19 結果
「お疲れ様でした!」
全八試合が終わった後もまたメンバー全員で集まっていた。平日の試合は隔日で行われていたが毎試合出ていたため、かなり疲れてしまった。楽しかったけれど、このイベントは数ヶ月に一度くらいがちょうどいい。
「夜霧、結果は?」
このイベントでは、八試合で獲得した勝利点をベースに、様々な要素をかけ合わせてランキングを出すらしい。集計は終わっていたようで、もう見ることができた。点数は公表されておらず、順位と軍の名前だけが載っていた。
「この、枠が黄色くなっている人たちは?」
「決勝進出者だな」
決勝進出者は上から八チームらしい。決勝では勝ち上がりのトーナメントで優勝を決めると教えてくれた。
私たちの銀夜隊は上から三分の一程度の場所にいた。五勝三敗だからそんなものだろう。
「初参加にしては良いですね」
順位を聞いた和歌子が呟いた。彼は扇を閉じ、次回への意気込みを語る。
「次はもっと皆さんを使いこなします」
「使いこなすってなんだよ。俺たちは道具か?」
「なんとかと鋏は使いようと言いますから」
「馬鹿扱いは酷いなあ。泣くぞ?」
Yuraと和歌子の軽口の叩き合いは今まで通りだ。今日で解散するとは思えないくらいにいつも通りだ。
「Yura。終わったらどうすればいいの? 解散とか……」
「あー。俺ら、何かしちゃった?」
「……おね、夜霧さん。私たちを見捨てるんですか……?」
「な、なんでそんな話に!?」
どうやら、軍はこのイベント以外でもできる要素らしい。今は持っていないけれどメンバー共通の施設を作ることもできて、やり込み要素になっているのだとか。実は元寇の時の報酬にもその施設の家具があったらしい。
「いやあ、ビビったぜ。てっきり嫌われたかと」
「私はこのゲームを引退するのではないかと思って不安になりました……」
「二人ともごめん……。教えてくれてありがとう」
せっかく一緒に遊べたのに、それっきりなんて少し悲しいから良かった。そうだ、一応みんなともフレンドになっておこう。
「お、お姉様が……フレンドに……!」
巴は大げさに喜んでくれ、他は事務的なフレンド登録だったが嫌がられていないようで安心した。
破裂音がした。見上げてみると、夜空に花が咲いていた。
「綺麗……」
どこかでプレイヤーが打ち上げているのだろう。眺めていると、すぐ隣で破裂音がなった。
「見て、ヨル! 手持ち花火!」
「そんなのもあるんだ! って、HPが減っているんだけど……」
「……逃げろー!」
逃げたシュウを追いかける。彼との鬼ごっこに周りも巻き込み、いつの間にかいつも通りの鎌倉になっていた。




