13 白葉隊④
モブ男に殺されたあと、私は先ほどまで居た拠点に戻ってきていた。最後に立ち寄った拠点で復活ができるようだ。
「実質、相討ちみたいなものだから……」
誰もいない拠点で言い訳を溢す。普段ならあの程度で死ぬことはないから、狙われ続けて疲弊してしまったのだろう。
戦場はかなり劣勢に見える。……疲れているとか言ってられないな。
とはいっても、私一人が加わったところで状況は変わらない。私たちは拠点まで攻め込まれ、数の差で負けて拠点を落とされてしまった。だが、良いところがなかった私たちの代わりに、もう片側を攻めていた三人がほぼ無傷のNPCたちと拠点を包囲して奪還してくれた。
その後はほぼプレイヤーしかいなかったため、小競り合いをしつつ、時間切れとなった。
「時間切れとなりました。五千対六千八百で、銀夜隊の勝利です」
スマートにとは言えないが、私たちは無事勝利することができた。
「お疲れ様でした。では簡単に反省会をしましょうか」
「次は二十分後だから手短にな」
和歌子とYuraが仕切って、反省会が始まった。彼らが一人一人に良かった所と反省点を伝えている。私の番は最後っぽい。
「最後は夜霧だな」
「一人で突っ込みすぎです」
「意外と脳筋だよな……クールキャラっぽいのに」
他の人たちはまず褒められているのに、初っ端から駄目出しだ。もちろん、突出したのが良くないと自覚はしているけど……。
「考えるのは苦手で」
「オフライン版でも合戦とかあっただろ? その時はどうしてたんだ?」
「あれはプレイヤーが活躍すれば勝てるくらいの難易度になっているから」
「マジか……」
なぜかケインに引かれてしまった。幕府側は何もしなくても勝てるときがあるし、平家側でも幕府側の重要人物を抑えていれば勝てるから難しいことはないのに。
「それと、どうして一騎討ちを使わなかったんですか?」
「あっ」
「忘れてましたね?」
そうか、スキルを使えばあんなに無理をする必要はなかったんだ。前に進まなくてもその辺のNPCと一騎討ちしつつ合流を待ったり、白葉隊のプレイヤーの誰かと一騎討ちして道連れを狙ったりできたのに。
「気をつけます……」
「頑張ってくださいね。では、次の試合まで休憩です」
身体が疲れることはないし、外に出て素振りでもしてこようかな。




