第736毛 ネコダマシ
…
……
………
カマキリ「キシャー!!」ブンッ
ヨル「むむっ!!なかなかやりますね!!たぁっ!!」ヒョイッ バッ
ヒラリッ
カマキリ「シャー!!」
ヨル「なっ!? 右からは偽り…!? いたっ…痛いです〜!!」バタバタ…
ラックス「………」
エッシェンシャルル「………」
セレンディピティ共和国についた日。
各々、思い思いに過ごす中
ヨル、ラックス、エッシェンシャルルは
とある広場に居た。
※第403毛 策
の少し前です。
ラ「…ね、ねぇシャルル。…ヨルさんは、どうして…カマキリと闘ってるの??」
シャ「……例の話し合い(オルビスさんや、ムキムキの天使バルクザールさん)が終わりました、と、私のもとへ来て、一緒にここまできたのですが…。キレイなお花さんです〜♪ とか言って近づいたら、ハナカマキリだったようで…。よく分かりませんが、臨戦態勢となって、今ああなってます」
ラ「……そ、そうなんだ………」
シャ「まぁ、同類なんでしょうね」
ラ「え? 虫と??」
カマキリ「キャシャー!!」グワッ
ヨル「シャー!!」ガバッ
ラ「……………」
シャ「…ハァ…。化猫は放っておきましょう。…それよりラックス。アナタも、広場に来ていたのですね」シャルルは、広場のベンチに並んで座るラックスを見る。
ラ「あ、うん。なんか、街を見て回ろうとも思ったんだけど、自然と足が向いてて……」
シャ「……そうでしたか」
ラックスとシャルルは
闘うケダモノと昆虫が視界に入りながらも
まばらにヒトの行き交う
緑豊かな広場全体を眺める。
シャ「……ラックス。すこし、聞いても良いですか?」
ラ「え? あ、うん。なに??」
シャ「ありがとうございます。……ラックスは、シゲル様をお慕いしているかと思います。…私もそうですが」
ラ「うん。そうだね。本当に、色んな面で尊敬してるよ」
シャ「そうですか。……少し、不躾な質問になってしまうかもしれませんが…」
シャルルは一呼吸置く。
ラ「?」
シャ「……ラックス。あなたの旅の目的は、何ですか?」
ザワ…ッ……
ラ「……え?…」
シャ「……すみません。言葉足らずでしたね。いつぞやかお話したように、私達の旅は『基本的には』魔王とやらに会うことと、勇者シゲル様のご帰還のお力添えをすること、だと思います」
ラ「…うん。そうだよね……」
シャ「はい。……ただラックス。その…上手い表現が見つからなくて恐縮なのですが……ラックスは、『何か役に立たないと』という想い…というか、強迫観念にも似た振る舞いがあるように、私には思えるのです」
ラ「!! ……………」
ラックスは目を伏せる。
シャ「……すみません…。やはり失礼な質問を」
ラ「いや、言いたい事はわかるよ」
シャ「!」
ラ「…シャルルは、やっぱり凄いね。よく皆を見てくれてる。…ハハハ……態度に出してるつもりはなかったんだけどさ……」
シャ「………」
ラ「…シャルルとも、何回か一緒に依頼をこなしたから、何となく分かってるかなとも思うけど……。俺は『半端者』なんだよ…」
シャ「……………」
ラ「俺のスキル『スーパーリッチ』は、使い方によっては重宝されるけど…。『卑怯なスキルだ』って、良く言われるんだ。チマチマ枯らしたり肥やしたり、正々堂々としていないって…」
シャ「!! ………」
ラ「…正直、みんなの言う事も分かるからさ…。 スキルに頼らず、俺が俺として認められるように、頑張りたいって思ってるんだけど……どうも空回りしちゃって………」
シャ「………」
ラ「シゲル様はさ、色んなスキルがあるけど、ここぞという時にしか使わないし、圧倒的な観察眼というか、本当によく物事を見ていて、都度、的確な助言や行動をとる御方だなって、すごい思ってるんだ…。それで、ああ、この御方みたいに、堂々と、己のチカラで進んで行きたいな、少しでも見習いたいな、って、思って………ハハ……情けないよね………」ポリポリ…
ラックスは目を伏せながら
頬を掻く。
そんなラックスを
シャルルはジッと………
シャ「ラックス」
ラ「……うん…」
顔を上げたラックスは
パンッ
ラ「!!!?」ビクッ
シャルルが突然
ラックスの目の前で
両の手を叩き合わせた事に
驚きを隠せない。
ラ「シ、シャルル!?!?」
シャ「……ふふっ、あなたに足りないのは、自信だけですね」
ラ「え!?」
シャ「あなたの葛藤や悩み、全ては分かりませんし、分かった気でいるとしたら、それは愚かな事なのかもしれません。ですから、私は私の思ったことを言います」
ラ「………」
シャ「ラックス。あなたは、誰よりも周りを見て、誰よりも周りを思いやるお気持ちと行動力があると思います。例えスキルが重宝されたとしても、扱う者が良くなければ、いずれは破綻します。…ラックスのスキルが、どういう風にラックスを『支えていける』か、私にはまだ分かりませんが、少なくとも私は、スキルがなくとも、スキルに頼らなくとも、『ラックスを頼りにしていますよ』」ニコッ
ドクンッ
ラ「…っ………シャルル………」
シャ「…っと、偉そうなことを言ってしまいましたね。…かくいう私こそ、勇者シゲル様の御旅に同行するには、まだまだ役不足だとおも…」
コソッ…
ヨル「ばぁっ!!」バーン
ラ&シャ「「!!!?」」ビクッ
ふたりの背後から
ヨルがピョーンと飛び出す。
ヨル「ふっふっふっ♬ びっくりしましたね♪ カマキリさんに勝って振り返ったら、何だかお話に夢中になっていたので、こっそり近づいていました!!名付けて、むかし培った秘技『シノビヨル(忍び寄る)』!!!!」ババーン
ラ「……………」
シャ「……………」
ヨル「……………?」
ヒョイッ
ヨル「……え?」
クルッ
ヨル「……え?……え?」
コチョコチョ
ヨル「!!!?ッキャハハハハ!! シ、シャルル、やめてくださいっ!!くすぐらないでっ……キャハハハハハ!!」ビクビクッ
シャ「……………」コチョコチョ
シャルルはヨルをむんずと捕まえ
ひっくり返し
無表情でお腹をくすぐり始める。
ラ「……シャ、シャルル……??」
シャ「………はぁ……。ケダモノに場を乱されましたから、このお話の続きはまた後日に致しましょう」
ラ「ぇ…あっ、うん!!」
シャ「………ラックス」
ラ「は、はい?」
シャ「……自信を持ってくださいね。繰り返しになりますが、『頼りにしていますよ』」
ドクンッ
ラ「………う、うん!!」
そして
ボスカマキリ「……………」ザッ
ハナカマキリ+α「「「……………」」」ザッザッザッ
ヨル「!!!!そっ、そんなっ……!!まさか……大ボスさんが居たなんてっ……!!……ふたりともっ!!ここは私に任せてくださいっ!!たぁっ!!!!!!」ダッ
トテテテテ…
ラ「……………」
シャ「………行きましょうか……」




