第680毛 空枯ら殻辛
メトリーは
ゆっくり
かつ
しっかりと
問いかける。
「……………」
メ「……………」
その者は
ジッと
メトリーを見ている。
メ「……………」
「……………」
メ「………怯え、かな?」
「!!」
メトリーはほんの僅か頬を緩めながら、話し掛ける。
メ「アナタがどのような方であるか、私は存じ上げません。…ただ、今、何となく……アナタの『揺らぎ』が、怯えているように感じるのです……それも、私に対して、という訳でもないような………」
「……………」
メ「……大丈夫ですよ。この『空間』においては、誰からの邪魔立てはありません。……『セカイ』と、若干違う空間なので」
「………!!」
メトリーは
スキル『逢魔が時』を使用する。
メトリー「…(逢魔が時は、ハッキリと使用の明言をすると効果が切れるため、このくらいにしましょう…。おそらく、この者なら『違和感』で分かるはず……)できれば、アナタのお名前をお聞きしたいのですが、難しければ、何か…想っている事でも構いません。話して、くださいませんか?」
「……………」
その者は
変わらずメトリーを見続ける。
メ「………少し、堅苦しいですかね……。なら」
「…カ…カラ……」
メ「!!はい、何ですか???」
その者は
目線をメトリーから外し
逡巡するように
目を泳がせる。
「……カラ……カラッポ………」
メ「? ……カラッポ……ですか?……」
メトリーは敢えて
最小限の質問
かつ
『言葉の繰り返し』も用いて会話を続ける。
「………カラッポ……カラッポ……」
メ「……カラッポ……それは……アナタの何かがカラッポ、という事でしょうか?」
「………カラッポ……アナタ……オレ………」
メ「! ……そうですか……何か、『満たされない』のですかね……。それが、キュレルと触れ合う事で、カラッポでは無くなるかもしれない、という感じでしょうか?」
「………キュレル…キュレル………カラ……カラ……………」
メ「……………」
「……キュレル……カラ……カラス………カラ……シ……枯らした………」
メ「!!」
メトリーは
以前、スカルプから聞いた
キュレルが産まれた時の話を思い出す。
メ「………(スカルプ様は、キュレルが産まれるとほぼ同時に、奥様…エルター様が力尽きた、と話されていました。…ただ、些か奇妙だった、とも……。予定日を大幅に早めての出産、『人一倍』元気だったエルター様が、確かに出産という体力を使う出来事とはいえ、急に亡くなった点、そして、かたや母体にいた時から『動き』が鈍いようだったキュレルが、元気に産声を上げていた点………まるで………)アナタは、キュレルの産まれた時も、キュレルを見ていたのですか?」
「!! ……………枯らし……枯らした………オレ………枯らし……た……」
メ「………『枯らした』というのは……『体力』を?」
「……タイリョ……枯らし…枯らした………タイリョク………カラ………カラッポ……………」
メ「………それは、どうしてでしょうか?」
その者の泳ぐ目が
空の一点を見据える。
「………枯らし……枯らし…た……た……たく……カラ……カ………カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ」
メ「!! ………すみません、込み入った内容でしたね………質問を変え」
「カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ………グッ」グルンッ
メ「!?」
その者の目が
上を向き
白目が覗いたのち
ガクンッ
頭を垂れる。
メ「……………」
そして
ラックス「……ぁ……れ………ここ……は……………」パチッ
ゆっくりと
ラックスが顔を上げる。
メ「! ラックス………大丈夫ですか??」




