閑話:運命の出会い
すみません。サンタ業が忙しくてギリギリになりました。
突発お仕事と言うサンタ業がね・・・
すみません。投稿が失敗しています。原稿もデリートしちゃったのですぐに書き直します。こんなプレゼントはいらないよ。サンタさん。
12/25 修正完了しました。たいへんお待たせして申し訳ありません。
私が周囲を取り巻く状況がおかしいことを理解した3歳ぐらいの事だ。割と早いんじゃないかと思うんだけどよくわからない。
私はバルダックの貴族であるリュラー家の三女として育った。兄が2人、姉が2人いるはずだったが、ほぼ会ったことは無かった。私が会うことが出来ていたのはお付きのメイドであるステラと月に数回会いに来る両親だけだった。まあ今にして思えば、会うと言っても両親は義務的に会っていると言う感じだったが。
私は二階の一室で3歳までのほとんどの時間を過ごしていた。ステラに本を読んでもらったりしながら過ごし、なぜこの部屋から出ては駄目なのかなんて考えもしなかった。窓の外からは兄弟が遊ぶ声が聞こえたりしていたが、その中に私が混ざると言う発想さえ無かったのだ。
おかしいと気づいたのはステラのおかげだ。
ある日、好奇心から私は部屋を出た。もちろんステラがいない隙を狙ってだ。しばらく見たことのない屋敷の廊下を楽しく歩いていた私だったが運が悪いことに父親にその姿を見つかった。部屋に連れ戻され、叩かれこそしなかったが厳しく叱られている私をステラが擁護したのだ。「私が目を離したせいだ」と。それどころかステラは今の私に対する扱いについて抗議をし始めた。
最初は驚いたままその抗議を聞いていた父親だったが、しばらくすると顔を赤くしステラを殴り飛ばしそして部屋から出て行った。頬を押さえながら床にうずくまるステラに抱き着いて私はしばらくの間泣いていた。私にとっては父親よりもステラの方が大事だった。そんな私をステラはぎゅっと抱きしめてくれた。
「ミーゼ様、あなたはこの家の子ではありません。」
泣き止んだ私にステラが告げたのはそんな言葉だった。ショックは受けなかったと思う。実際このリュラー家の人々とはほぼ面識が無かったし、家族と言うならステラだけがそうだったからだ。
私が現バルダック領主の息子、ハロルドの娘であること。とある事情によりリュラー家に養子として出されたこと。そしてそのとある事情と言うのは私が忌み子だと言うことを聞かされた。
その時の私は忌み子と言う言葉を知らなかった。不思議そうに聞く私にステラは申し訳なさそうな顔をしながらその意味を教えてくれた。その言葉の意味を理解しさすがにショックを受けたが、ステラが抱きしめてくれて「私はミーゼ様が忌み子だとしても大好きですよ。」と言ってくれたので大丈夫だった。
実際私の外見はほとんど人と変わらなかった。変わっているとすれば人より少し長い耳だけだ。この人より長く、エルフよりも短いこの耳が忌み子の証なのだと言う。当時の私には良く理解できなかったが、髪を切らないようにと言われていたのは耳を隠すためだったんだと今ではわかる。
ショックから立ち直った私は自分の本当の両親について聞いてみた。ステラは少し寂しそうな目をしながら私に話してくれた。ステラは私の母親、チルノーゼお付きのメイドだったそうだ。私がリュラー家に養子に出されることになった時に志願して世話係としてついてきてくれたらしい。
「チルノーゼ様は本当にお美しい方でした。エルフと言う種族は総じて美形ではあるのですが、チルノーゼ様は姿だけでなく心まで美しい方でした。ハロルド様は立派な方なのですが、何と言うか誤解されやすい方でしてエルフとの交渉に特使として向かわれた時にやはり問題が起きたのですが、対立した両者の間を取り持ったのがチルノーゼ様だったのです。」
ステラが懐かしそうな顔をしながら話してくれた。ステラもその時に父親、ハロルド様の世話係として随行し、母親と出会ったらしい。その縁もありステラが母親のお付きのメイドになったようだ。
ステラは本当に私の母親が好きだったようで、様々なエピソードを語ってくれた。そこからわかったのは、美人で優しく、そしてちょっとおちゃめな所のある人だったようだ。仕事に熱中して体を壊したりしていた父親を休ませるために、眠り薬付きの食事を用意させたり、父親を驚かそうと隠し部屋に隠れたまま眠ってしまって大捜索部隊が編成されたこともあったらしい。それでも母親は皆に愛されていたとステラは嬉しそうに言っていた。
父親についても聞いてみたのだが・・・
「うーん、悪い人ではないです。私も良くして頂きましたし領主としては尊敬すべき人です。しかし率直に言ってしまえば・・・ミーゼ様がチルノーゼ様似で良かったと言う感想しか・・・。あぁ、そろそろお休みの時間ですよ。」
仕事一筋である父親とはあまりステラは関わりが無かったらしい。ごまかすように布団に案内され私はそのまま眠りについた。その時はまた明日聞けばいいやと考えていたと思う。私の頭の中は本当の父親と母親がどんな姿をしているのか想像することでいっぱいだったし。
そして翌日、目を覚ました私を待っていたのは見たことのないメイドだった。「ステラは?」と聞くと「昨日付けで解雇されました。」と冷たく言われた。私は即座に飛び起き、メイドに詰め寄ったがメイドの答えは変わらなかった。そしてその言葉の通り、リュラー家においてステラと会うことは二度となかった。別れの挨拶すらできず私は一人ぼっちになった。
私はリュラー家の人々とはほぼ関わりを持たないまま生活した。衣食住は用意されており、そして親衛隊を排出する家らしく礼儀作法や剣術、魔法と言った勉強は一通り習わされたがそれも教師が教えに来るだけだった。
剣術の才能は全くと言っていい程無く、なんとか人並みかそれ以下と言った所で成長が止まり教師も早々に私を見限った。しかし魔法についてはエルフの母親の血のおかげか風魔法と水魔法の2種類の才能があった。メインで使えるほどの魔法は通常1種類であり、私のように複数の魔法を使えると言うことは珍しいらしい。教師は喜び、私も自分の目標のため精一杯努力をした。
ステラが居なくなってしまった私はしばらく泣く日々を過ごしていた。そんな日々を過ごす中決意した。この家から出ようと。そして一目でいいから本当の父親に会ってみたいと。
しかし子供である私にはどうしたらよいかわからなかったし、この世の中にどんな職があるのかさえ知らなかった。唯一知っていたのはたまに会いに来る父親が話す仕事、つまり親衛隊の仕事だけだった。その話の中ではたびたび領主様と言う言葉が出て来ていた。だから私は兵士に、そしていつかは親衛隊になることに決めたのだった。
13歳になり私は兵士となる試験を受けることにした。剣術の試験ではぼこぼこにされたが、なんとか魔法のお陰で試験には合格し私は無事に兵士見習いになった。父親と初めて会ったのはその入隊式のことだ。
見た感想は実感がわかないな、というものだった。新入隊員たちの前に立ち話すその痩身の男性との共通点が見つけられなかった。小さい頃から想像していた姿とのギャップにショックを受けていたというのもある。でもステラが嘘をついたとは思えないのでそうなんだろうとなんとか自分を納得させた。
兵士生活はなかなか楽しかった。今までほぼリュラー家以外に出たことがなく、人と交流したこともなかった私にとっては新鮮な体験ばかりだった。まあ、貴族ということと私自身が忌み子であることを隠すために友達なんかは出来なかったけれど。
魔法を二種類使いこなせる私は便利屋の如く色々な部署に回され、最終的に落ち着いたのが諜報部だった。とは言えあくまでサポート要因で自分が主となる仕事はしていなかったけど。
諜報部は文字通り色々な情報が集まる部署で、どこそこで店が開店したという小さな物から、反逆の恐れありといった重大なもなのまで雑多な情報に溢れていた。そしてその中には父親が死体を集めて妻としているという信じがたい情報もあった。信じたくは無かったがそれは真実だと裏付けの取れた事実だった。
ここで働くうちに報告などで父親と会う機会も増えたのだが、いつも仕事に追われ難しい顔をしていた。そして、私に気づいている様子はなかった。最初は何が正しいのかどんな人なのかよくわからず怖かった。もしかしたら幼い頃からの理想の父親像が壊れてしまうのが怖かったのかもしれない。
しかし何度も会っていくうちに段々とわかってきた。父親は私の理想とは違うが、立派な人物だということが。外見やその言葉足らずの言動、几帳面な性格などから誤解されがちだが父親はしっかりと一人一人に目を向けることの出来る優れた領主だった。
いつしか私は父親に惹き付けられ、そして役に立ちたいと思うようになっていた。もちろん、愛情という意味ではないが。優秀なのにどこか危なっかしいそんなところに母親も惚れたのかな、とそんな想像をした。
そんなある日、私は執務室に呼ばれ、ある人物の調査を直々に仰せつかった。その人物のと出会いが私の運命を大きくかえることになるのだか、またそれは別のお話。
その男はどんな牢でも、どんなに強い護衛を置いたとしても関係なく現れそして物を置いていく。それは誰もが知っている謎の人物。その正体とは?
次回:サンタクロース
お楽しみに。
あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。




