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コロシタノダレ ~悪夢の学園と落とした記憶~  作者: まつだんご
―エピソードⅡ― 「監視者と道化仮面」
19/43

第十四話 『 二人の人質 』

 路瓶が脅されている!?


 場面は路瓶孫の監禁されている薄暗い空間より。路瓶が手足をロープで縛られたまま、不審者に蹴り飛ばされている!


「どういうつもりだこのうじ虫ッ!」


 何度も何度も何度も……蹴り飛ばされても抵抗出来ないでいた路瓶。どういう訳か命令に背いた路瓶に怒り爆発の不審者。


「貴様、なぜ言うことを聞かなかった?」


 ボロボロになったメモ用紙が床に落ちていた。


「言われた通りの質問をしろと命じたはずだ!――何故戦場むくろの自宅を待ち合わせ場所に選んだのだ。この紙に書いた命令は違うだろ!」


 ボロボロになったメモ用紙を拾って、それを広げた。


「命令では『神田病院の前』で待ち合わせの手筈だっただろう?」


 再び拳銃を構える不審者……


「OK分かった。命令に背いた罰として人質の命を一つ奪う」


 壁際には路瓶の他に2人の人質がいた。どちらも顔を黒いゴミ袋で覆われていて視界を奪われている。手足もロープで縛られ、一切の身動きがとれないでいた。その2人の悲痛な叫びは、粘着テープのような物で塞がれているかのように聞こえる。


 よく見ると、人質Bは希望ヶ丘学園の女子制服を着ている。不審者は顔を覆い隠された2人の人質の元へと近づいていく。不審者の右足に包帯が雑に巻かれていた。右足を引きずりながら静かに近づき、人質に拳銃を向ける。


「右で良い」


「までッまっでぐれ!――お、俺が悪がっだッ」


 路瓶の言葉に耳を貸さない不審者。何の躊躇も無く引き金を引いてしまう。――パアアアン!


 路瓶が叫ぶ。不審者は容赦なく一人の人質を銃殺してしまった。赤紫の色をしたその液体は、右側に居た人質の体から大量に流れ出ている。撃たれた方の人質の粘着テープ越しの悲痛な叫びが消えてゆく。


 上より少し時間をさかのぼる

――――――――――――――――――――――――――――――

 希望ヶ丘学園・校庭側校門前にて


 時間は午前8時45分。昨日の事件のこともあり、学園は1日緊急休校をとって今後の対策を練っていた。校門前には警察が何人も見張っているのだが、1人の学園生徒と警察達の間でなにやら揉めているようだ。


「何だべ、今日はがっこ祭でもあるんけ?」


 謎の女子生徒は学園内に入ろうとしているが、警察に止められていた。以下、謎の女子高生と警察の会話。


「なんだべさおめぇらは。パト男みてぇなかっこしてるでねぇか。パト女居ねぇべか?」


「こらこらこら!」


 なおも警察に止められている謎の女子生徒。


「なんにするんだべさ、なんや放さんかい!……ウチをだいほするんか?」


「何度も言わせないでくれよ。今日は学園は臨時休校だ」


「んなこたぁさっき聞いたべな!――それよか中入れてぇーな!」


「――何か用があるのか?」


「用?――何言っとんべ、ウチはここの生徒だ。ウチは此処でべんきょするんがお仕事だべさ!」


「そうでは無くて今から何か急用でもあるのかい?」


「おんめあんまふざけんでねぇべよ!――用もなんもウチはこれから授業受げねぇどいけねけろ!」


「だから今日はその授業が無いんだよ。お休みなの、分かるね?」


「だーかーらー何さ言ってんべか?――土曜は明日で今日は金曜なんだべ!」


「今日は臨時休校の中でも異例の休校で……」


「おんめさきから話聞いとったら次から次へとなんだべさ!?――なんや、ウチをだいほしたいんか?」


 そう言って女子生徒は無理矢理園内に入ろうと試みる!


「こらこらこらこら!」


 また追い出された。


「何だべ、ウチをハコに入れるんか、だいほか、なんの罪だべさ!」


「逮捕するだなんて誰も言っていないよ。今、学園内は不審者について色々な手がかりを見つけるために捜査してて……」


「よってたかってなんだべさ。それにその格好なんだべ!――パト男みでぇだべ!」


「パト男?」


「ウチは知っとるど!――それはあんろ〝コスプレ〟っちゅうやっちゃろ」


「もう良いから早くウチへ帰りなさい」


「お、なんだべ急に。それも知っとるべ。それはあんろ〝ツンデレ〟っちゅうやっちゃろ」


「…………」


「ウチを田舎もん扱いしとったらいげねぇべ!」


「もう良い……私らにかまわないでくれ」


「なっ、何だべ。話はもう終わりだべか?」


 またも学園内に突っ込んで行く女子生徒!


「だから!」


 警察達に押さえ込まれてなお追い出される。


「何だべさ、おめぇウチを触りたいんか、結局のところそういう事だべ?」


「…………」


「ほなウチ寄るべ」


「――は?」


「そんで格好してねぇでウチ寄っていっぺん話づけに腹割るべや!」


「…………」


「――怒ってるべか?」


「もう良いから!」


「おんめ結構〝イケメン〟だべさ。ウチの事どう思っとるべ?」


「――君は何なんだ」


「ウチもおんめ触りとうなったべさ」


「…………」


 まるで噛み合っていない警察と女子生徒の話に割って入る女の声。遠くからある人物を呼ぶ。


「おいこら【だべ子】!」


「だべ?」


 女の声が少し先から響き渡る。その女は謎の女子生徒の事を、だべ子と呼んでいた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 亀谷カメヤ 妙子タエコ(16)

 女性 身長155cm 体重42kg

 学園2年生 出身は沖縄諸島【蛇邊島】

 3年前に関東に上京 あだ名は【だべ子】

 学年トップクラスの美貌

 重要人物12人目!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 謎の女の声に、返事をする亀谷。


「何だべ【シノ】!」


 遠くから亀谷を呼んだもう一人の女はシノと呼ばれている。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 篠原シノハラ すみれ(16)

 女性 身長168cm 体重43kg

 学園2年生 服装は年中長袖

 最近まで不登校生徒であったが突然学園に戻ってきた

 亀谷妙子とは中学時代からの付き合い

 重要人物30人目?

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「だべじゃねぇよ、てめぇ此処で何やってんだ?」


「そんなの決まってるでねぇべか。授業受げねぇど!」


「はぁ?」


「ウチは、シノとは違ぇけら授業は真面目に受げんべや」


「何言ってんだ、今日は授業なんてねぇよ!」


「べ?――そうなんだべか?」


「学園公式サイトに知らせがあったぜ。ていうか俺の仲間からも聞いたから間違いねぇよ!」


「ま、マジだべか!――てこたぁこのパト男の言ってるごとは本当なんだべな?」


「そういう事だバカヤロー!」


「そうだったべ……」


「…………」


「あんの……うたぐって悪かったべ。すんませげろ」


「気をつけて帰るんだぞ」


「すんませげろ」


 亀谷と篠原は希望ヶ丘学園を後にした。篠原すみれは自分の事を〝俺〟と言っている。


「そんでシノはどないがっこきたんべ?」


「ん、たまたま近くまで来てたもんだからマジで警察とか見張ってんのか見に来ただけさ」


 二人で会話を始めたその時、突然目の前に現れた男。その人物は何と路瓶孫!


「失礼、ちょっと良いかな?」


「ん、何だいおっさん。朝から援助交際でもしようって言うのか?」


「そんなそんな、おかしな言いがかりはよしてくれ。君たち希望ヶ丘学園の生徒だよね?」


「それがどうした」


「すまない、先ほど学園前の校門で君たちの姿を見かけてな」


「良いからさっさと用件を言え!」


「私は探偵をしている路瓶という者なんだが」


「――っち。めんどクセーのが来たな」


「君たちは【戦場むくろ】のことについて何か知っていることが無いかと思ってね、色々とお話を聞きたいんだ」


「いくさばむくろ?……シノ知ってるべか?」


「何でも構わん。知っている事があるのなら教えて欲しい」


「戦場むくろと言ったら、最近希望ヶ丘学園中でも騒がれてる戦場貞子の双子の妹の女子生徒だろう?」


「そうだ」


「あーあの有名な女だべか!……死体で発見されたとか訳分かんね噂も流れてっけど、アレは本当なんだべか?」


「――それは私の口からは何も言えない」


「けっ人に質問しておいて自分は何も答えたくないってか!」


「何せ私の目で確かめたことではないんでな。それに、彼女には不可解な点が多すぎる」


「――まぁ良い!……ふふふふ」


 不意に微笑みだした篠原……そして!


「ふふ……頃合いっつーことか。おっさん、あんた探偵っつったよな。1人か?」


「どこにも属していないが?」


「そうか!……クックックック」


「何か知ってるのか?」


 不気味に微笑みながら驚くべき返答をしてきた篠原!


 同時刻9時

――――――――――――――――――――――――――――――

 舞園創


 神田病院へ向かう途中、電車内にてこれまで経験してきた不可思議な出来事を色々と振り返ってみる。4つの出来事に共通していることは……


 ――昨日の今日でナツは神田病院を退院するんだ。出発早かったかな?


 同時刻9時

――――――――――――――――――――――――――――――

 石川ナツ&高橋


 神田病院・石川ナツの病室。以下、高橋とナツの会話より。


「そっか。だったら楽な方を選べば良いんじゃない?――少なくとも私には無理して標準語を使わなくても良いのよ」


「あの、聞かないんですか?……私の、その……」


「名前のこと?」


「はい」


「その事は良いのよ。高ちゃんにも何か事情とかがあるんでしょ!――友達でいてくれればそれで十分。でも正直ちょっと気になってる事もあるのよねー。高ちゃんってほら、倒れた時あったじゃない。道化の仮面の不審者が学園内侵入した時!」


「…………」


「ひょっとして人間じゃなかったりして!」


「――っ!」


「――ぎゃははは!――何てね、冗談よ!」


「…………」


「私にとっては何でも良いの。その、高ちゃんが何者であろうが、どんな名前していようが。まだ短い付き合いだけど友達になろうって言い出したの、私とハジメからだしね。こーんなにおかしな事が続いてるのに高ちゃんは文句も言わずに私達について来てくれたわ。それって友達だからでしょ?」


「――ナツ」


「だから私も高ちゃんは友達だから、高ちゃんがどんな名前で何者かなんて、ぜーんぜん問題ないんだから!」


 石川ナツは、高橋と話しながら私服を袋から取り出す。


 場面移動

――――――――――――――――――――――――――――――

 路瓶孫と女子2人組み


「ふふふふふ!」


「な、何か知ってるのか?」


『ああ!――戦場むくろのことなら、この俺が全て知ってるぜッ!』


「本当か!?」


「マジだべか!」


『ああ、嘘は言わねぇ。何でも聞きなッ!』


 篠原の知る戦場むくろとは!?

 ※後書き

 今話は不審者のAB分けがありません。

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