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かまくらいふ!  作者: 岩越透香
はじめまして、オンライン

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10/84

10 祭り……?

「モブ男さん、誰待ちですか?」

不意打ち闇討ちリスポーン狩りは日常だと学んだため、路地に身を隠しているプレイヤーがいても驚かなくなった。私はやらないが。


「うわああ!? よ、夜霧! 驚かせんなよ、ったく」

声をかけると彼は飛び上がって驚いた。ひとしきり驚いたあと、「これから祭りが始まるんだ、静かにしていてくれ」と言った。


「祭り? 何かのイベントですか?」

「んー。プレイヤー主催のイベント、みたいな?」

「聞いたことはないですね。いつからですか?」

「おそらく、今日か来週の六時……いや六時半からだろう」

イベントにしては時間が曖昧だなと思っていた時、目の前にプレイヤーが現れた。名前はケインさん。見たことも聞いたこともない。隙だらけの動きからして始めたてだろう。あれではこの世界を生きていけない。私もああやって見えていたから襲われたのだと考えていると、モブ男がどこかに行っていた。


「死ねい!」

「え? うわああああ!」

気がつくと彼は初心者を瞬殺して、すっきりした顔でこちらに戻ってきた。


「な?」

「な? じゃないですよ、何やっているんですか。私にもして……まさかいつもやっているんですか?」

「俺は平等主義者なんだ」

「嫌な平等主義ですね……」

「普通だろ」

「ええ……。ん? 祭りって……?」

嫌な予感が当たってしまった。初心者狩りのことを彼らは「祭り」と表現していたのか……。


「いいや、ただの祭りじゃねえ。この前、Harutoっていうプロゲーマーがこのゲームを遊んでいたんだよ。そいつは家にあるゲームを紹介しているんだが、かなり人気だから騙された哀れな視聴者が来るはずだ。いつも金曜の六時に投稿しているからそろそろかと思ってな」

「酷い……」

「半年前もあったから今回も来るかは怪しいけどな」

その事件はHaruto事件としてかまくらいふのプレイヤーに語り継がれているらしい。Harutoさん、とばっちりを受けていてかわいそう。……と思ったが、持っているということは彼もこのゲームをやっている。完全なとばっちりという訳ではないかもしれない。


 結局、今日の動画はこのゲームじゃなかったようで哀れな初心者は増産されることはなかった。ちなみに、モブ男に狩られた彼は三日後にはこのゲームに馴染み、逆にモブ男を始めとした先輩プレイヤーを狩るまでに成長していた。恐るべし、順応力。

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