。

「・・・ほんと、僕はどこまで行っても、所詮道化師でしかないんだよね」

葉月はしばし沈黙した後、唐突に高らかな声で笑い始めた。それは、哀しみ切なさ怒り憎しみ・・・人間にとって全ての負の感情を詰め込んだような笑いだった。葉月の微笑みの下に隠された、あまりにも醜いそれらの感情、しかしそれは、うそ臭さが一つとしてない人間としての葉月にも見えた。

「・・・くす、それじゃ、行こうか・・・地獄へ」

ひとしきり笑った後、すぐにその表情はいつもの物へと戻る。負の感情を押し殺した、微笑みという仮面を被った葉月は、三人同様に空気に溶け込むかのように姿を消した。



怒号や罵声、砲弾が飛び交う戦場に、一人の人間が姿を現したのはそれからすぐのことだった。いや、それは人間というよりは、醜く争う人間に神の鉄槌を下す為に降り立った、殺戮の天使のようだった。外見は美しく純粋無垢な天使、されどその瞳は血のように赤い。背中には白と黒の一対の翼を生やし、神秘的な雰囲気と・・・そして、死を予感させる絶望を、見るものに与えた。

「今すぐ、戦争をやめるんだ!・・・さもなければ、僕は破壊の限りを尽くす!!」

一瞬、その生と死を孕んだ矛盾の天使の姿と、その声に殺し合いをしていた両軍は動きを止めた。しかし、我に返った彼らはすぐに目の前の敵を討つべく、各々が武器を構えた。日本軍とアメリカ軍、両者の間に降り立った天使を二つの軍はいぶかしむ心を持ちながらも、攻撃の手を緩めることなく、もはや宿敵となった相手の軍を攻撃する。

「やめろと言ってるのが・・・なぜ、分からない!?」

砲弾や怒号に勝る声で天使・・・葉月は叫びながら、両軍に向けて両手を振り上げ、そして振り下ろす。その光景は、まるで指揮棒を振るう指揮者のようだった。刹那、常人の目には見えぬ速度で、戦車や大砲などの兵器が粉々に破壊されていく。なるべく人間への被害を最小限にしようとした葉月だったが、破壊対象の数が多すぎるため、塵程の大きさまでは破壊できなかった。故に、壊れた兵器の破片や消しきれなかったは砲弾などは、自然と周囲にいる人間を巻き込む。ある者は腕が千切れ、またある者は爆発にその身を吹き飛ばされ、無残にも人から死体へと成り下がる。地獄絵図のようなその光景を、葉月は目を瞑ることなく見続けた。その瞳に狂気や歓喜などは微塵もなく、ただ死に逝く人々を見送るような、自身の罪を認めるような、そんな瞳だった。

「もう一度言う!争いをやめるんだ!!」

泣き叫ぶ者、怒り叫ぶ者、それら全ての人間を見回し、葉月はただ叫ぶ。一時の静寂、しかし、それを打ち破るように葉月の上空を幾数機もの戦闘機が空を飛び交う。そして、戦闘機からは数十ものの物体が落下してくる。言わずもがな、それは爆弾であり、爆撃だった。数十もの爆撃を、葉月は避けることもなく腕を掲げ防壁を張り巡らせ、防ぐ。数十もの爆撃は、爆音を放ちながら、葉月の周囲の人間を薙ぎ払う。そこには容赦も情けも、人としての感情も何もないように見えた。大量の煙で視界を覆われる中、今自分が身を置く場所がどのような場所なのか、はっきりと肌に感じた・・・それでも、その瞳は強く揺るがない。

「僕は・・・やめろと、やめろと言ってるんだ!」

煙が晴れる間もなく葉月は叫ぶ。しかし、返答は数百にものぼる砲弾だった。空からの援護に便乗し、周囲で呆然としていた両軍はとどめと言わんばかりに煙に覆われた葉月目がけて攻撃を開始したのだった。数分もの間、煙が晴れることはなく、永遠に続くかと想われた攻撃はピタリと停止した。そして、両軍は煙が晴れる様を固唾を呑んで見守る。・・・そこには、多少の傷がついたものの、致命傷となるものは一つとない葉月が立っていた。

「もう一度言う、やめなければ・・・手当たり次第消しつくす!」

その声は、人が発することが出来る声量をはるかに凌駕し、広範囲に渡って届いた。

「ば、化け物だぁーー!!!」

一人がそう叫び、葉月から逃げるように武器を放り出して逃げ始める。その後は簡単だった。なし崩し的に、我先にと、両軍は逃げ出していく。葉月はそれを追撃することをせず、すぐに次の戦場へと飛び立った。


「こんなもんで・・・いいか、な」

疲弊した声を上げた葉月は、倒れるようにしてその場に座り込んだ。合計、十数箇所で起きていた争いを、ほぼ最初のやり方と同様に葉月は止めていた。

「前線を混乱・・・させれば・・・後は・・・情報がいってる・・・司令部を叩いて、終わり・・・か」

我ながら、無茶なことしてるな・・・と葉月はぼやいた。十数箇所もの戦場を駆け巡った葉月の体は、ボロボロなどという表現が陳腐に思えるほど凄惨だった。白く細いきれいな髪には血や鉄の粒などが混じり、赤く煤けてぐしゃぐしゃになっている。端整な顔は、血と泥に塗れ見る影も無い。そして何より酷いのは、その体だった。右腕は既になく、残った左腕は今にも千切れかかっている。腹部の四分の一程が抉り取られていて、こびりついてドス黒くなった血液を上書きするかのように、いまだ流れ続けている。足は無事なほうではあったが、それでも膝や太もも、脛といった箇所は無数の切り傷や火傷を負っている。目を閉じて倒れていれば、それは誰の目から見ても単なる死体に過ぎないほど、葉月は深く傷を負っていた。

「ははは・・・天使っていっても・・・こんなもん、か」

確かに天使の力は無限に等しい、しかし、それは有限の体・・・人間の体を持っている限りは、完全な無限とは言えない。矛盾を無純に昇華してしまった完全なる無、はもはや別物だが、葉月はそのレベルまでは行ってはいない。今の葉月の怪我では、再生と回復には時間がかかるが、それをしている余裕は無かった。

「さて・・・いきますか・・・・・・・・・はは・・・嘘・・・だよね?」

立ち上がり、不意に上を見上げた葉月はそう呟いていた。空を埋め尽くすほど・・・には程遠い数の戦闘機が、上空を飛んでいた。数は百にも満たない、しかしその数は、今の葉月には手に余りすぎる数だった。

「はははは・・・」

力なく、葉月は笑う。しかし、その瞳に諦めの色はない。無数にいるように思える戦闘機は、葉月に対し爆撃を行った。着弾、爆発、着弾、爆発・・・数十機から撃ち落される爆弾は、まるで雨のようだった。そう・・・止まない雨のようだった。

「血の雨・・・砲弾の雨・・・いつになったら・・・人間は、それを・・・・・・止めようと・・・思う・・・・・・のかな」

爆発の衝撃から辛うじて身を護りながら、煙によって見えなくなった空を仰ぐ・・・もはや自身を護りながら動くことすら叶わない葉月は、ただ煙と衝撃の中、空を仰ぎ続けた。


日本の司令部は、突然の化け物の乱入により騒然となっていた。

「ええい!何を慌てているんだ馬鹿者どもが!?相手が化け物であるのなら、迂回し、混乱している敵軍を叩けばいいだけだろうが!!」

司令官・・・白髪の青年は、机を叩きながら周りにいる人間を叱咤した。突然の報告を受けた青年は、自室からすぐさま総司令部である基地に移動していたのだった。

「し、しかし・・・兵器の大半は損傷、兵の被害も少なくありません、何よりも、兵の士気が・・・」

「黙れ黙れ黙れ!さては貴様、非国民だな!?」

焦ってどうにか弁解しようとする将校を青年は怒鳴り散らした。

「な・・・あなたは何を・・・がぁっ!」

反論を許さずに、青年は腰に下げていた銃を将校にぶっ放していた。胸・・・心臓の部分から大量の血を噴き出しながら倒れた将校を、他の将校は身震いしながら見ていた。

「どいつもこいつも・・・使えない使えない使えない!!!!こいつのようになりたくなければ、早く行け!敵軍を殲滅、今の貴様らに、それ以外の用途はないんだ!!!」

狂ったように叫ぶ青年、それは誰が見ても、発狂しているようにしか見えなかった。他の将校は一瞬戸惑ったが、それが上官からの命令であるのならば従わなければならない。それが、軍人というものだった。

「どうした!?早く行けといっている!」

追い立てられるように部屋から出ようとした将校達、しかし、それを許さないかのように、天井を突き破って降って来た者がいた。将校達は驚きで、その場に踏みとどまった。青年はそれを見た瞬間、鳥肌が立ち、かつて自分を殺す寸前までいった少年のことを思い出した。

「き、貴様は・・・インフィニティ!貴様・・・貴様貴様貴様!貴様だったのか!!!」

青年が葉月をインフィニティと間違えたのは仕方のないことかもしれない。なぜなら彼は今、もはやぎりぎり人としての形を保っているだけなのだから。両の翼は、醜く折れ歪み、赤に染め上げられているのだから・・・。

「何度も何度も私の邪魔ばかり、邪魔ばかりしおってぇ!!」

青年は憎悪を込めた瞳で睨み、銃を突きつけ連発した。弾がなくなり、カチカチ、と撃鉄を叩く音だけが聞こえても、青年は指を決して止めない。青年が撃ち出した弾は、葉月に命中した。しかし、元がグシャグシャになっている葉月は、それが当たってもさほど変わってはいないように見えた。

「軍を・・・・・・退け・・・・・・」

蚊が鳴くような声で、葉月は呟く。それでも、部屋に響くような音を発していた。

「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!」

青年は銃の指を動かしながら、ボロ雑巾のような葉月を蹴り飛ばす。青年が思ったよりも葉月は軽く、数メートル離れた壁にたたきつけられ、ビチャ、と水のつまったビニールのような音をたてた。

「はははははは!!なんだその、無様で惨めな姿は・・・そうか!わざわざ私に殺されに来たのだな、そうだな!?そうに違いない!」

青年は思考があまりにもねじれた解釈をし、葉月に近づき何度も何度も蹴りを放った。蹴るたびに、血が飛び、肉が飛び、青年の顔や服を汚していく。しかし、それすらも快感のように、青年は蹴り続けた。

「・・・・・・僕・・・・・・・・・・・・は・・・・・・」

葉月はもう既に声すら出なくなっていた。アメリカの司令部は、既に潰してきてある。要するに、ここが最後だった。だからこそ、葉月は安心感からか、既に体中の力が抜け始めて来ていた。

「はははは!さしずめ水のサンドバックと行ったところか!!いや、水であるのならば、ウォーターバッグか!」

楽しそうに蹴り続ける青年を、将校は止めることも、この場を立ち去ることも出来ずに、目の前の異常な光景から目を逸らしていた。

(ここを潰さないと・・・もう、手加減は、でき、ない)

瞬間、部屋全体を異様な冷気が包んだ。いや、それは冷気などという生易しいものではない。全身にナイフの冷たい切っ先を当てられたような、そんな感覚が部屋全体満ちる。

「な・・・な・・・!?」

あまりの恐怖に、震え、青年は腰を抜かし倒れそうになったが、その体が地面に着く前に全てが終わっていた。音も無く、色も無く、部屋にいた全ての者の致命傷となる箇所が、貫かれていた。止まったかに感じられた時間は、呆気なく終わり、部屋中を赤いスプリンクラーで真っ赤に染め上げた。葉月に血が降りかかるが、もはやその感覚すらない。しかし、なぜか思考だけは研ぎ澄まされていた。


どうして僕は、こんな力を有して、そしてこんな境遇に生まれてしまったのだろう?道化を演じて、微笑みの仮面を被って・・・己を殺し、自らを殺し・・・あの男の手足となり、あいつの手足となり・・・僕は、本当に僕、だったのかな?

そんな葉月の脳裏に、短いながらも一緒に過ごした仲間たちの顔を思い出した。月夜、楓、利樹、紫・・・その他、クラスメイトのみんな。あの場所では、誰も葉月を道具などとは思わなかった。誰もが、普通に接してくれた・・・。既に感覚のない顔が、笑ったように、葉月は感じ、多少の驚きを持った。

仕方ない・・・か、仕事だったし・・・いや、あいつの手の平で転がってただけなんて・・・僕は、思いたくない。だって僕は・・・護りたい人たちのために、戦ったん、だから。彼じゃ・・・僕みたいなやり方・・・死んでもやらないだろうし、ね。

月夜では葉月のように、多少の犠牲を認めてでも止める、それが出来ないと分かっていた。だからこそ、葉月は今、この場所にいる。既に体は回復も再生もしないほど、傷つき消耗していた。待っているのは、死のみ、怖かったが、なぜかそれはとても意義があるもののように思えて、葉月は自分なりに満足した。

僕が・・・普通に・・・生まれていれば、今も、彼らの隣にいれただろうか?つまらないことで笑い、泣いて、怒って・・・本当の自分をさらけ出し、生きていけたのだろうか?

最後の最後、葉月は、自身の想いを、疑問を、存在しない何かに問い続けた。

日常・・・つまらなくも、、当たり前の日常・・・僕も、欲しかった・・・本当の僕の気持ちで、月夜・・・僕は、君と、勝負がしたかったよ・・・。

感覚はない。しかし、幾粒の涙が零れ落ちるのを、葉月は感じた。実際、それはただ葉月の頬を伝う、血の雨だった。

そっか・・・僕・・・死ぬ・・・のか・・・。

研ぎ澄まされていた思考すら、もはや徐々に失われつつあることに、葉月は恐怖を覚えた。最後に・・・最後に・・・。葉月はそう思いながら、自分自身が本気で好きになった相手・・・与えられた役割も何もかも捨て去って、一緒にいたいと思った相手・・・そんな、もう会うことすら出来ない相手の顔を思い浮かべた。

楓・・・楓・・・僕は・・・君の・・・ことが・・・。

そこで、葉月の意識は途切れた。否、もう何も言うこともすることも考えることも出来ない・・・死体と、化した。



ビクッ、と楓は体を震わせた。誰かに呼ばれたような、そんな気がしたのだった。

「どうしたの?お姉ちゃん」

「具合・・・悪いのかい?」

「大丈夫?楓も、少し休んだら?」

リミーナ、ランス、茜に心配され、楓は首を振った。

「ううん、なんでもないよ!ただ・・・誰かに呼ばれたような気が、しただけ、だから・・・」

月夜と楓とリミーナの三人は、葉月に手をかざされた後、気がついたら自宅の前にいたのだった。そして今、月夜の部屋に月夜を運び込み寝かせ、みんなで心配そうに周りを取り囲んでいるのだった。

「本当に大丈夫?お姉ちゃんまで倒れたら・・・」

「大丈夫だよ!私は全然平気だから、ね?」

口ではそう言った楓だったが、実際は色々なことが起き、心身共に疲れていた。それでも、何よりも月夜が心配なこの少女は、そのそばに居続けた。

(葉月君・・・大丈夫、かな?)

唐突に割って入ったように生まれたその思考に、楓は少しだけ首を振ってそれを飛ばし、今は目の前に眠る月夜のことだけを考え続けた。

タイトルとサブタイトルが一緒じゃん!とかつっこまれるとへこみます。

無駄に長かった物語もここらでようやく一区切り、後少しだけ、お付き合い願いますよう

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