第796毛 ほんとうは
…
……
………
フワッ
??「!!」
荒れ地
まだ
『手が加えられていないような』場所
そんな場所で
ひとり
思索にふける者の前に
花粉がキラキラと舞い降りてくる。
??「…………………………」
??は
何かを察し
ジッと
待つ。
やがて
花粉が
一箇所へと集まる。
ヘガテー「こ〜んに〜ちはぁ〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
「っ………こ、ここは………」ヒシッ
『路』の女神と
『ナニカ』を大事そうに抱えた幼い少女が
??の場に現れる。
ヘガテー「あら〜〜〜❀❀❀やっぱり〜〜❀居てくれましたね〜〜〜❀❀❀♪♪♪♪♪頑張り屋さん〜〜❀❀❀えらいです〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ…
??「…………………………」
「……ぇ……え!?」ワタワタ…
ヘガテーは
幼い少女の手を引きながら
ゆったりと歩みを進め
??の目の前にくる。
ヘガテー「おひとりでは〜〜❀大変じゃ〜〜❀ないですかぁ〜〜〜〜〜???❀❀❀❀❀」ポワポワ ニコニコ
??「……………」スッ
??は
ヘガテーの問いに答えず
ジッと
幼い少女『たち』を見る。
「!!!!」ビクッ
ギュッ
グニャッ
「…こ、怖いよお姉ちゃん………」
「…だ、大丈夫……お、お姉ちゃんが……護る(守る)からね……!!」ギュッ グニャッ
??「! ……………」
その声を聴いた
??の瞳が
僅かに
優しいものへと変わる。
「……………」ビクビク…
ヘガテー「あ〜んまり〜〜❀見つめちゃうと〜〜〜❀❀『この子たち』がぁ〜〜〜❀❀怖がっちゃいますよ〜〜〜❀❀❀」ポワポワ…
??「…………………………」スッ
??は
再び
ヘガテーを見つめる。
まるで
『とりあえず説明をしてくれ』
と訴えるように。
ヘガテー「あらぁ〜〜〜❀❀❀そ〜んなに見つめられたらぁ〜〜〜❀❀お姉さん照れちゃいます〜〜〜❀❀❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ… テレテレ…
そんな訴える目も虚しく
ヘガテーは恥ずかしそうにカラダをくねらす。
??「…………………………」スッ
「!?!?」ビクッ
??は
ヘガテーから視線を外すと
しゃがみ込み
幼い少女と『塊』へ
目線を合わせる。
??「…………………………」
「……っ………な………なん………ですか………」ビクビクッ
??「…………………………」
スッ
「!!!!」ビクッ
??の手が
幼い少女へ向かい、スッと伸びる。
ギュッ
グニャッ
『塊』を大事そうに抱えながら
幼い少女はギュゥッと目を瞑る。
…
…
ポンッ
「……………???」
??「…………………………」ナデナデ…
「……??? ………ぇ……………」パチクリ
??は
黙ったまま
幼い少女のアタマを撫でる。
ヘガテー「あらぁ〜〜❀❀♡♡♡ やっぱり〜〜❀『ハデスちゃん』はぁ〜〜❀優しいですね〜〜〜❀❀❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ ニコニコ
そんな様子を見て
ヘガテーはカラダをくねらせながら嬉しそうに話す。
ハデス「…………………………」
「……(ハ、ハデス………さん??………)」
ヘガテー「そぉんな優しいハデスちゃんに〜〜❀❀❀この子たちのことを〜〜❀❀お願いしたいのです〜〜〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
ハデス「!!」
ハデスと呼ばれた者は
僅かに目を見開き
幼い少女と
ヘガテーを交互に見る。
ヘガテー「この子たち〜〜〜❀『あぶれ者』になっちゃってました〜〜〜❀❀なんて可愛そう〜〜〜❀❀だから〜〜〜❀ハデスちゃんと一緒に〜〜〜❀❀❀『これからを創って』いってほしいのです〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
ハデス「!!!!」
「………ぇ……え???」オドオド…
ヘガテーは
ポワポワした動きのまま
幼い少女たちを見る。
パッチリ
「!!!?(ま、また目がパッチリ開いた!!………)」ビクッ
ヘガテー「色々と〜〜❀おツライことが〜あったかもしれません〜〜❀❀ただぁ〜〜あなたたちは〜〜❀これからいっぱい〜〜❀たくさんのことを〜〜❀成し遂げていけるのですよ〜〜〜❀❀❀この〜〜〜❀ハデスちゃんも〜〜❀❀まさに『これから』ぁ〜〜〜❀❀少しずつ素敵なことを〜〜〜❀❀『拡げて』いくつもりなんです〜〜〜❀❀❀まぁなんて〜〜ちょうどいいのかしらぁ〜〜〜❀❀❀❀❀♪♪♪♪♪」ポワポワ
ハデス「…………………………」
「……ぇ……ち、ちょうど……いい???」
ヘガテー「はい〜〜〜❀❀♬ハデスちゃんならぁ〜〜❀❀あなたたちを〜〜❀ないがしろにしたりは〜〜❀しないのです〜〜〜❀❀❀❀❀だからぁ〜〜❀❀❀安心して〜〜❀頼っていいのですよぉ〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ ニコニコ
「……………そんな……こと………いきなり………」チラッ
幼い少女は
ハデスと言われた者を見る。
ハデス「………………………」
その者は
端正な顔立ちの
眉間にシワを寄せ
なにやら考え事をしているように
幼い少女からは見える。
ヘガテー「じゃぁ〜〜〜❀❀ハデスちゃん〜〜❀お願いね〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
ハデス「!! ……………」
ハデスと言われた者は
無言のまま
何かは言いたげに
しゃがみ込んだまま
ヘガテーを見る。
ヘガテー「あらぁ〜〜〜❀❀❀頼もしいおめめです〜〜〜❀❀❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ…
ハデス「…………………………」
ヘガテー「じゃぁ〜〜❀そんなこんなで〜〜❀❀よろしくです〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
フワッ
「!!!!」
言い終わるやいなや
ヘガテーのカラダを
『花粉』が包み込む。
「…っち、ちょっとま、待って!!行かないで!!!!」バッ
いつの間にかヘガテーから
手が離されていたことに気付き
幼い少女は慌てて
花粉に包まれるヘガテーの手を掴もうとするも…
ガシッ
「!!!?」ビクッ
ハデスと言われた者から
ヌッと伸びてきた手に
そのカラダごと
ハデスと言われた者の方へ引き寄せられる。
「いやっ!!離して!!!!お姉さん!!助けて!!!!」ジタバタ…
ハデス「……………」
暴れる幼い少女を
ハデスと言われた者は
何も言わずに
ガッチリと抱く。
ヘガテー「あらあら〜〜❀❀心配しなくて〜〜❀大丈夫ですよぉ〜〜〜❀❀ハデスちゃんはぁ〜〜❀あなたたちを〜〜❀見捨てたりはぁ〜〜❀しないのです〜〜〜❀❀❀」ポワポワ
ヘガテーはニコニコしながら
幼い少女に告げる。
「っ………」
幼い少女は
ピタッと動きを止め
「……………お姉さんは、見捨てるんですか??」キッ
ハデス「!」
ヘガテーへ強い眼差しを向ける。
ヘガテー「あら〜〜〜❀❀❀そう思われちゃったのです〜〜〜❀❀❀悲しいのです〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ…シクシク…
カラダを包んでいる花粉が
動きを止める。
「…っ………だっ…だって……お姉さん、どこか行っちゃうんでしょ!?私たちを置いて………『今までの怖いオジサンやオバサン』と同じように………」ウルッ
ギュッ
グニャッ
ハデス「…………………………」
ヘガテー「あら〜〜〜❀❀大丈夫ですよ〜〜〜❀❀私はぁ〜〜〜❀」
ヘガテーが何かを言いかけた
刹那
ハデス「…見捨てない……」
「!!!?!?」ビクッ
ヘガテー「あらぁ〜〜〜❀❀❀♪♪♪」パチッ
幼い少女と同じくらい
ヘガテーも驚き
開眼する。
ハデス「……ともに……創ろう」
ハデスと言われた者は
幼い少女と『おとうと』に向かい
言葉を紡ぐ。
ハデス「……誰も……ないがしろにされないセカイ……。寂しく……ないセカイ……。皆、笑い合える……そんな……セカイ………。ともに………創ろう………」
「……………セカイを……創る……………」
幼い少女が
ハデスの言葉に耳を傾け始めたとき
ヘガテー「…!!あ〜〜〜!!!!❀❀❀❀❀」ポワポワ ポンッ
「!!!?」ビクッ ギュッ
グニャッ
ハデス「!」
ヘガテーが突如
間延びした大声をあげる。
ヘガテー「そういえばぁ〜〜〜❀❀❀あなたたちの〜〜『名前』を聴いていませんでしたぁ〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
ハデス「!!」
「!!あ………」
幼い少女が
僅かにたじろいだのを
ハデス「……………」
ハデスと言われた者は注視する。
ヘガテー「あなたたちの〜〜❀お名前はぁ〜〜❀❀なんというのですかぁ~〜〜???❀❀❀❀❀」ポワポワ
ヘルサポネ「………私……は………『ヘルサポネ』…です……………」
ヘルサポネと名乗った
幼い少女は
俯きながら答える。
ヘガテー「あら〜〜❀❀♡可愛いお名前です〜〜〜❀❀❀❀❀おとうとさんはなんというお名前ですかぁ〜〜〜❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ ニコニコ
ヘルサポネ「っ………ぇ……ぇえと……………」
ハデス「……!」
言い淀むヘルサポネを
ハデスと言われた者は
ジッと見る。
ヘガテー「おとうとさ〜ん❀❀❀❀❀お名前は〜〜〜???❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ
ヘルサポネ「っ………」
ハデス「よい」ナデ…
ヘルサポネ「!!!?」ビクッ
ヘガテー「あらぁ〜〜〜❀❀❀♡♡♡♡♡」ポワポワ
ハデスと言われた者は
抱き寄せている方と逆の手で
ヘルサポネのアタマを撫でる。
ハデス「………『名』は……非常に大切だ。……ましてや……『真名』は、迂闊に話すべきものではない………」
ヘルサポネ「ぇ……え??」ドキドキ…
このやり取りを見た
『路』の女神は
フワッ
ヘルサポネ「!!」
再び
ユラユラと動き出す花粉に包まれる。
ヘガテー「よしよし〜〜❀❀♡♡♡大丈夫そうですね〜〜〜❀❀❀❀❀じゃぁ〜❀ハデスちゃん〜〜〜❀❀ヘルサポネちゃんと〜〜❀❀『おとうとちゃん』のこと〜〜❀お任せしましたよ〜〜〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
ヘルサポネ「!!まっ、待って!!」
ヘガテー「大丈夫です〜〜❀❀また時々〜〜❀遊びにきます〜〜〜❀❀❀♪♪♪その時に〜〜〜❀たくさんお話しましょう〜〜〜❀❀❀♬♬♬」ポワポワ ニコッ
ヘルサポネ「っ………や、約束!!ぜったい来てね!!!!」ウルッ
ハデス「…………………………」
ヘガテー「はぁ〜〜い❀❀❀♬♬♬それじゃぁ、ハデスちゃん、ヘルサポネちゃん、おとうとちゃん、また会いましょ〜〜〜〜〜❀❀❀❀❀」ポワポワ
フワッ
…
…
そうして
その場から
ヘガテーは消えた。
ヘルサポネ「……………お姉……さん………」グスッ
ギュッ
グニャッ
ハデス「…………………………」スッ
ヘルサポネ「!!」
ハデスと言われた者は
そっと
ヘルサポネから手を離す。
ヘルサポネ「…っ………」バッ
反射的に
ハデスと言われた者と距離をとりつつも
ヘルサポネ「……………ぁの……………」
ハデスと言われた者を見つめる。
ハデス「…………………………」
こころなしか
先程よりさらに『優しさ』がこもった眼差しで
ハデスと言われた者は
ヘルサポネと『おとうと』を見つめ…
ハデス「………『真名』は、極力言わない方がいい」
ヘルサポネ「!! ………真名??」
ハデス「……私の場合は……この『ハデス』……『ハデス・ギール』……。……君の場合は…『ヘルサポネ』………。真の名前……。これは、時に武器となり……時に『鍵』となる。……セカイには……君もおそらく知っているように………。信用に足る者たちだけではない。……自らを守るためには……『仮の姿』を創ることも……必要となる」
ハデスと言われた者は
淡々と
それでいて
どこか悲しげに
ヘルサポネへ語る。
ヘルサポネ「………『仮の』…姿………」
ハデス「……………君の……『おとうと』には………『名』がないのだろう??」
ドクンッ
ヘルサポネ「!!!!」ビクッ
ギュッ
グニャッ
ヘルサポネの目が見開かれ
すぐに
その目が
『おとうと』へ向けられる。
ハデス「……………君も……『おとうと』も………『仮の名』を……持つがいい」
ヘルサポネ「! ……」バッ
その言葉に
ヘルサポネはカオを上げる。
ハデス「………君たちは……どんな存在になりたい??」
ハデスは
優しく
かつ
はっきりと
『ふたり』へ語り掛ける。
ヘルサポネ「………どんな………存在………」
ヘルサポネは再び
『おとうと』を見る。
ヘルサポネ「………私は………私たちは………『ふたりでひとつ』。……『ふたりでいれば、誰にも負けない』………。なにがあっても、乗り越えられる………。そう、思って……………」ギュッ グニャッ
ハデス「……………」
ハデスと言われた者は
その吐露を聴き
ハデス「……………なら、君たちは『ふたりでひとつ』の名とするがいい」
ヘルサポネ「……え!?」
スクッ
ヘルサポネ「!!」ビクッ
スタスタ…
ハデスと言われた者は
ゆっくりと
しかし確実に
ふたりに向かい歩みを進める。
ヘルサポネ「……………」ギュッ グニャッ
警戒はしているが
ヘルサポネは
『その場から動かず』
ジッと
ハデスと言われた者を見つめる。
ハデス「……………」スッ
ハデスと言われた者は
ふたりの近くまでくると
再びしゃがみ込み
目線を合わせる。
ヘルサポネ「……………」ドキドキ…
ハデス「……………そうだな………」
ハデス「君は『コンディ』。おとうとは『ショナー』と、名乗ると良い」
ヘルサポネ「!!!?」
ハデス「気に入らなければ、別の名でも構わない。…この名には、『ふたつが組み合わさったとき、もっとも状態が良くなる』という意味を込めている」
ヘルサポネ「………コンディ………ション………」
ハデス「…もし、嫌でなければ、これから私が成し遂げたい……創りたい『セカイ』のため、協力を願いたい。……二度と虐げられぬよう……二度と『寂しくならぬ』よう………セカイを、ともに創ろう」スッ
ヘルサポネ「!!!!」
ハデスと言われた者は
そっと
自らの左手を差し出す。
ヘルサポネ「……………」
その手を
ヘルサポネはただ
ジッと見つめる。
ヘルサポネ「……………」
ハデス「……………」
スッ
ハデス「……すまない。……先走り過ぎたかな………。いったんは、忘れてくれ」
ヘルサポネ「!!」
ハデス「………あの『路』の女神から頼まれた以上、君たちの身の安全は保障する。………安心するといい」ニコッ
ヘルサポネ「!!!!」ドキッ
スクッ
ハデスと言われた者は
そっと立ち上がり
ヘルサポネたちに背を向ける。
ヘルサポネ「……………」
〘お姉ちゃん、違うよね??〙
ヘルサポネ「!!」
〘ほんとはお姉ちゃん、嬉しかったんでしょ??必要とされたことも、『ボクが本当は居ない』のを否定されなかったことも、『ふたりでひとつ』の名を考えてくれたことも〙
ヘルサポネ「……………」
〘お姉ちゃん。お姉ちゃんは、本当に大変だったと思う。もう、誰も信じたくないって思っても、仕方がないと思う。…でも、もう一度…もう一度だけ、信じてみようよ。打算じゃなく、優しさで差し伸べてくれた手を、もう一度だけ掴もうよ〙
ヘルサポネ「……………」
〘……お姉ちゃん!!〙
スクッ
ヘルサポネ「……………そうね、『ショナー』」
タッ
ヘルサポネ「待って!!」タタタッ
ハデス「!!」
タタタタタッ
少女は
ガシッ
ハデス「!!!!」
その手をしっかりと掴む。
コンディ「……その………ハデス…お兄さん。……私たちにも……私たち『コンディ』と『ショナー』にも………。『優しいセカイ』創りを……手伝わせて??」ウルウル…
ハデス「!!!!」
ハデスと言われた者の目が大きく開き
同時に
クルッ
スッ
コンディたちへ向き直り
みたびしゃがみ込む。
ハデス「もちろんだ。コンディ。ショナー。ともに、『優しいセカイ』を創ろう」
コンディ「うん!!」
ショナー「はい!!」
ハデス「いい返事だ。………あっ、もうひとつ」
コンディ「??」
ハデス「…君たちと同様、私にも……仮の名がある。今後は、そちらも覚えてほしい」
コンディ「ハデスお兄さんの………仮の名……………」
ハデス「ああ」
ヅーランダー(ハデス)「『ヅーランダー』。……この名を、覚えてくれ」




