第715毛 タノシイ…
…
……
………
ラックス「ははうえ!!アレはなんですか??」
空を飛ぶ
ヒラヒラしたナニカ
ラックスはそれを
目で追っていた。
エルター「ああ、あれは確か……蝶々という虫だよ」
ラ「チョウチョー??」
エルター「うん。小さい頃は、違う姿をしていて、だんだんと変わっていくんだ。そして、最後にはあのように、空を自由に飛び回れる姿になるんだよ」
ラ「さいご??」
エルター「え? あっ、うん。……あの蝶々はね、ええと……私達より、ずっとはやく、『死の神様』のもとへ導かれるんだよ」
ラ「どうしてですか??」
エルター「え!……ええと………えぇと………そうだね。みんなそれぞれ、『生きる時間』が違うんだよ」
ラ「じかん、ですか??」
エルター「…うん。例えばね、私は、ラックスと一緒にいる時間は、あっという間だと感じる。ラックスは、どう?? もうちょっとで、ご飯の時間だけど、お散歩は『長く感じた』かい?」
ラ「いえ!とってもはやいです!!」
エルター「ふふっ♪ そうか…。じゃぁ、ご飯を食べた後は、どうだい? 私は、結構夜遅くまで起きるから長く感じるけど、ラックスは、食事が終わってから眠るまで、時間がはやく感じたりはしないかい??」
ラ「! ……はい!!食べ終えると、すぐに眠くなります……あっという間です!!」
エルター「うん、そうだね。…ラックスと私でも、それだけ差があるんだ。時間というのは、感じ方によって変わったりするんだよ」
ラ「そうなのですね!!………あれ?? でも……」
エルター「?」
ラ「それなら、あのチョウチョーは、感じるじかんがとっても短いということでしょうか?」
エルター「え? あ……う、うん…少なくとも、私達よりは、ずっと短いのかと……思うよ」
ラ「そうなのですね! ……それなら、じかんを『長く感じるははうえ』の方が、じかんを短く感じる俺よりも、長く生きるということですか??」
エルター「!!え!?」
ラ「………」ジー
エルター「あっ…ぇっ……いや……ええと……そ、そういうわけじゃなくて……ね………」ワタワタ…
ラ「?」
ザッ
スカルプ「ハハハ。ラックスはしっかりと、話の筋を分かっているね」
エルター「!!」
ラ「あ!!ちちうえ!!!!」
ス「やぁラックス。エルターも。帰りが少し遅いから、見に来たよ」
エルター「あっ、ご、ごめんなさい…」ペコッ
ス「いやいや、私が過保護すぎるのかもしれない。ともかく、何事もなくて良かった。…して、ラックス」
ラ「はい!!」
ス「エルターが言った事は、その通りだと私は思う。ただ、ぼ…私はね、『時間』とは、大まかにふたつ、存在するんじゃないかと思っている」
ラ「ふたつ、ですか??」
ス「そう。今、エルターが話したのは、『感じる』時間だ。これは、ミタマ(この場合、心)の状態や、気分……好き嫌いによって変わるものだ」
ラ「………」
ス「例えば、ラックスは散歩が好きだろう?」
ラ「はい!!」
ス「うむ。好きなことをしていたら、『感じる』時間はあっという間…はやく過ぎ去るものだ。でも、散歩が嫌いな者にとっては、一歩一歩、半刻や一刻が、とても長く思えてしまう。これが『感じる時間』だ」
ラ「………」
ス「そして、ラックスが抱いている疑問。蝶々の『生きる時間』がなぜはやいのか、だが、これは『生まれつき持っている』時間だと、私は思っている」
ラ「うまれつき…ですか??」
ス「そうだ。ラックスも、エルターも、私もそう。生を受けた時から、持っている時間があって、これは、基本的に変えられないのではと思う」
ラ「……それは…なぜです??」
ス「なぜかな……私にも、エルターにも…そして、誰にもわからないのだよ。……ただ、だからこそ『感じる』時間が、大切なんだ」
ラ「え??」
スカルプは
一瞬
エルターを見る。
エルター「……………」ニコッ
エルターは微笑みながら
スカルプを見つめ返す。
ス「……………」フッ
そして
スカルプもまた………
優しい笑みを浮かべ
ラックスを見つめ直す。
ス「いいかいラックス。蝶々も、私達も、『生まれつき持っている』時間は、どのくらいか分からないし、変えることもできない。…その代わり、私達は、その限られた時間を『楽しく』過ごすことができる。同じ時間なら、楽しく過ぎた方が良いだろう? ああ楽しかったな。あっという間だったけど、また楽しみたいな……。そう思える『時間の使い方』をしていく事が、大切で、尊い事なんだよ」
スカルプはそう言い
もう蝶々が見えなくなった空を眺める。
ス「あの蝶々も、きっと、楽しい時間を過ごしているはずだ。だからラックス。私達も、たくさん、たくさん思い出をつくり、楽しい時間を過ごそう。家族さんにん(3人)でな」
ラ「……!はい!!ちちうえ!!!!」
エルター「……フフッ」
ス「?」
エルター「……もう君は、立派な『主』だね。スカルプ…」ニコッ
ス「…そんな……わ……僕はまだまだです……///」
ラックスに聴こえない程の声で
ふたりはそう言い合った。
ラックスは
楽しく時間を過ごしたい
そう
ミタマ(この場合、心)から…
…
……サ…
!!
…
……サ…サンニ……ン…
なぜだか
ミタマ(この場合、心)からは
思えなかった。




