16 再開
ベストオブヨシツネから二週間ほど経ったある日、唐突にかまくらいふのことを思い出した。
「最近、なんとなくやってなかったけど……。イベントの結果も確認したいし」
理由を付けつつVRマシンを起動し、かまくらいふにログインする。
投票順位 20位(プレイヤー限定) 42位(プレイヤー以外)
誰かが私に入れてくれているようで、嬉しくなる。この画面では優勝者やそれぞれの部門での投票順位トップスリーの名前と戦いが見れるらしい。ランクインしていた人たちは初日に見た人だったから改めて見る必要はないか。
今日は六波羅探題を辞めて……その後は何をしようかな。鎌倉に戻ってみても良いけれど、京都方面の観光でも良い。
「ヨル?」
振り返るとプレイヤー限定投票一位のシュウがいた。私をヨルと呼ぶということは、やはりシュウは知り合いだったか。
「ここでは夜霧だよ。ユウくん」
「ヨルは夜霧のニックネームだから良いんだよ」
彼はニコニコと笑って言った。
「良かった〜! 人違いだったらどうしようかと。忘れないうちにフレンドになろう!」
彼は大げさにほっとしたような動作をするとすぐに私の手を握った。彼は以前から人との距離が近い。
「でも意外だなあ、ヨルがゲームするなんて。しないタイプだと思っていたよ」
「道場通でVRを体験してみて、仮想現実も悪くないと思ったから」
「うんうん。いっぱい戦えるからね!」
「私はそんなに戦闘狂に見える?」
「俺とおんなじくらいには楽しそうだったよ?」
「……そうか」
その後は軽く情報交換をした。どうやらシュウは最近始めたようで、イベントが開催されることもあり京都をスタート地点にしていたらしい。京都はサービス開始時からある町ということもあり、初心者に比較的優しいが、彼のように戦いを求める人にとっては少し退屈なんだとか。歴史的建造物が当時の状態で再現されていて歴史好きは楽しいらしいが、彼は歴史好きでも何でもなかったようだ。
そんな彼に鎌倉の混沌とした状況を教えれば、当然「行きたい!」と言われる。
「暇だから一緒に鎌倉に行く?」
「行く! でも、京都観光してからで良いよ。ヨルはまだあんまり観光してないでしょ? そこそこ楽しいから、ざっくり案内してあげる」
私はシュウに手を引かれ、京都を観光することになった。
おまけ
第五回優勝者「むっつー」
タイム 0:09
ダメージ 152%
投票順位 1位(プレイヤー限定) 2位(プレイヤー以外)




