第788毛 記録者ジャック・サンセイによる抜粋 熱意/決意の書
---- --- より
一部を抜粋
ラキ「………はい」
ヒルデ「……………」
ラキ「……ボクは、今まで、誰かの注意をひきたかったんだと思います」
テーセウス(ティー)「……………」
ラキ「……もちろん、面白いことは好きです。知らないことを知るのは、とても楽しいです。…ただ、それを…誰かに知ってもらいたいな、それで、驚いてくれなきゃ寂しいなぁって、思ってました…」
ヘルセウス「……………」
ラキ「……虚を突くのって、やっぱり、意外性があるとか、考えもつかないこと、予想だにしないこととかなんですけど、これって結構…『その方の弱点』とか、『嫌がっていること』に繋がることも多いんですよね……。ヘラさまのお髪に縮毛矯正をかける、とか………」
ヘラ「!!!!」
ヒルデ「……アワワ………」
ヘルセ&テー(ティー)「「……(ちょっと見てみたいなんて口が裂けても言えない………)」」
ラキ「……そんな悪戯でも、誰かが笑ってくれれば良いかなって、思ってたんです。面白いからいっか、あとで謝ればいっか……って……。…でも、あのとき……アリガトネ…さんは、『誰かが本当に嫌がることをするのは、ウツクシくない』と、はっきりボクに言ってくれました。……たくさん、たくさんボクの知識で笑ってくれたアリガトネさんが……キョトンとしたカオで………。…その時、思ったんです。ぁあ、『笑わせる』のと『笑い者』にするのは、違うんだなって」
ヘラ「……………」
ラキ「…だからボクは、ボクなりに…う、ウツクシくなるように……自分のすることに『誇り』を持てるようになろうと……。そして、そう考えたら、なんか……。父親の…ボクへの態度や、あからさまに何かを隠す素振りというか…それに、納得がいかなくなってしまったんです………」シュン…
ヒルデ「………ラキさん………」
テー(ティー)「……ラキ坊……いや、ラキ」ポンッ
テーセウスは優しく
ラキの右肩に手を添える。
テー(ティー)「機…というか、場面は多少思い切っていたかもしれないが、キミの考えや想いは、立派なものだ。うんうん。よくそこまで自らを見つめ直し、かつ父親相手に『行いを問う』ことができたね。キミは、もう立派なカミだな」
ラキ「………テーセウス……さん…」
ヘルセ「そうだね。まぁそもそも、あの御方…キミの御父上にそれだけ言える存在って、なかなかいないんだよ。だからこそ、誇っていいことだね」
ラキ「……ヘルセウスさん………でも……父上は……父上とは………」ギュッ
ラキは俯き
膝に乗せている両の手をギュッと握りしめる。
ヒルデ「……………」
ヘラ「……………ラキ」
ラキ「………はい」
ラキは俯いたまま返事をする。
ヘラ「………知識を、つけなさい」
ラキ「……………え??」バッ
ラキはその言葉にカオを上げ
ヘラを見る。
ヘラ「……あなたには、探究心がある。あなたには、洞察力がある。……あなたの周りで起こっていること…あなたの周り『以外』で起こっていること………。どちらも知っていく必要がある。…そして、自分に何ができるかを見極めなさい。…あなたが言った『誰かを楽しませる』という想いのためには、『知る』ことが不可欠…。そしてそれは結果的に、あなたの父の想いに近付く礎となる」
ラキ「……!! ………ヘラさま………」
ヒルデ「……ラキさん」
ラキ「! はい!!」
ヒルデ「……お父様…お身内の御方との関係が上手くいかないと、やっぱりおツライかと思います……。ましてや、お父様ですからね…」
ラキ「………はい」
ヒルデ「ただラキさん。ここにいる皆…あっ、アリガトネさんも含めて、ラキさんの『家族』のようなものですよ」ニコッ
ラキ「!!」
ヒルデ「ヘラさまを始めとして、ラキさんのことをたくさん、たくさん考えました。今回のように、かなり無茶をしてまで、ラキさんを助けたい、と、皆で思いました。そんな間柄は、意外と多くはないかと感じます。この繋がりを大切に、これからもラキさんらしく振る舞えば、自然と良い方向になっていくのではないでしょうか。…あっ、もちろん、イタズラは程々にしたほうがとは思いますが…!!」アセアセ…
ラキ「……ヒルデさん………」
ヘラ「……………」
皆
思い思いに
『想い』を伝え合う
そんな空間に
コンコンッ
ヘラ「!!」
トビラを叩く音が響く。
ベル「みなさま〜!! ベルです!!凱旋です〜!!!!」コンコンッ
ヘルセ「ベル様!!今お開けします!!」ガタッ
ガチャ
ベル「お待たせしましたみなさま!! 無事に落ち着いていただけましたよ〜♪♪」トコトコ…
自慢気に尻尾をピンッと立てながら
黒猫ベルが入室する。
ヒルデ「べ、ベル……お疲れ様です!!何ともないですか!?」バッ
ヒルデは即座にベルのもとへと向かい
スッ
トコトコ歩いてくるベルを抱きかかえる。
ベル「! はい!!全然大丈夫です!!サーディンさんも、『ラキさんの成長を嬉しく感じる父親』という感情が拡がった状態なので、もうラキさんを怪しんだりはしないと思います」フンスッ
ヒルデ「凄いですベル!!」ギュゥゥ
ベル「ふにゅっ!!」ジタバタ…
ヒルデがベルを抱き締め
ベルは腕のなかでもがく。
ラキ「……………」
テー(ティー)「……ラキ。もう、聡明な君なら、私達がおこなった内容について、察しが気付いているとは思う」
ラキ「………はい。……ボクのために、ありがとうございます…」ペコッ
テー(ティー)「なに。気にするな。…ただねラキ。キミはおそらく、ひとつ思い違いをしている」
ラキ「え??」
テーセウスは
ラキの目を真っ直ぐに見つめる。
テー(ティー)「私の『拡張』…そして、我が友ヘルセウスの『植え込み』…。どちらも、『全く考えてもいない事象』を拡げたり、植え付けたりすることはできないのだよ」
ラキ「!!」
テー(ティー)「ハハハ、わかるかい?? キミの御父上は、確かにキミの『成長』に驚き、父として…そして『神として』誇らしく、嬉しく思ったはずさ。…それを表に出せないくらいの『ナニカ』を抱えていることもまた事実だろうけど、キミを想う気持ちは絶対にある。だから、そう悲観しなくていい。皆が言ったように、キミはキミらしく、誇りを持てる振る舞いをすることで、評価は後からついてくるはずだ。期待しているよ」
ラキ「………っ……はい!!」グスッ
ベル「……ブクブク………ッハ!! ……ここは………」キョロキョロ…
ヒルデ「アワワ……すみませんベル…」アセアセ…
ヘルセ「アハハ……。ともかく、一応は一件落着ですかねヘラ様??」
ヘラ「……………そう………皆……よくやってくれた………」
ヘルセ「いやいや、ヘラ様の采配や計略、おチカラのお陰ですよ」
テー(ティー)「本当、その通りだな友よ!!さすがは最高位のカミさまだ!!あっ、ベル様やヒルデさん、ここにはいないがアリガトネ嬢も、大変素晴らしい御活躍でしたぞ!!」
ベル「えっへん!!ただの臭いケモノじゃないんです!!…臭いケモノじゃ………」シュン…
ヒルデ「べ、ベル…とりあえず、お身体を清めましょう!!」アセアセ…
ヘルセ「………(それって遠回しに臭いって言ってるようなものじゃ………)」
ラキ「………みなさん………本当に…」
ラキが
改めて
一同へ感謝を伝えようとしたとき
カサッ
ヘラ「!」
ヒルデ「!」
ベル「!」ピクッ
ラキの履物のポケットから発せられた僅かな音に
ヘラ、ヒルデ、ケダモノ(ベル)が反応を示す。
ヒルデ「あ、あの…ラキさん?」
ラキ「え? あっ、はい!!」
ヒルデ「あっ、御言葉を遮ってしまい、すみません!! …な、なにか、その……隠し(ポケット)に、入っていますか?? 今一瞬、音が………」
ラキ「え?? ………! あっ!!やべ!!」バッ
ベル「?」
言われたラキは
書斎にあった『奇妙な本』に挟まれていた
文のような紙束を
ポケットから取り出す。
テー(ティー)「ん?? それは何だい???」
ヘルセ「何かの……手紙かな??」
ラキ「…あっ……ええと……その……父上の書斎の、ある本に挟まっていたんです…。これを見ているときに、廊下から父上の足跡が聞こえてきて……慌てて、本をしまわなきゃ! って思ったら、多分無意識のうちに、隠し(ポケット)に入れちゃってました………どうしよう………」アセアセ…
ヒルデ「ああ! そういえば!!(影から見てました)」
テー「なるほど…。う〜ん……返した方が良いとは思うが…でも………」
ヘラ「ラキ」
ラキ「! は、はい!!」
ヒルデ「! ど、どうしたのですかヘラさま!? な、なにかお怒りですか??」アセアセ…
ヘラは
険しい顔つきで
ラキが持っている紙束を見つめる。
ベル「? ………紙束……本のなか……隠して……………あっ!!!!」ピョーン
ヘルセ&テー(ティー)「「!!!?」」ビクッ
ベルは
ヒルデの腕のなかから勢い良く飛び上がる。
ヒルデ「わっ!! べ、ベル、どうしたのですか!?臭いが充満しちゃいますよ!?」アセアセ(汗汗)…
ベル「………(グスン…)ヘラ様………まさか………!!」
ヘラは
紙束を見つめたまま
「……その『本』の題名は、なに??」
ヘルセ「え?」
テー(ティー)「本??」
ヒルデ「え?え?」ドキドキ…アセアセ…
ラキ「え?? ………ええと………」
ラキは
その『紙束』
否
『本』の表紙を見つめ………
ラキ「え、ええと………題名は……………」
ラキ「『勇者様を召喚したら光り輝いてました』」




