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彼は囚われた

 


 獣人の耳を完璧に隠すくらいシュバルツにとって、造作もないことだが、ここはひとつ。


「お耳触ってもいい?触らないとちゃんと隠せないんだ。」


 シュバルツは、自身の幼い見た目を利用しつつ、困ったように嘯いた。


 まあ、普通の魔術師はそうだからバレないだろう。

しかも、普通は一週間くらいしかもたないしな。


 シュバルツならば、触らずとも簡単に一生耳を隠してみせるが…。


「いいわ。貴方は番だから、特別に触らせてあげるわ。」


 これは、リピート確定のセリフだな。


この心の奥底から溢れ出てくる多幸感は何なんだ?



 この空間を全て記録している私、素晴らしいな。


魔力が多いことがこんなに有意義なものだったとは。


 ふふふ。


シュバルツは沸き上がる悦びを抑えきれなかった。



「触るよ。」

 

沸き上がる興奮を抑えて努めて冷静な声を出す。声が少し震えてしまったのは、これからする魔術に緊張してるとでも思ってくれているのかも知れない。


 ああ、拐ってまで手に入れたいと願う変態野郎の気持ちが初めてわかった。


 閉じ込めてずっと愛でたい。


 そーっと、もふもふのうさ耳に手を伸ばす。


 ふわふわとたまらなく柔らかな触り心地に心まで蕩けそうだ。



「うふふ。くすぐったいわ。」



 あどけないその声にはっと我に帰った。



 もふもふの極上うさ耳を自分以外の何人も見る事も触れる事も出来ないように完全に遮蔽した。



 これで、耳が見えるのは私だけだ。



 優越感が半端ない。


 待てよ。


 耳だけか?


しっぽもあるんじゃないか?下心を隠して続ける。



「しっぽは?」



 番が真っ赤になって下を向いた。



「しっぽは、大人になってからなのです。」



 衝撃的なセリフに、血が沸き立つ。


いかん、今、一気に成体になろうとしていた。


 成体になってこんないとけない番に私は何をしようと。


 危険だ。幼体生活300年の全ての理性を総動員させる。


 いかん、私は番と同じペースで大人になろう。


 さもないと、何をするかわからんぞ。


 ただ、親切ごかして続けた。

「しっぽも隠さないと大変だよ。」


 番は、見事にシュバルツの幼い見た目に騙されてくれた。


 中身はじじい、見た目は幼体のハイエルフ、良い仕事したな。


 シュバルツは遂にふこふこのしっぽも触らせて貰えたのだった。




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