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かまくらいふ!  作者: 岩越透香
そうだ、京都へ行こう

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19 スキル

 シュウに鎌倉を案内して回った次の日。私は京都に戻ってきていた。もちろん、スキルを得るためだ。


 まずは入手方法が分かっている「清水の舞台から飛び降りる」を得るために清水寺へ向かう。


 飛び込み場所に来てみたが、かなり高い位置にある。下は森になっているが、先が尖っているためクッションになるどころか、串刺しにされてしまいそうだ。


「覗き込んだらあかんよ。それとも……飛び降りたいけったいなプレイヤーさん?」

飛び降りるのを躊躇していると着物を着こなした京都弁の女性に話しかけられた。


「そういうあなたも、けったいなプレイヤーなのでは?」

「そうかもしれへんなあ」

彼女は口元を隠しながら笑う。そして目を細めて「死んだらあかんよ」と言って去っていった。忠告として受け取っておこう。そうなると……清水寺から飛び降りて生還することで得られるスキルなのだろうか。ということは、ここから落ちても死なない方法があるということだ。


 覚悟を決めて背中側から飛び降りる。


「伸びろ!」

清水の舞台の下、崖になっている部分めがけて薙刀を伸ばす。力を込めて崖を削りながら速度を何とか落としていく。速度を落とせたとはいえこのままでは死んでしまう。思っていたより速度を落とせなかったけれどやるしかない。


「縮め!」

縮めた勢いで後方に回転。武器をしまい、さらに半回転した上で体を捻り、手から着きながら回復薬を使用。そして後ろに一回転する。


「い、生きてる!」

体力がほんの少ししか残っていないためすぐに回復薬を使う。


 飲んだ後も体力の急激な減少によるふらふらは治っておらず、後ろにあった木にぶつかりダメージを受ける。


 立っていると危ないと分かったため座って回復薬を使う。先ほど、クイック・インベントリの回復薬を使い切ってしまったためメニューを開くと、新たにスキルという文字が現れていた。触ってみると「清水の舞台から飛び降りる」と「着地術」というスキルがあった。着地術は落下死する最低高さが高くなり、落下ダメージも減るらしい。「清水の舞台から飛び降りる」は使いたくなければ使わなければ良いだけだし、両方ともセットしておこう。


 そういえば、彼女の頭にはプレイヤーならあるはずの名前がなかった。「プレイヤー」と言っていたからNPCではないはずなのに……。

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