第811毛 Episode0.Never-ending/Question
『勇者様を召喚したら光り輝いてました』より
一部を抜粋
…
……
勇者「何やら揉め事かな??『照らし甲斐』があるな」ザッ
女神「!! ………え……………」
?「……………勇者………」ギリッ
ザッ
ザッ
ザッ
光り輝く勇者は
その光源であるアタマを隠さず
真っ直ぐに歩みを進める。
女神「…ゆ、勇者様……………」
ザッ
ザッ
勇者「幼い女神よ。ここは、無闇矢鱈に立ち入る場ではない。 どのような理由で、ここに来たのかな??」スッ
勇者は
へたり込んでいる女神に手を差し伸べながら
優しく
かつ
ハッキリと話し掛ける。
スッ
女神「!! …ぁ……ありがとう…ございます………。………ぇえと………その……………。きょ、興味本位………で………」ビクビク…
勇者の手でカラダを起こした女神だが
勇者の目をまともに見る事ができず
また
詰問されているものだと思い込み
俯きがちで
しどろもどろになる。
勇者「む? 別に責めているわけではない。理由を聴きたいだけだ。…興味本位、と言うことで良いかな??」
女神「…っ……は、はい………」フルフル…
勇者「そうか分かった。しかし、今しがた言ったように、ここは色々と危険な場だ。気持ちも分かるが、来ない方が賢明だろう」
女神「……………はい………」
女神は
俯いたまま答える。
勇者「……………さて」
スッ
?「……………」
勇者の目が
スッと細められる、
勇者「……ソナタは、何者なのかな??」
?「……………………」
勇者「……む、警戒されているのかな。まぁ無理もないか。…しかし、だ」
ザッ
?「!!」
勇者は
その者の声がしたと思われる空間へ
一歩踏み出す。
同時に
勇者の光源も僅かに向きを変える。
勇者「……このまま『照らしても』良いのかな??」
?「…………………………」
一瞬の沈黙。
そして
ユラ………
勇者「!」
女神「!!え!?」
勇者
そして女神が見ている箇所が
揺らぎ始める。
それは
漆黒の空間では極めて判別ができぬ程の揺らぎ
だが
『光源』がある今この時においては
ふたりの目を
微かに捉えるものとなった。
勇者「………ソナタは……まさか………」
ユラ…
?「……………勇者」
勇者「む?」
?「………キサマだけが………特別なのではない………。……覚えていろ。………『我々』も………『セカイを変えて見せる』!!……………」
勇者「! ……………」
ユラ…
スゥ…
その言葉を最後に
揺らぎは無くなり
何者かの気配も途絶えた。
勇者「……………」
女神「……………」ドキドキ…
勇者「………ふむ………。……おっと、大丈夫かな??」クルッ
女神「!!はっ、はい!!」ビクッ
勇者「ハハハ。大丈夫そうだな。では、とりあえずここを出ようか」
女神「! あっ、は、はい………」
勇者「よし。では私から離れないよう………む、そういえば」
女神「???」ビクッ
勇者「ソナタの名を、聴いていなかったな。良ければ、教えてくれないか??」
女神「!! …ぁ………」
勇者の言葉を聴き
女神はまた目を伏せる。
勇者「む??」
女神「………ぁの……………私……………。………名が、まだ無いんです」
勇者「!! ……………」
女神「………私……生まれ出でてからすぐ……捨てられて………。…チカラが、弱いって………。何の役にも、立たないからって………。…それで、同じくらいの時期に生まれ出でたみんなと……何とか………ここまで……………」
女神は
ポツリ
ポツリと
言葉を紡ぐ。
勇者「……………」
スッ
ポンッ
女神「!!!!」ビクッ
勇者は
そんな女神のアタマに優しく触れる。
勇者「…そうだったか。話してくれて、ありがとう」ナデナデ…
女神「っ/// ぃ……ぃえ……………///」
勇者「………しかし、名がないのは、色々と不便だろう」
女神「……………」
言いながら
勇者は
ふと
はじまりのカミが
生まれ出でた同胞
かつ
伴侶へ
名を与えていたことを思い出す。
勇者「……………女神よ」
女神「! は、はい」
勇者「…もし、ソナタが良ければ、私が名を与えよう」
女神「!!え!?!?」
勇者「名は、もちろんソナタのような幼いカミであっても、自由に決めて良いものだ。…ただ、やはり名というのは、ある意味、己を決定付ける…己を『縛る』ものでもある」
女神「……………はい………」
勇者「……かつて、我が同胞のカミは、同じく同胞に、名を与えた。……それから、『名付け』というのは、まさしく『神聖』なものとなったのだ。…ゆえに、安易につけたりはできない。だから私がつける名も、安易や安直ではない、ソナタの『信念』を体現したものにできればと思う」
女神「……………私の………信念………」
勇者「そうだ。……女神よ。ソナタは、どんな存在になりたい?? 何を『成したい』???」
女神「……………」
暫し
その問いに悩んでいた女神だが
スッ
勇者「………」スッ
カオを上げ
勇者を見つめる。
その所作により
勇者は女神のアタマに添えていた手を
そっと離す。
女神「………私は……『何故』を追究していきたい」
勇者「! …ほう」
女神「…私が捨てられたのはなぜ……それは、弱いから、と言われた。…でも、『なぜ』、弱いからって、捨てられるの?? じゃぁ、『なぜ』強くなければいけないの?? みんな、みんな、『なぜ』生きているの?? ………そんな……問いを、追いかけていきたいの………です………」
勇者「……………なるほど。素晴らしいことだ」
勇者は
女神の『想い』を聴き
女神をジッと見つめる。
女神「……………」
勇者「……………ソナタは、まだ知らないかもしれないが………」
女神「?」
勇者「………問い、や疑問…つまり『なぜ』というのは、様々な表し方がある。……その事と………ソナタの想い……つまり、セカイについての『果てしない問いと追究』という意味合いを込め、名を授けられればと思う」
女神「!!」ピシッ
反射的に
女神は背筋を張る。
勇者「………女神よ」
勇者「ソナタは『セカイの追究者』だ。ソナタはこれから、『ハテナ』と名乗るが良い」
女神ハテナ「!!!! ………はて……な………。それが………私の…………名……………」ポロ…
名を与えられた女神の目から
雫がこぼれ落ちる。
勇者「ああ」
スッ
勇者「これからは、堂々と自らを名乗るが良い。女神ハテナよ」ナデナデ
優しく
きわめて優しく
勇者はハテナのアタマを撫でた。




