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かまくらいふ!  作者: 岩越透香
夜霧と愉快な仲間たち

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5 ダンジョン②

 階段を数段下ると一階層の光が届かなくなったのか暗くなった。足元に気をつけつつ、急な敵襲に対応できるようにゆっくり階段を下る。下っていると光が差し込んできた。もうすぐ二階層に着くらしい。


 二階層も似たような景色が続いていたが、心なしか空気が澄んでいるように感じた。足元は濡れていて雨上がりのように見える。


 不意に視界が暗くなる。嫌な予感はするものの、顔を上げてみる。そこには――。


「いやあああ!!!?」

巨大な蛙。二足歩行の蛙。私を見下ろす蛙。蛇は普通の大きさだったのに……! 蜘蛛はかなり大きかったけど!


「来ないで!」

悲鳴のような声を上げながら薙刀を振り回す。形なんてあったものではない乱暴な振り回し方だ。とにかく、私は混乱していて周りなんて二の次だった。



 私を冷静にしてくれたのはシステムメッセージだった。それによると、私はYuraを殺したらしい。少し考えて、半狂乱になっている時に巻き込んでしまったと気がつく。


 落ち着きを取り戻した私は、一度巨大蛙に向き合うことにした。それは見れば見るほど化け物としか形容できないものだ。ぬめりとした緑がかった肌、水かきが付いた手足、裂けるように大きく開いている口。人と同じように二足で歩いているのに、何もかもが違う相容れない存在。なのに、その目からは感情を読み取ろうとしてしまう。一言で言うならば気持ちが悪かった。大きくなって細部が分かってしまうから余計に。


 しかし、巨大化と二足歩行化のおかげで一撃で仕留めることができた。二足歩行をするのであれば、弱点は人と似ていると気がついたからだ。


「ええっと……。すみません、いきなり取り乱してしまって。急に敵が現れたので……」

「蛙は苦手?」

「苦手じゃない。ただ、大きさに驚いて過剰なリアクションをしてしまっただけ」

「ふーん?」

たいさの質問に少し食い気味に反応してしまったせいで図星だと思われたらしい。シュウがにやにやとこちらを見てくる。図星なのは確かだけど癪だ。


 私はYuraの死亡を言い訳代わりにダンジョン探索の終了を提案した。みんなは物足りなさそうにしていたものの、頷いてくれた。もしかしたら、私が苦手なのに気がついてくれたのかもしれない。Yuraが私に先頭を歩かせたのは許せないけど、帰る理由を作ってくれたのはありがたかった。

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