4 ダンジョン①
経験者たちがダンジョン行きを嫌がったため五人で向かう。メンバーは行ったことがない私とケインとシュウ、地図を持っているたいさ、巻き込んだ責任のあるYuraだ。
山を超え、さらに山を半分ほど登るとたいさは立ち止まる。少し広いだけで何もない場所だ。不思議に思っていると、彼は私に地図を手渡す。
「……? ありがとう……」
地図を受け取った瞬間、見ていた景色がパッと変わった。辺りは薄暗くなり、木々は不気味に揺れている。そして、一番大きな変化は目の前にあった。山の斜面だと思っていたものに裂け目が現れていたのだ。その裂け目は、私たちを丸呑みにするために大きく口を開いているようにも見えた。
「この、急なホラーっぽい要素も不評だったんだ」
Yuraは地図を取り上げる。一度見ると以降は地図がなくても見え続けるらしい。全員に地図を回して見えるようにすると、たいさが裂け目の中に入っていき、こちらに向かって手招きした。
裂け目の中にも森が続いている。外と違うのはその時間帯だ。ダンジョンは夜の薄暗い森になっていて、肌寒く感じる。
かさりと音がしたような気がして振り向くと、蛇と目が合った。それも私を認識したのか飛び上がって襲いかかってくる。私は蛇に薙刀の柄を噛ませて噛みつきを防ぐ。
「だ、誰か!」
「任せろ」
Yuraは蛇を真っ二つにしてくれた。蛇は絶命するとさらさらと崩れていくように消えてしまった。
「敵は対して強くない。だが急に出てくる」
たいさの言葉を裏付けるかのように蜘蛛が上から糸を伝って落ちてくる。彼は一撃で倒し前に進む。
「第一階層は蛇と蜘蛛ぐらいだけど、第二階層から蛙とか蜥蜴とかが出てくるよ。コイツらはそこそこ強いから気をつけてね」
……第二階層には行きたくない。けれど、第一階層は物足りなさすぎて第二階層に行くことになってしまう。違うことが少し気味が悪くて苦手なんだよなあ、両生類も爬虫類も。魚類ぐらいかけ離れていれば別なんだけど。
「じゃ、第二階層に行くときはリーダーが前で」
第二階層に続いているという、周囲から浮きに浮きまくっている下り階段の前でYuraが無慈悲にも言った。
「えっ? いや、行ったことがある人の方が……」
「こうした方が面白いから、な?」
弱い所を見せたくなくて黙っていたのが仇になってしまった。ゲームだから本物とは違うと自分に言い聞かせて、階段をゆっくり下った。




