第696毛 スカルプ・リッチのタスカル・プラン 未踏の知見
…
……
………
スカルプ「……ふぅ、すみませんジンさん。お待たせしてしまいました」
ジン「いえいえ。ボクも、ラックス様にまたお会いし、改めて御礼を伝えることができて良かったです」
シゲル達を見送ったモイスチャーが戻り
事情を説明の上
ボタニストの拠点から自宅に着いたスカルプ。
ジンも同行している。
その後
セレンディピティ共和国から、メトリー及びキュレルの滞在許可申請について差し戻しがあり
スカルプが対応に追われるなか
ラックスがスカルプを訪れていた。
ジン「あの勇者シゲル様についていくとはいえ、やはり母親や妹様が一緒ですからね。自身で守らなきゃ!と、強い使命感を感じました」
ス「ええ。立派に育ってくださいました。…勇者シゲル様の影響も、強いのでしょう。……ただ」
ジン「……はい」
ス「…やはりどこか、ラックスの笑顔に暗いものがありました。……詳しく尋ねるべきか、迷いましたが……決意を胸に意気込むラックスへ、問いただすことができず……」
スカルプは目を伏せる。
ジン「スカルプ様。お顔を上げてください。ラックス様の士気を優先される御判断は、決して間違えてはいないと思います。ボク達はボク達で、ラックス様を支えられるように、動いていきましょう」
ス「…ジンさん……」
イヴ「とうっ!!」ガシャーン
スカルプ&ジン「「!!!?」」
シュタッ
イヴ「むむ!!ジンジン!!スカルプ様は息災か?? ちゃんと肉の壁となって御守りしているか、イヴお姉様が見に来たぞよ!!」ババーン
ス「………イ、イヴさん……」
イヴ「おお!!スカルプ様、息災で何よr…ぐほぉ!!」グシャッ
ス「!!」
詰め寄ろうとする襲撃者を
何かの『圧』が上から襲いかかる。
ザッ
レノア「…まったくアナタは………どうしていつもいつも……」ゴゴゴゴゴコ……
イヴ「ングッ!! て、敵襲……!!」ジタバタ
レノア「敵襲はアナタでしょう。…スカルプ様、窓の修繕、我々が迅速に行います。どうか御容赦を」ペコッ
ス「えっ、あ、は、はい。だ、大丈夫ですよ」
レノア「寛大な御魂遣い(つまり御心遣い)、感謝致します。…して、ジン」
ジン「あ、はい!」
レノア「セレンディピティ共和国の諸対応に追われていたようですが、いよいよ、オニガシマへ向かわれるようですね」
ジン「はい!!」
レノア「承知致しました。本日は二つ、御伝え事項があります」
ジン「はい。お聴き致します」
レノア「はい。まず一つ。スカルプ様がオニガシマに赴く此度の件に際し、総長が予め、オニガシマの主へ報を入れました」
ス「!!」
レノア「ただ、相変わらずと言いますが、オニガシマから返信はないようです…」
ジン「…なるほど……と、言う事は、拒絶はされていないが、歓迎もされていない、という形でしょうか?」
レノア「そうですね……。ただ総長や、他ボタニストからの情報によると、今、オニガシマは『乱れ』がハゲしいようで…。主の影響もあるのでは、と推察されています」
ス「そ、それでは…門前払いということも、あり得ますかね……?」
レノア「…正直、何とも言えないですね。これらを踏まえて、二つ目です」
ス「は、はい」
レノア「総長が、自ら後方支援をする方向となっています」
…
…
…
暫し経ち
ス「……そろそろ、でしょうか?」テクテク…
ジン「はい。間もなく、オニガシマとの『境目』である、森の中心部に着きます」テクテク…
ス「………」ドキドキ…
ザッ
ジン「…………ここ、ですね」
ス「………」
森のなか
『広い』
不自然に木々の生えていない
奇妙な空間にふたりは着く。
ジン「…では、スカルプ様。これより、必要に応じて『念話』での会話も取り入れましょう」
ス「わ、わかりました」
ジン「では、失礼して」
ジンは
その『空間』における
『中心』といえる位置に立つ。
ジン「追うもの、逃がすもの、追われるもの、逃げるもの。等しく足を踏み入れる、奇跡であり軌跡の場よ。この度、またふたり、この場に携わりたく、お願い申し上げる」
…
…
ユラ…
ジン「我らの声に応え給え。我らはこの場に応える。オニガシマよ。『ハザマを拡げよ』」
…
…
ユラ…
ユラ…
グルンッ
ス「!!!!」
空間が
乱れる。
ス「…ッウ……」クラッ
ガシッ
ジン「…お気を確かに。スカルプ様」
ス「あ、ありがとうジンくん……フゥ…」
見ている景色が歪み
別の『空間』が現れる。
そして
ザァッ………
ス「………ここが……オニガシマ………」
ジン「…ボクも、初めて入りました。…では、行きましょうか」ザッ
ス「…はい」ザッ
ふたりは
自身等にとって未踏の場を
歩み始めた。
ピョコ
ピョコピョコ
「………♪」
その後ろを行く『存在』を
まだ
誰も知り得ていない。




