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かまくらいふ!  作者: 岩越透香
夜霧と愉快な仲間たち

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2 一番槍

 立候補者はケイン、シュウ、たいさ、巴、(フラン)の五人だ。


 武器はケインとたいさが刀で、シュウが徒手空拳、巴が薙刀、₣が槍だ。刀以外がここまで揃うのは珍しい気がする。


 フレンドでない三人の実力は分からないが、リーチの長い薙刀と槍が有利だろう。反対に、リーチの短いシュウは苦戦しそうだ。……そう思ったが、勝利したのはシュウだった。


 徒手空拳の使い手はこのゲームにほとんどいないため相手が慣れていないことと、武器を持たない故の身軽さによって彼に軍配が上がった。


 二位以下の順位をつけるとしたら、たいさ、₣、ケイン、巴になると思う。巴に関しては同じ武器を使うからより厳しめに見てしまっている気がするけど、勝ち数通りに見える。


 膝をついて「槍なのに」と嘆く₣の姿が印象に残っていた。



「役職の次は何を決めればいい?」

「あとは結成すればOKだ」

「そうなんだ。……結成資金、割り勘で良いかな?」

恐る恐る聞くと、メンバーは全員OKしてくれた。良かった……。


「んー、後は……初心者が多そうだからルールの確認でもしとくか?」

「良いの? 説明を読んだだけだと不安だったんだ。助かる」

「まず、演習開始一週間前からスコア稼ぎが始まる」

「「……今日から!?」」

ケインと私の声が重なる。Yuraは「何を驚いているんだ」という顔で私たちを見る。


「最悪、スコアを全く稼げなくても演習イベントはできるから気にするな。勝てなくなるけど」

「せんせー。スコアを稼ぐとどう有利になるんですかー?」

「有利な配置になったり、演習スキルっていうのが使えるようになる。演習スキルで一番厄介なのは部隊察知だろうな」

部隊察知というのは、相手の軍がいる場所が分かるスキルらしい。不意をつけなくなるのは痛いなと思ったが、それだけではないらしい。


「このイベント、実は単純なPVPって訳じゃないんだ」

「NPCがいるんだっけ?」

「ああ。五千人のな。それを率いて戦うんだ」

「ひ、率いる……」

NPCがいるとも、私が一番苦戦した戦争システムのオンライン版だとも聞いていない。不安がっているのを察したのかYuraがフォローしてくれた。


「総指揮は和歌子がやってくれる、だよな?」

「お任せください」

パッと扇を開きながら、和歌子は少し低い落ち着いた声で答える。向こうも嫌がってなさそうで、私は胸を撫で下ろした。

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